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エルヴィンへの反語的回答ー非政治的「敵」概念試論②ジークの「敵」
ジークの「敵」−『進撃の巨人』
次に同じ『進撃の巨人』から、ジーク・イェーガーが抱いていた「敵」概念について分析していく。先の章でも少し触れた通り、彼は作中において巨人=エルディア人問題の「最終解決」を唯一合理的、説得的なかたちで構想しえた人物である。内実は後ほど明らかにするとして、エルディア人を子どものつくれないからだに創り変える、という計画が実現していれば確かに「巨人のいない世界」が創造され
わたしはあなたに語りかけている
白木は、乗るはずだった電車が甲高い音を上げて通過していくのを眺めながら、辞めよう、と思った。会社を、辞めよう。そう心の中で唱えてみると、先程まで塞いでいた気持が嘘のように晴れ渡っていく。会社を辞めよう。やりがいのないデスクワークから抜け出そう。性根の腐った上司から逃げ出そう。そうして、自分が本当にやりたかったことをやるんだ。いや、まずは本当にやりたいことを探すところから始めなければ。彼は砂時計をひ
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