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連作短編「おとなりさん」season2 海の見える食堂から

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海を望む小さな食堂、花鳥風月。 特別じゃない、なんでもない日を祝いたい。 創作和食と美味しいお酒、思い切りの笑顔でお待ちしています。 これは、そんなお店のしあわせな夏の日の物語。
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#短編小説

連作短編「おとなりさん season2 海の見える食堂から」#4

連作短編「おとなりさん season2 海の見える食堂から」#4

第四話「恋文」

「よいしょ」
 年寄りくさいとは思いながら、だけど、とうにお年寄り扱いされる年齢になっているんだし、現実的に孫のいるおばあちゃんなんだから。
 なんて、しっかりと自分自身を自覚しながら立ち上がる。
 よいしょ。
 そんなかけ声で、いまから動かしますよ、と、自分自身に、その体に伝えておくのです。これだけで、それなりに怪我の可能性を減るというのだから、人の身体というのは案外、単純で、

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