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四騎士GAFAは、なぜ叫ばれるのか?2

こんにちは、のぐです。今回の書籍は、前回に引き続きScott Gallowayさんの「the four GAFA 四騎士が創り変えた世界」です。訳者の方は渡会圭子さんです。今回もいつものように、前の記事と本記事で紹介する内容をA4にまとめてみました。

叫ばれる理由

本書の結論です。叫ばれる理由は

このGAFAが既存のあらゆる市場を独占してきたから

です。なぜ、ビジネス市場はこのような事態に至ったのか。どのようにしてGAFAはこのような構図を創れたのか。本書の内容をこれから4つの記事に分けて紹介していきます。この記事は2つ目です。

四騎士、GAFAの説明については前回の記事をご覧ください。
また、amazonとAppleについても前回の記事で解説しています。

前回の記事: https://note.com/bigshiny/n/na5fcc1d7f1a3

今回の内容は、残り2つの巨頭facebookとGoogleについてです。facebookとGoogleは、人の潜在的なニーズをどのようにビジネスに落とし込んだのか、そして目指すところはどこなのか、筆者の方の主張を参考に一緒に考えていきましょう。

facebook 「人類の1/4を繋げてしまった怪物」

人が欲しがるもの

人がモノを購入するときは必ず次の順序を経ます。マーケティング担当の方は必見です。

「認知」→「検討」→「購入」→「支持」

このプロセスとfacebookを繋げるポイントは2つあります(前者は、本書で書かれていましたが、後者は自分の個人的な意見です)。

その商品はfacebookにより「認知」される
その商品はfacebookにより「支持」される

facebookが私たちの生活と切り離せないことを示すデータがあります。人は毎日50分ほどfacebookのプラットフォームを見ているというものです。facebookのユーザーは20億人いますから、一つの国よりも経済に大きな影響を与えることができます。

そんなfacebookのプラットフォーム上で、我々は「これいいな」とある商品を「認知」するし、実際に使い心地がよかったら「これいいよ」とある商品を「支持」します。

つながること(愛)=幸福

facebook以前はローカルでの「つながり」しか持たなかった人類は、オンラインでも「つながり」を持つことで、他人のための行動が増えます。これを人は愛や思いやりと言います。それまで気にもしなかった地球の裏側の生活をfacebookを通じて見ることができて、思いやりの気持ちが行動を促し、この世界に愛がたくさん増えることはとてもいいことです。

20億人のプラットフォームはどのように出来上がったか?

人が潜在的に持っている「一体感、賛同、安全」というニーズを、「いいね」というシステムによりビジネスに応用した。より正確には、そのようなニーズを「いいね」という承認で満たし、ユーザーが増え、大きくなったプラットフォーム上で広告事業により収益を確保する、といった構造です。「愛」のうらにはしっかりと「お金」が回っていますね。

プライバシーとレコメンドの冷戦

プラットフォームで得たユーザーの情報をAIにより学習させ、「個人レベルでのマーケティング」が可能になりました(今までは「集団レベルでのマーケティング」であったのですが)。分かりやすく言えば、「野球がお好きな方へ」というオススメではなく、「あなたへ」というオススメに変わったよ、というお話です。そのような世界で、筆者の方が危惧していらっしゃることは次のようなことです。

「私の好きなもの」をオススメしてくれるのはありがたいが、
「私の好きなもの」を知られていることは怖いというジレンマ

レコメンドとプライバシーの冷戦とは、このことです。

世界を分断に導く

筆者の方がさらに危惧していらっしゃることがあります。それは、

世界の分断を深めていく

ということです。例えば、過激派はfacebookのプラットフォーム上で過激な情報を見るとします。そこでfacebookのお家芸レコメンドが披露され、その過激派はさらに過激な情報を収集してしまいます。その過激の度合いは段々と強まっていき、やがて「we」VS.「they」という分断を深めるということです。

