「第三の男」閲覧注意!実はJOKER以上の危険をもった作品です。
わずか10分の出演にも関わらず、
これは紛れもなくオーソン・ウェルズの映画だ。
映画「第三の男」を鑑賞しました。
アカデミー賞、英国アカデミー賞、そしてカンヌ国際映画祭でも受賞歴のある、映画史に残る作品の一つです。
にも関わらず、今一つ面白さが分からなかったという人も多いのではないでしょうか。
しかし、数多くの映画に影響を与えた作品で、バックヤードや本質を掴むと、その凄さが分かる作品なのです。
また、とても恐ろしく、ある種危険な一面を持つ映画でもあります…。
今回の記事では、そんな「第三の男」を観るにあたって押さえるべき要点と、危険な一面について解説します!
それらを語る上で、結末やあらすじを踏まえる必要がございますので、未鑑賞の方はぜひ鑑賞後にお読みください!
Amazon Prime Videoで観られます。
一番の大トロ部分を解説した完全版はこちらです👇👇
STORY
オーソン・ウェルズの映画
今作は、どのジャケットやポスターを観ても、オーソン・ウェルズのアップが映っています。
ニヤリと笑った顔が印象的です。
物語のほとんどが、ジョセフ・コットン演じるホリーという人物を軸に進むのですが、観た人は皆、これはオーソン・ウェルズの映画だと感じるはずです。
わずか10分程度の出演にも関わらずです。
すごく危険な映画
ホアキン・フェニックス主演の「JOKER」はまだ、記憶に新しいですよね。
「JOKER」では、JOKERを真似る若者が現れたことが、社会的な問題になり、危険な映画であると指摘されました。
この「第三の男」も同じような危険性を持っています。
オーソン・ウェルズ演じる、ハリー・ライム。
彼は、粗悪なペニシリンを売りさばくことで、子どもや老人、病人などを間接的に殺していることが明らかになります。
それを追求された時、観覧車から人々を眺めつつ、彼が放つセリフは
「下を見てみろ。あの点のどれかが動くのをやめたからって、同情するのか?」
というものです。
さらに、観覧車を降りる際に放つセリフ
「ボルジア家の30年、イタリアは殺し合ってルネサンスが開花した。スイスはどうだ?500年で作ったものは、鳩時計だけさ」
また、ハリー・ライムの恋人、アンナのセリフも印象的。
「彼は子供のままだったわ。周りはみんな大人になって、彼を葬ったんだわ。」
上記のセリフが表すこととして、ハリー・ライムという人物は、いわゆるナチズム的な、超人思想を持っていた人物なのです。
優れた者は、弱者を殺してもいいという思想ですね。
それによって、国や文化は発展するのだと…。
また、子どものままの無邪気さや凶暴さを持ち合わせています。
魂が狂っているといいますか…。
ある種カリスマ的な存在であり、ただの悪ではない、本物の純粋悪のようなキャラクターなのです。
まさにJOKERのようないかれた怖さがありますよね…。
ブログではハリー・ライムが社会に及ぼした現象を詳しく解説しています👇
ホリーはアメリカと正義の象徴
さて、ジョセフ・コットン演じるホリーは何なのかというと、これはアメリカを象徴する存在なのです。
先日紹介した「カサブランカ」でも同様に、メタファーとしてアメリカを象徴する人物を軸にストーリーが展開されています。
オーストリアの言葉も、劇の内容も、小説についてもまるで知らないホリー。
アメリカという国の文化や歴史の浅さを象徴している訳です。
彼が劇中で、アメリカ地区に行かなかったのは、彼自身がアメリカを象徴しているからにほかなりません。
そして、そんな彼が唯一得意とするのが、”西部劇”です。
西部劇といえば、勧善懲悪そのもの。
彼自身もまた、正義の意思をもって、事件の真相解明に奔走するのであります。
表と裏
恐ろしい悪、ハリー。
正義を貫く、ホリー。
ここにメタファーが込められており、それこそが、「第三の男」の真髄なのであります。
詳しくはこちら👇👇必見ですよ。
他の映画への影響
一人の人物の裏と表というテーマは、デヴィッド・フィンチャーの「ファイト・クラブ」が大きく影響を受けていますね。
強く、暴力的な男性にヒロインが惹かれる点も同じです。
また、マーティン・スコセッシも多大な影響を受けています。
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」は、死者に課税なしという犯罪計画そのものが同じですね。
「ディパーテッド」では、ラストの葬式のシーンが酷似しています。
その他にも、数えるとキリがないほど、たくさんの作品で真似されているほど、ファンの多い作品なのです。
少年の謎
物語をややこしくしている要因の一つに、ホリーが少年から「人殺しだ!」と何度も呼ばれるシーンがございます。
これついての解説もブログで👇
風船売りもポイントなのです。
二人は仲良し
オーソン・ウェルズとジョセフ・コットンは、実際にも仲がよかったそうです。
映画のワンシーンで、アンナとホリーがハリー・ライムの思い出を語るシーンがございます。
あれは、オーソン・ウェルズ本人について語っているのだとか。
トランプのいかさまが上手いのは、本当なのです。
オーソン・ウェルズ自身もまた、社会を達観した視点で、観ているような節があったのでしょうね。
後に、「市民ケーン」という素晴らしい作品を作ったオーソン・ウェルズ。
そのテーマからも、オーソン・ウェルズの人物像が見える気がしませんか。
サッポロ・ビール
ちなみに、「第三の男」のテーマ曲は、サッポロビールと恵比寿駅でお馴染みのあの曲です。
第三のビールでは無かったです笑
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「第三の男」を観るにあたって押さえるべき要点と、危険な一面について解説しました。
意味が分かると、本当に刺激的な魅力のある作品なので、くれぐれもご注意を。
ブログでは映画に関する情報をたくさん紹介していますので、ぜひ遊びにいらしてください!
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