連載小説「一瞬を切りとる」⑤
写真コンテストの発表の日、夜に電話をしたのを最後に、礼央とは連絡が取れなくなった。
栞生は、高校からの友人である礼央のことが心配だった。彼女が将来の不安を抱えていることは知っていた。今回の件で、自分に嫉妬しているのではないかという思いを、心の片隅に抱いては、知らないふりをした。自分の浅ましさに、嫌気がさしていた。
落ち込んでいく気分と裏腹に、山之手新聞の授与式に参加したり、昔の友人から久々に連絡が来たりした。
ある日には、イベント運営会社の小野さんという人と面談をしたこ