美心 ーbijinー #0.4〜不運は不運を呼ぶ:ニュージーランドでの不動産トラブル〜
茉莉花:え、すごいね?半年で3回も?
みさこ:そう。最初に賃貸で入居した新築の家が、勝手に売りに出されちゃって。買い手が決まったので出て行ってくださいって急に。本来なら、借主は物件が市場に出ているってことを知っていなければいけなかったんだけど、日本人だったからかな、なめられたのかもね。明らかな不動産屋の説明違反だったから、不動産屋相手にバトルして、こっちに有利な形で出て行くことができたんだけどね。
茉莉花:バトルしたんだ(笑)?
みさこ:そう。しょうがなく借りた2件目の集合住宅は、屋根の雨どいが詰まっていたせいで部屋にカビが大量発生して。不動産屋に何度も連絡したにも関わらず、問題を1ヶ月半以上放置されて。壁一面真っ黒になって臭いもひどくて。最終的に、現地の友人に調停に持ち込むことを教えてもらって、調停で全面勝訴したよ。日本人だから甘くみられたのもあったのかもしれないけどね。
茉莉花:すごいね。
みさこ:で、3件目に下宿した家には空き巣が入って。その9月にアメリカのテロが起きたことも関係していたかもしれないけど、私の住んでいるエリア一帯がある日一斉に空き巣に入られたの。卒業以来、捨てられずに大事に持っていた彼の遺品のほとんどを持って行かれて。その時にやっと、もう日本に帰れって言われてるんだなって思ったの。実際に、彼が亡くなったあとは、仕事以外では家では泣いてばかりで、死ぬことばかり考えて、とても悲しかったからね。
茉莉花:そっか。
みさこ:これは教訓なんだけど、うまくいかないときってことごとくうまくいかない。仕事は順調だったんだけど、生活はトラブル続きで、心は泣いてばかりで、何か変えないとダメだなって自分で思った。彼のためにここに住むってニュージーランドに固執していたんだけど、それをちょっとやめようと思った。3回ひどい目に合わないとやめようと思わなかった。
茉莉花:3回って日本的だよね、仏の顔も三度までとか。二度あることは三度あるとか。
みさこ:そう。三度目の正直とかね。
TEXT MISAKO
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プロジェクトメンバー:藤城 茉莉花/山田 みさこ