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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2020年12月の記事一覧

栄光への道程 - JEC 2020最終戦、タイトルは釘村忠の手に

決戦の舞台、SUGOにはエンデューロのすべてがある。多くのライダーを育ててきた2日間競技。そこで通用するものだけが勝者と呼ばれる。勝ったのは日本初にして唯一のISDEゴールドメダリスト釘村忠だ。 MFJ全日本エンデューロ選手権シリーズ 第4戦 村田SUGO2デイズエンデューロ 2020年11月22~23日 スポーツランドSUGO Text & images : Hisashi Haruki IBクラスでトップ昇格を決めた渡辺誉 Yamaha 来季のIAクラスはさらに面白く

エンデューロ、この私的世界の探求

スタート前の10分間、ゴール直前15分間以外、整備のために時間が与えられることはない。モーターサイクルを維持する能力も試されるのがこの競技だ 村田SUGO2デイズエンデューロより それは静かに自分と向き合う2日間、あるいは6日間だ。試すのは自分自身のチカラ。SUGOで再現された2日間競技に、今や「クラシック」と呼ばれる競技形態の真髄を見つける。 Text & Images : Hisashi Haruki JECが2005年に始まったのも、このSUGOの2日間競技

白熱する中盤戦 - 2020 JECいなべMSL

再開したENDURO GPに呼応するようにリスタートした全日本シリーズ。スーパーテストにはウィルスを吹き飛ばすかのようなフルスロットルのサウンドが共鳴した。 MFJ全日本エンデューロ選手権シリーズ 第3戦 2020年10月24~25日 いなべモータースポーツラント(三重県) Images : ENDURO.J Bクラス優勝の石榑瑠花 Yamaha CWクラス優勝の中島礼子 Kawasaki ディレクターの手腕 中日本大会はもともと岐阜県のスキー場、アルコピアを開催地と

プロとアマの決定的な違い - ドラマの主役は誰か?  写真の力

代官山蔦屋書店のような一部の特別なところを除いて、BIGTANK誌は書店に置いていない本です。書店に置く本は、見た瞬間に手にとってみたくなるような顔をしている必要があります。何の本なのか、すぐにわからなければなりません。だから表紙や背表紙のデザインにはいろんな制限があります。 でもBIGTANK誌の場合は、その制限がありません。だから、デザインはかなり自由にやってしまいます。かっこよければなんでもいい。ぼくは毎回、編集作業の一番最後に、表紙のデザインを行っています(それすら

国内外最新モデルからYZ125X用パフォーマンスキャブまで ― JEC合同テスト プラザ阪下から

ニューモデルを試乗する機会はいろいろあっても、こんなふうに来季モデルを一度にテストできるチャンスはめったにないのだ。小春日和、ベスコンのプラザ阪下からお届けするワガママなインプレッション。 Text ; Hisashi Haruki Photos : Mana Saitoh 最高のバイヤーズガイド MFJ全日本エンデューロ選手権シリーズのプロモーション分野を担っているJEC PROMOTIONSの主催による、各メーカー合同の試乗会。11月から12月に、当初は千葉県の成田

G-NET2020 R3 - HINO HARD ENDURO 秋の陣

G-NET全日本ハードエンデューロ選手権 第3戦 2020年10月31日~11月1日 群馬県 Report and Images:Satoru Ii(ANIMAL HOUSE) ソフト・ウーマンクラス優勝、ミディアムクラス総合5位という好成績を納めた木下夏芽はJNCCでも活躍する大学生。今後の成長が楽しみな若手の一人。 立ちはだかる日野の「壁」 そして思わぬ伏兵が登場 開幕戦を制した絶対王者・高橋博(ロッシ)が怪我で不在となった今シーズン、チャンピオンを争ったのは3人のラ

G-NET2020 R2 ブラックバレー広島

G-NET全日本ハードエンデューロ選手権 第2戦 2020年10月18日 広島県 Report and Images:Satoru Ii(ANIMAL HOUSE) 絶対王者ロッシ不在のG-NETチャンピオン群雄割拠 2020年、世界中を震憾させた新型コロナウイルス。その影響はもちろんエンデューロにも及んだ。その中でも全日本ハードエンデューロ選手権G-NETは大きな影響を受けた。当初は全5戦を予定していたスケジュールだったが、第2戦のHINO HARD ENDURO 春の

レゴラリータ - トシミツandカヨコのエッセイ - 「愛されているという自信が人を大人にする」

Test : Kayoko Sato  先日、あるラジオ番組の最後の一言に興味を持った「男の子とお母さんが道を歩いていると、突然、男の子が土手を駆け上って行きました。その時、あなたなら子供に何と声をかけますか?」。  私なら「そこを登っていくと何かいい事でもあるの? 一緒に行くから、お母さんの手を引っ張って手伝って!! もしくは、ケガしないように気をつけて登るんだよ。向こうで待ち合わせしようね」と、言うだろうと思った。もし、読者のみなさんはどうですか?  ラジオのパーソナ

ダニエル・サンダースのデビュー。ダカールはやはり唯一の存在

Image : Naim Chidiac/Red Bull Content Poo 2020年のダカールで、Hondaに連覇を阻まれたKTMファクトリーチーム。しかし、今回もその布陣は強力です。豪州のトビー・プライス、英国出身、ドバイ在のサム・サンダーランド、そしてKTMの母国オーストリアのマティアス・ウォークナー。いずれも、優勝経験者で、そしてそれぞれ母国初のダカールウイナーという称号を持ちます。 文 / 春木久史

エンデューロライダーの宿敵 - 痛恨のリタイアから -

競技スポーツに取り組むことの真の価値とは何か。自分という最大の敵に、真正面から向き合うこと。それはまたエンデューロというものの魅力でもあり、多くの人に楽しまれている理由でもある。試練こそ、自分を磨くチャンスだ。6日間競技のステファン・エバーツ、そして太田真成というライダーの姿が教えてくれたこと。

「オートバイレースは家業」- 写真と散文

今回も、FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ、2004年のポーランド大会からです。イギリス人の若者の写真を見て、以前に観た映画、「ROAD (ロード デスティニー・オブ・TTライダー)」という映画のことを思い出しました。 まさに命がけと言えるロード(公道)レースに挑み続けるライダーは、走る理由を「家業だから」と事も無げに言います。

ポーランド、6日間、G-SHOCK - 写真と散文

FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロ2004年、ポーランド大会からの一枚。治武靖明さんによる素晴らしいショット。 ライダーは、チェコのロマン・ミカリックで、1999年のエンデューロ世界選手権チャンピオン。当時の125ccクラスでのタイトルで、恐ろしく優秀な小排気量マシンを作る小さなファクトリーチーム、tmレーングの契約ライダーでした。 この2004年もtmのマシンですが、2ストロークではなく、確か4ストロークのそれも500ccクラスじゃなかったかな。 ロマ

レゴラリータ - トシミツandカヨコのエッセイ - 「アンダー・ザ・コントロール」

 パドックを出発してコースに向うと、突然の牛くんたちの道路横断に行く手を阻まれてしまった。今日の撮影ポイントは、朝日をバックに大自然の中を走っていくライダーたちだったのだが…。  当時のシックスデイズは、日の出と共に1番手がスタートして、日没と共に最終ライダーがゴールという、出場ライダー数と日照時間を徹底的に計算されたスケジュールが組まれていた。町の中を通り抜けて、小道を走り、小川をパスして山や森の中へと走っていく。そこには、普通に生活している人々、レースに関係なしで働く人々