オカネ、お金、オモイカネ

「『お金が、欲しいです。』みんな、そう言うじゃないですか。」

「ええ、まあ確かに。実際、自分もほしいですよ」

「そうですよね。でも、真に考えたらお金そのものが欲しいわけではないんですよね、当たり前ですけど。物質的に考えたら只の紙とか小さなコインですよアレ」

「まあ、美術的価値を認めて欲しがる人もいますけど……大抵はそうではありませんよね」

「わたし、紙幣の価値というか、作り方にその通貨を使う文化が反映されていると思っています。」

「文化……ですか?」

「価値観、とも言い換えられますが。要するに」

「お金そのものを大事に考える文化ほど、通貨そのものの造りが重厚になっているのではないか、と。」

「なるほど。」

「例えば、ユーロ札、ありますよね」

「カラフルなやつですね」

「そうです。で、日本の紙幣がこれ」

「……確かに、比べてしまうと、ユーロ紙幣はカラフルで、ややオモチャのような感じを受けますね。ただ、機能的ともいえるかもしれません。」

「そうだね、そう見えるかもしれない。そして、これがジンバブエ・ドル。知ってる人は知ってると思うけど、スーパーインフレを起こして貨幣価値が暴落した通貨だね」

「ただの紙感が強くなりましたね……」

「そして、大正義米ドル。」

「あれ?なんだか日本円に似てませんか?」

「その話は別の機会にしよう。最後、中華人民共和国の人民元」

「今度はどことなくユーロぽい!……でも微妙に米ドルっぽさも感じる」

「どうでしょう、なんとなく伝わりますかね?読者の方には画像をググって見比べてほしいですね」

「これ以後は推測というか根拠の無い憶測になってしまうので、興味のある方はご自身でも調べてみてくださいね」

「お金とはつまるところ信用が物質化したものな訳ですが、紙幣から各国の信用に対する価値観を推し量ってみましょう」

「ユーロ紙幣はカラフルで、機能的。実利重視といった形でしょうか。汚れにくく使いやすければ良しといった風情です。ビジネスライクな関係を良しとする欧州の気質に合っている……かも」

「飾っておいても良さそう。ポストカードっぽいかも。」

「ジンバブエドルについてはコメントを差し控えさせていただきます。言うまでもないというか。」

「お金は紙だという本質を思い出させてくれます。」

「米ドル。こちらは洋風の日本円といったところでしょうか。つくりはよく似ていますね。ただ、真ん中に肖像を持ってきている造りが印象的です。まずは顔を見る。相手を見る。そういう直感的な判断が信用において重要な位置を占めているのかも。」

「最初はお前の顔が気に入らねえ!みたいな感じで殺し合いするほど仲悪かったけど紆余曲折合ってめっちゃ仲良し!みたいな展開、アメリカ学園ものドラマだとけっこう見ますね。」

「人民元ですね。これは面白いです。信用をするべき相手は一人だけ、といったところ。諸事情によりこれ以上のコメントは差し控えさせていただきます。」

「というわけでね。」

「日本円です。正にお金!といったところ。特に一万円札はなんだか拝んでもよさそうなありがたさを感じさせます。重厚さで言えばダントツですね~。……ただ、お金そのものを追い求めてしまい、自分にとって本当に欲しいものがなにか、を見失いがちな性質って、案外こういうとこにも出てるのか知らん、と思います」

「ではでは。」

「またまた。」

「「さようなら~」」

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