【神奈川のこと61】地元で感じるオリンピック(鎌倉市腰越)

今日でオリンピックが終わる。

よって、これを書く。

東京だけではなく、地元でも競技を開催しているので、せっかくだから観ておこうと思い立ち、先週日曜、歩いて海まで行った。

できるだけ人混みが無さそうで、且つ、海を間近に見られるという場所を2つほど、思い浮かべて酷暑の中、家を出た。

例によって、龍口明神社でお参りをしてからヒロキん家とコーセイやホッタの実家の近所を通って、川沿いを歩く。モンタナ幼稚園を通り過ぎて、更に進む。

第一の観戦ポイント、浜上山の入口から上を目指す。この浜上山は、「ハマジョウヤマ」と読み、素敵な家が多く建っている丘だ。4年程前に、実家を建て替える時には、よくここを訪れては、壁の色なんかを参考にしていた。

ガシガシ歩いて、てっぺんに到着。すると眼下に、江ノ電鎌倉高校前駅と国道134号線、そして、その向こうにどかんと相模湾が広がっている。

聖テレジア病院の聖母マリア像が、海に背を向けて立っている。このマリア様は、海に向いて立っていたらいいのになと、いつも思う。

ほんの数名、見物人が海にカメラを向けていた。

海に目をやると、あ~やってるやってる、ヨットというのかディンギーというのか、競争している。一隻だけ、群を抜いて先頭を走っているのが分かる。それらを取り巻く、大小さまざまの船がたくさん浮かんでいる。海上は実に賑やかだ。

にわかに興奮する。でも、とてもゆっくりに見える。きっと、やっている当人たちは必死で、艇に乗ってたらかなりのスピードを感じているだろう。でも少し遠くの丘の上からだと、ゆっくりに見える。それはとても愛らしく映った。

階段を下りる。途中で、海に背を向けて、生垣の植物を撮影している老婦人と出逢う。老婦人が照れ臭そうに、こちらに笑顔を向けたので、私もつられてニコッと笑い、あいさつした。

お墓を通り過ぎ、江ノ電の線路を横切って、国道134号線沿いの歩道を江の島方面に歩く。道沿いには、「TOKYO 2020」のバナーが張られている。江ノ島タクシーのマイクロバスが " The French Sailing Team "という表示をつけて走っている。運ちゃんも今日は何だかエスプリが効いている感じがした。

う~ん、オリンピックだ。オリムピックなのだ!

小動(コユルギ)の信号の辺りで、自分が灼熱の中を歩いていることに、はっと気づく。そして、以前、この近所で日焼け顔のおっちゃんが、うまそうに缶ビールを飲んでいたことを想い出す。

キンキンに冷えた缶ビールを飲むのだ。つまみは何がいい?そうだ、腰越漁港のアジフライが最高に合うだろう。キンキンのビールを喉を鳴らして飲む。そして、塩をかけたアジフライにサクッとかぶりつく。ああ、手作りの歯ごたえあるタルタルソースでもいいのだ。ああ、いつやる?それいつやる?

そうこうしている内に、「生しらす」の看板が目に飛び込む。「その手もあったか」、キリッと冷えた日本酒に、生しらす。しょうがを載せ、サッと醤油をかけ、パラパラッと多めにねぎの雨を降らせたらどうでしょうか。ああ、いつやる?いつそれを実行しますか?

そんなことを考えつつ、腰越橋の信号を渡り、西へ歩く。東浜は結構な人混みであった。その喧騒から避けるように、途中を右折。海岸から一本中に入っただけで、ひっそりと静かに、家々が建ち並んでいる。

女子バレーボール日本代表、島村春世の実家が近くにあるはずだ。以前、腰越のお祭りに行ったときに、町内会のはっぴを着た本人を見た。今年の彼女は凄かった。スパイクが決まった後の、あの雄たけび、そしてあの髪型に、命がけの覚悟が伝わってきた。

第ニの観戦ポイント。龍口寺に到着。境内に入り、本堂に一礼したら、左奥の階段を上る。急で長い階段に脚は悲鳴を上げるが、日陰で下からせり上がってくる風の何と気持ちの良いこと。聖なる風を感じつつ、頂上の仏舎利塔に到着。ここはさすがに誰もいなかった。海は見えたが、レースは観られなかった。

こうして思いつきの海までウォーキングは、人混みを避けつつ観戦するという当初の目的をほぼ達成した。

ふだんなら、ここから歩いて帰るのだが、あまりの灼熱ぶりに足は湘南モノレールの駅に向かった。普段はほとんど乗ることのない湘南江の島駅から西鎌倉駅間、わずか5分の空中遊泳をクーラーの効いた車両に乗って、堪能。

帰宅し、冷水シャワーを浴びたら、お昼にそーめんとゆでたトウモロコシをいただく。

This is 夏、日本の夏。

今日、台風が過ぎ去った後、鎌倉高校前の海沿いを歩いた。

サーファーはたくさんいたが、沖合には一つの船影も見えず、先週の賑わいが嘘のように静かであった。

つわものどもが夢の跡。




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