プチフォレ、初の海外公演。名古屋からパリへようこそ。
2019年3月26日(パリ15区フレデリック・ショパン音楽院)
プチフォレとは、
サクソフォン奏者の小森伸二先生と、その門下生によるアンサンブルです。現役の学生だけでなく、卒業生も交えて、毎年年度末に演奏会が行われています。
5回目となる今年度は、ふたつの演奏会が企画されました。ニコラ・プロスト氏をゲストに迎えた名古屋公演、そして、有志メンバーによるパリ公演です。
わたしはもともと、名古屋で8年ほど小森先生に習っていました。いまは小森先生の元を離れて3年目、パリ近郊のサンモール地方音楽院でサクソフォンを続けています。今回のパリ公演では、一緒に演奏させていただいたり、楽器をお貸したり、あれこれお手伝いをさせていただきました。
コンサートレポート(的なもの)
コンサートは休憩なしで1時間30分ほどのプログラム。会場となったパリ15区音楽院の授業の関係で、かなりギリギリで開場。ぞろぞろとお客さんが入り、そのまま開演です。
今回のコンサートは、邦人作品を中心とした選曲。まずは性格の違う八重奏曲を二曲。それからサクソフォンの大編成アンサンブルのためのオリジナル曲、中橋愛生:静寂の森、饒舌な雨。冒頭の静かな部分、ざわつきが幻想的で、本当にきれいだったのでは……。
ソリストにカール=エマニュエル・フィスバック氏を迎えて演奏されたのは、トマジ:バラード。甘さひかえめで、ほんのりさわやかで。でも茶目っ気も抜群の演奏です。終盤に向けてテンポを煽っていくのも、かっこよかったです。どきどきしました。
小森伸二先生が指揮棒からサクソフォンに持ち替えて、イトゥラルデ:小さなチャルダッシュ。アツアツな演奏をする人が多い曲ですが、この演奏は熱くもあり、ほんのりおしゃれでもありました。
ミシャ:Il magnifico, il virtuoso, il drammaticoは、ニコラ・プロスト先生を交えたトリオで。それぞれ違う性格を持った3人のサクソフォン奏者を演じる作品です(楽譜に演技の指示やセリフが、たくさん書かれているのです!)。会場の笑いも、じわじわ大きくなっていきました。
そのあとは、サンモール地方音楽院、パリ15区音楽院のサクソフォン専攻生も舞台に上がり、大合奏。アレッサンドロ・アンヌツァアータ:サクソフォリーが演奏されました。アンコールはニコラ・プロスト先生、カール=エマニュエル・フィスバック氏も合奏に入り、クイーンのボヘミアンラプソディを。客席からはあたたかい拍手が湧きおこり、終演です。
大編成アンサンブルの可能性について、ちょっと思うこと
これは去年のプチフォレの演奏会に伺ったときから思っているのですが!
プチフォレは「先生とその弟子たち」というだけあり、音色に統一感があります。もちろん荒削りな部分もあります。でも、一斉に出す音を聴いてみると、不思議とうつくしいのです。
現代の日本には、サクソフォン奏者があふれるほどいます。でも、溢れるほどいる時代だからこそ、こういった大編成のおもしろさに気付けるのかもしれません。
クラシックのサクソフォンは、出番の少なさに嘆くことの多い楽器です。でも、きっとまだ知らない可能性が秘められていて、もっと面白いことができるはずです。
……なんてことを、ひとり思うなどしています。
コンサート概要
■2019年3月26日(火) 19時30分開演
パリ15区フレデリック・ショパン音楽院にて
■出演
カール=エマニュエル・フィスバック、ニコラ・プロスト(サクソフォン)
小森伸二(サクソフォン・指揮)
プチフォレ
パリ15区音楽院・サンモール地方音楽院サクソフォン専攻生
■曲目
長生淳:八重奏曲より第1楽章
北方寛丈:GREEN
中橋愛生:静寂の森、饒舌な雨
アンリ・トマジ:バラード
ペドロ・イトゥラルデ:小さなチャルダッシュ
ジャン=ドニ・ミシャ:Il magnifico, il virtuoso, il drammatico
アレッサンドロ・アンヌツァアータ:サクソフォリー
■プチフォレ 公式Twitter
■プチフォレ 公式Instagram
文章:オーノサエ
1、2枚目以外のお写真は、小森伸二先生、ニコラ・プロスト先生のFacebookからお借りしています。