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【読書】決算書×ビジネスモデル大全

たまには会計の本が読みたいと思って、決算書からビジネスモデルを知るという本を買ってみました。

決算書×ビジネスモデル大全という本です。

これは面白い本ですね。こういう視点を持ててこそ決算書を理解できていると言えますし。

対象者は会計中級者以上

本書は財務諸表を知っていることが前提条件です。

B/Sにおける流動資産、固定資産、投資その他の資産、流動負債、固定負債、純資産が何なのか?

P/Lにおける売上高、売上原価、販管費、営業外損益などが何なのか?

CF計算書における営業、投資、財務それぞれの活動におけるお金の出入りとは何か?

これらを知っていることが前提条件となります。もし知らないなら、何を言っているのか解らないでしょう。

よって会計中級者以上が対象になると私は考えています。

比例縮尺図を作るとボリュームが解りやすい

本書にはB/SやP/Lの比例縮尺図が出てきます。B/SやP/Lを図で表し、数値が大きいほど面積を大きく描くのです。

こうすると流動資産が大きいとか、売上原価が大きいなど、何が大きくて何が小さいのか、割合で見ると特に大きいのは何なのかが解りやすいですね。

同業他社と比較して数値が違うところからビジネスモデルを考える

本書では同業社を数社用意して決算書を比較しながら解説しています。

やっぱり比較してみると違いが解りますね。というより比較しないと違いは解りません。

P/Lで言うと、A社は売上原価が大きいけど、B社は販管費が大きいなどが比較によって解ります。そして外注やファブレス、フランチャイズなどによって売上原価を抑えていたりするわけです。

B/Sで言うなら、C社は固定資産が大きいけどD社は固定資産が小さい場合、店舗が賃貸が所有かの違いがあったりします。

無形固定資産にのれんが積みあがっている場合は、M&Aをやったことがあります。M&Aは経営戦略としてはとても影響力が大きいものです。それも決算書から読めるわけです。

粉飾はCF計算書から探す

粉飾はとても悩ましい問題です。たまに上場企業が粉飾によって倒産することがあります。

私の知人でも上場企業に転職したら粉飾で倒産したというケースがありました。当初は「やったぜ!」と言っていたのに、半年したらニュースに出てしまい、会社が身売りしてしまったそうです。離職者も大量に出たそうです。

本書では粉飾をCF計算書から探すとよいと解説しています。なぜなら一番誤魔化しにくいからだそうです。

CF計算書に記載される預金は監査法人が銀行に問い合わせるため、誤魔化すことができないのです。

誤魔化せない数字を基準に積み上げていくなら、粉飾しづらくなるわけですね。

一方で監査法人はマンパワーの都合から明細を全てチェックすることはできません。サンプリングチェックにせざるを得ません。

そうなると仕入明細や売上明細は誤魔化しやすいわけです。ここは回転期間を使って不自然に長い年がないか、業界平均と比べて極端に長くないかを確認するとよいようです。

終わりに

決算書を読めるとここまでビジネスモデルを理解できるという本でした。むしろビジネスモデルについて当たりを付けられるという表現がいいですね。

こうなってくるとただ儲かっているかどうか、財務的に安定しているかどうか以上のことが決算書から読めます。とても面白くなってきます。

会計の知識を活用したい方、会計スキルをもっと高めたい方は勿論、事業を作る立場の方やコンサルの方にもおススメしたい本です。

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