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【日本一周】26県目/長野県

観光らしくない長野滞在。ベンガルカレーとドライブと温泉という一日を過ごした。たまにはこんな日があってもいいなと思う。

ベンガルカレー

「駒ヶ根にアンシャンテというベンガルカレー屋さんがあるから行ってみて」とカレー好きの知り合いから紹介された。
そもそもベンガルカレーとはインドカレーとはどう違うのだろうか。それに私は3食カレーでもいい、というほどのカレー好きでもないのだけれど大丈夫だろうか。
知り合いからは詳細を聞けないままだったが、なんだかおいしそうな気がしたので行ってみることにした。

お店があるのは、雄大な日本アルプスに囲まれた町。
すごく穏やかで優しいご夫婦が迎えてくれた。この時点で、すでに「来てよかった」と思えた。

カレーランチを注文する。サラダと何種類かのカレーと飲み物が付いてるセット。フレンチのコースのようにゆっくりした時間が流れる。

金属プレートに乗った小鉢にはお惣菜みたいなカレーが乗って出てきた。汁気が少ないのがベンガルカレーの特徴らしい。色や形状も様々。目でも楽しい。

そもそも、店主の方が青年海外協力隊としてバングラデシュへ行っていた経験があり、それがベンガルカレーを始めたきっかけだったそう。そして、この駒ヶ根には青年海外協力隊訓練所があると教えてくれた。

最後にはデザートもいただいた。

楽しいお話とおいしいカレー。
予想以上の素敵な出会いに心が弾むのを感じる。

旅をしているから「ご当地グルメを食べなきゃ」とか「せっかくだから名物を」とか、義務のように思ってしまうことが多々ある。でも実際は、その土地でしか出会えない人、実際に会うからこそ感じるあたたかみがある。
どこの土地に行ってもそうであるはず。
だから、長野なのにベンガルカレー、みたいなことが起きてもいいのだ。

そして、私は最後のお客さんだったからか、帰り際に車のエンジンをかけた時、お店の外までご夫婦が出てきてくれたのに気がついた。二人は笑顔で手を振ってくれている。
胸がいっぱいになった。
初めて会った子にこんなに親切にしてくれる人たちがいるだろうか。そう思ったら涙が溢れてきた。

彼らは私の車が見えなくなるまで手を振ってくれていた。
それをミラー越しに確認する私。泣きながら運転した。

本当に一生忘れられない、いい時間が過ごせた日になったのだった。

ドライブ

お腹も心も満たされて、中央アルプスと南アルプスを間近に感じながら運転した。遠くの山には6月なのに雪がまだ残っているのが見える。

大きな山があると見守ってくれている感じを受けるのは私だけだろうか。もしかしたら、学生時代は六甲山を毎日遠くに眺めながら通学していたからかもしれない。

「いい眺めの道がある」とアンシャンテのご夫婦に教えてもらった通り、街が一望できて、遠くに青く山脈が連なる景色が見える場所に来た。

気候もちょうどよくて爽やか。
雲間から光が差す景色や、飛んでいる鳥を眺めたりしてしばらくぼんやりと過ごした。長野って結構好きな県だな、と思う。

温泉

長野の真ん中あたりに諏訪湖という湖があり、その湖畔には「片倉館」という温泉施設が建っている。夜だったのもあり、外観をしっかり見れなかったけれど、レトロな洋風建築の造りになっていた。

温泉は「千人風呂」と名付けられていて、かなりの広さがある。天然温泉らしいが、注目すべきはそれではなく、とにかく豪華な作りになっていることに驚いた。

温泉の中は写真が撮れないので、説明看板を記念に撮影しておいた。

浴槽の中は深くて、立ちながら温泉に浸かったのは初めてだった。水深1メートルほど。
しかもよく見れば大理石で作られているし、底には丸い砂利が敷き詰められているし、浴室内にはステンドグラスや彫刻もある。豪邸の温水プールのようだった。

日本にはまだまだ出会ったことのない人や見たことのないものが数えきれないほどあるだろうなと、この長野滞在を通して改めて感じた。

(2013年6月23日)

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