当のfacebookはこれに対し、

私たちはプラットフォーム企業であってメディア企業でない

と反論します。どういうことでしょうか。メディアと認めると、フェイクニュースを削除するというジャーナリズム精神が求められます。これは、フェイクニュースのような過激な情報はview数が伸びるので、facebookからすると莫大な損失につながることを意味します。ならば、「私たちはプラットフォーム企業であり自由な意見を尊重する」としてしまう。そのようにすれば、収益が減ることなく、客観的に見たら一見いいように聞こえます。

人類の1/4を繋げってしまった怪物は、世界規模の悩みを抱えています。

Google 「全知全能で無慈悲な神」

「知りたい」を叶えてくれる神

人は1日に約9000回の意思決定をすると言われています。後悔しない選択をするためになくてはならないもの、それが「知識」や「情報」です。このような理由からも人は本能的に「知りたい」という欲求があります。そのような欲求に手を差し伸べて「答え」をくれる神を我々は「グーグル」と呼んでいます。

絶大な信頼

グーグルはなぜ他の検索エンジンより群を抜いて支持されるのか、その答えはグーグル自身に聞いてもいいですが、ここに示します。

検索エンジンの画面がシンプルである

真っ白な背景に、「Google」と書かれたロゴだけ。検索エンジンの周りには企業の広告は一切ない。まるで

「知りたいと願ったことを正直に書いてみなさい。
最適な答えを差し上げます。」

という言葉が聞こえてくるようなシンプルさです。そして、実際に知りたかった最適な答えが返ってくる。この絶大な信頼がグーグルの比類ない強さです。

コンテンツ業者たちの舞台

グーグル自体はコンテンツを持っていません。グーグルは「ニューヨーク・タイムズ」のようなコンテンツ業者からもらったコンテンツを利用して、自社の広告のためにたくさんのクリックを集める。インターネットという土地を管理する領主がグーグルであれば、ニューヨークタイムズのようなコンテンツ業者たちは小作人です。

筆者の方が「グーグルは神である」と仰る最大の理由が

誰にも気づかれずに領主を担当する

ということです。コンテンツ業者たちは「自分たちがグーグルを利用して認知を広めているのだ」と錯覚している間に、グーグルは「コンテンツ業者たちを利用して」いつの間にか誰も逆らえない神となってしまいました。

神の逆鱗

ここで「逆らう」というのは、グーグル以外の他の企業が意図的に自分たちのHPをグーグルの上位検索画面に載せることです。かつて、このようなことがグーグルにバレて天罰を喰らった企業がいます。その天罰とは「その企業のHPを検索結果の下位に交代させること」です。他の企業にとっては、このことが恐ろしくて逆らえません。

Googleについてまとめます。検索エンジンというただ一つの武器は圧倒的な力を持つ。世界中のあらゆる情報を整理して活用する、グーグルの事業は

場所(Googleマップ)
地理(Googleアース)
Youtube(動画配信サイト)

と歯止めを知りません。次は我々にどんな世界を見せてくれるのでしょうか


ここまで、GAFAのビジネス戦略を人間の本能の観点からみていくという、とても興味深いものでしたが、次回の後編では、このGAFAの強みから作り上げられた「神話」や、「個人」として四騎士時代を生き抜く術、さらにGAFAの「未来」などを、本書を参考にご紹介していきます。
最後に本記事の重要な部分のみを抜き出してまとめていきます。

facebook
ビジネスのターゲット: 「承認・共感されたい」という人間の潜在的な欲求
目指すところ: 世界中のあらゆる人たちが国境をこえて「つながる」こと

Google
ビジネスのターゲット: 「知りたい」という人間の潜在的な欲求
目指すところ: 世界中のあらゆる情報を整理し、それを活用して人々の生活をより豊かにすること

両者に対する筆者の方の懸念点・願い
世界中のあらゆる人々が両社のプラットフォームに触れるということは、同社はメディア企業にもなりうる。それゆえに世界が「私たち」VS.「彼ら」と分断されてしまう。その対策としてフェイクニュースやネガティブな情報の削除を願いたい。


本記事をご覧になった皆様の今後のご多幸をお祈り申し上げます。
それではまたの出会いを楽しみにしております。

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