見出し画像

エッセイその8. 私たちの生きる時代(国税調査に回答して)

国勢調査に、ネットで回答しました。

入力しながら感じていたのですが、
この前の国勢調査のときって、こんなに嫌な感じ、しましたっけ?

『国勢調査には回答の義務があります』

そう封筒に書いてあるけれど、
そしてその同じ文言は、前回の封筒にもきっとあったのだろうけど。
今回はそれが、飲んだ後食べてしまったラーメンのように、
すごく気持ち悪く、胃にもたれるのに気が付きました。

タブレットを開き、入力を終えて印刷、改めて読み返してみると、
回答しなくてよかったのは、どうやら誕生日だけ。
誕生の年と月までは書く欄がありますからね。

これでは、いくらマイナンバー「カード」発行を見送っていても、
こうやって把握されます。
様々な福祉サービス利用などにも、不可欠の情報なのかもしれませんが、
介護保険や高額医療補助その他、何を利用するにも、
その都度、笑いたくなるほどの煩雑な手続きをしています。
じゃあ、都度の申請でよくないのかしら。


国勢調査になんの抵抗もなく きちんと答えることが、
以前の私にはできていたんでしょうか。

回答するのは国民の義務です とおっしゃるけれど、
税金・年金・介護保険料を払うことで、
現在の国と現在の老人を支えている私たちには、
自分の老後の保証がなされている実感が乏しいです。

ごまかそうとするのは政治家やお金持ちの皆さんが多く、
大多数の一般人は、みんなそれなりにコツコツ頑張ってるし、
ずるはしていないと思う。

国税調査の回答、それは義務なんだろうけど、
義務を守るには、権利が保障されていないとだめよね?

政権が変わると、
【人死にが出ても、調査されず、なかったことにされる】
この美しい国、にっぽん。

この頃、自分が生まれて育った昭和の時代を思い出します。
煙突の赤っぽい煙に彩られたような空気や匂いまで。

どぶ、と呼ばれた側溝に、メタンガスだかなんだか、ぶくぶくしていた下町。
光化学スモッグが出たよ! ってんで、家に呼び込まれた夏休み。

都電の木の床に塗ったワックスの油っぽい匂いは強烈でした。
あれで乗り物酔いをしてしまった。

動物園の動物たちは、劣悪な環境で、
鬱っぽく行ったり来たりしていた気がする。

昭和生まれの私たちは、激しい変化を経験し、
ぎりぎりのところで、日進月歩の技術を、
なんとか崖っぷちにぶら下がるように、体験しているところです。

音楽は、LPに45回転を、アームをそっと置いて聴きましたね。
さすがに私の子供の頃は、8ミリや、オープンリールはすでに遺物になりかけ、
カセットテレコ、ウオークマン、MD、iPodへ。

ジーコロジーコロ言うダイヤル電話から、ガラケー、スマホ。

三大新聞は信じるに足るものでありました。
為政者が都合の悪い情報を隠匿したり、シュレッダーしたり、
なんて、想像もしなかった子供でありました。

NHK受信料は払うのが当たり前で、
良質の海外ドラマや相撲はNHKで、家族で、茶の間で一緒に楽しむものだった。

牛乳は、玄関先に打ち付けた木の箱に、
家族分だけ毎朝、カチャカチャと届いたものでした。

ウーバーイーツなんて夢の夢、
お客さんがあれば近所の寿司やや天ぷらやから
バイクの後ろの箱に乗っけてご馳走が届きましたっけ。
下町の人間て、お金はなくても、外食や店屋物が好きなんですよね、昔から。


フェイクニュースはもとより、メディアの情報操作なんて知らなかった。

大本営発表を信じて裏切られたのは、親や祖父母の世代で、
自分たちにはそんなこと関係ないと信じていた。

分厚い山川の歴史の教科書は、赤と青の表紙。
歴史は 通りいっぺんに教えられるだけでした。
年明けは、卒業式の練習で忙しくなるからだそうですが、
近代のことなんて、学校ではあんまり習わなかった。
(都合のいいことに? 誰の都合?)


スティーブ・ジョブズさんがいなくても、
いずれは今と同じ、ネットの時代が来ていたことでしょうね。
私みたいなおばさんが、こんなところに書き込める時代が来るとは。

本当に、いろんなことが、びっくりするぐらいに変わりました。

よかったこともそうでないことも、きちんと見続けるのが、
私たち大人の義務なんじゃないかと思っています。

海外で大勢の子供たちに日本語を教えている友人が言いました。

以前は、日本てこんないい国なのよと、
誇りを持って教えられたけど、
最近はそうでもないの。

と。

私たちは、温まっていくばかりの星に、
何かの偶然で広がり、寄生して 生かされています。

自然環境の破壊や、蜜蜂がおそらくいなくなってしまうこと、
次々やってくる新手のウイルス。
今すぐ何か対策しても、もう間に合わないのだという話も聞きます。

でも、いますぐできることは、していかないと。


これから大きくなっていく子供たちに。

親よりも低賃金で生きていくことになりそうな、
一人が数人の老人を肩車していくようにセットされた子供たちに。

頑張って、明るく生きていってほしい。
希望を持って!

と、真顔で言えるんでしょうか、私たちは。

言えたら、とんでもないお花畑脳です。

コロナウイルス禍で、身動き取れない今だからこそ、
ときには流れに身を任せるだけでなく、考えないといけない。


そんなことを、国勢調査に「義務として」回答してから思いました。

みなさんはどう思われました?


サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。