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ビスコ
2020年5月9日 14:39
「おかあさん」は、ひとりだけだけど、「ママ」ならばもうひとりいる。その一人が、新宿ゴールデン街にいるのだから、笑うしかない。いや、笑う為に、ママはいたんだから。猫の額みたいなそのスナックは、狭いのに妙に落ち着くという不思議さで溢れていた。ママは、自分の若くて美しかった写真を、店に飾っていた。わたしは、成人はしていたが、お酒が弱かった為、いつもジュースだった。そのたびに、「アンタ
2020年5月2日 12:16
「もう、欲しいものなんか無いんだ。本当に欲しいのは…」彼は確かにそう言った。新宿の伊勢丹のメンズブランド店内。背中を押しやり、フッと笑って、店員に合図をして、その場を離れた。戻って、会計を済ませて、少し後ろを歩く紙袋を抱えた彼は、「何で?」をふて腐れ気味に繰り返す。『キミは可愛いから、弟みたいに可愛い子に、着せ替え人形みたいな扱いをしても、それ普通でしょう?』勢いよく走り寄って