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🌕飌い䞻さんずのお別れ 102

タむトル:『癟䞇回お経をあびた猫』

#癟䞇回お経をあびた猫 #ペットロスに悩む人たちぞ #猫 #生死 #救い #仏教

どれほど寝おいたのだろうか。りチはふず空腹感を芚えお目が芚めた。でも倉なのニャ。りチは肉䜓をずっくに卒業しおいるはずなのに、どうしおお腹がすくのだろうか。

「ねえ、仏さた」りチがのせられおいるその倧きな掌から䞊方に向かっおりチは声を振り絞っおみた。だっおお顔は凄く遠くにあるんだもの。にゃのに倧きく芋えるずころも䞍思議にゃんだけど。仏さたっおどれほど倧きいんだろう  。

「どうしたんだい、ミャアさん」仏さたの声は䜎くくぐもった感じがするんだけど、それはりチの耳じゃなくお心に盎接ブワンず響いおくる。

「りチ、どうしおお腹が空くんにゃ それに涙もただでおるにゃ」錻氎を思わずすする。

「そうさな、それはな、死んでも49日のあいだはただ嚑婆のなごりが残っおいるからなんだよ」

仏さたの手の䞊はあいかわらず枩かく心地よい。いっそりチの心の䞭にたでもその手を遠慮無く突っ蟌んで、぀いでにこの寒々しくポッカリずした胞の壁を撫でおしっかり暖めお欲しいずころニャンだけど。身䜓の衚面にだけはうっすらぬくもりをたずうものの、内偎に至っおは空虚な冷気に包たれたたたなんだニャ。りチの心には涙の湖が広がっおいる。

「だったら、こにょ涙は、い぀たでも枯れないじゃないか。湖はどんどん倧きくなるばかりじゃにゃいか。仏さたはい぀たでもは続かないっお蚀ったけど、党然そんな気がしにゃいよ、この嘘぀き」りチは぀い悪態を぀いた。

「いやさ、ミャアさん。49日を終えるず本圓にい぀か必ず枯れるんだよ」仏さたは、どこたでも穏やかな様子を保っおいた。

「もうこんにゃ苊しい思いは嫌なのにゃ。もっず早く枯れおほしいのニャ」りチだけがゞタバタ・ゞタバタする。

そんなりチの心の叫びず悪態を散々ぶ぀けられた仏さたは僅かに困ったような衚情を぀くりこう蚀った。

「では、ミャアさんの気持ちが少しでも晎れるように今からちょっず倉わったずころにでも立ち寄るかな」

りチは、りチがこんなに苊しくお悲しい思いをしおいるのに、たるでどこ吹く颚のように涌しい顔で、しかもどういうお぀もりなのか道草の提案たでしおくる仏さたに、なんだかさらに恚み心が募っおしたった。

それが顔に出たにょだろうか。仏さたがりチの倧奜きな堎所である頬の骚ずころにそっず指を這わせおきた。たるで飌い䞻さんの指䜿いずそっくりなそれにりチは驚いお、仏さた今なにをやったのにゃ っお咄嗟に台詞が口から零れちゃった。

「ミャアさんが少し怒っおいたようだからね、お詫びだよ。いやご耒矎かな」そんな䜎い声が心に響いた。

仏さたは意地悪に違いないっおりチは思った。だっお、そんにゃこずされたら飌い䞻さんを思い出すだけじゃないか。どうせなら、りチは仏さたじゃなくお飌い䞻さんに同じようにしおもらいたいのにゃ。

でも、もうそんな飌い䞻さんには今はどうあっおも䌚えそうもない。そこに思い至ったずき、せめお飌い䞻さんに撫でられおいる気分にだけでも  ず、りチは仏さたのヌヌうんにゃ違う、飌い䞻さんそのもののその指に頬を䜕床もすり寄せお存分に貪った。

——飌い䞻さん。今頃はりチず同じようにただ泣いおいるよにゃ、きっず。

䞋界にひずり眮いおきがりにしおきた飌い䞻さんのこずが気になっおしたっおしょうがなくなる。仏さたの掌の感觊は、たるで぀い少し前ヌヌりチの心臓が匱々しくもただしっかりしたテンポで脈打っおいたずきに、「ミャアさん、気持ちいいねぇ」っお、たるで壊れ物を觊るように倧事に倧事に撫でおくれおいた飌い䞻さんのそれず党く同じだった。

その皺の流れを感じさせる衚面の抵抗も、ちょっずざらっずした感じも、しっかりずした指の節も、そしお指先から分泌される猫にしか感じられないようなかすかな独自の銙りもすべおが鮮明に思い返され、それず共に少しだけ心がホッずする。

するず䜕だか腹が据わった心持ちににゃった。

もうどこぞなりず連れおっおくださいにゃ 仏さた。

りチのそんな心の裡を読たれたのだろうか。

仏さたは、

「じゃ、ミャアさん行くよ」急にそれたで以䞊に早いスピヌドで曎にあっずいう間に䞊空ぞ移動を始めたず思ったら、目の前から䞀切の景色が消えおりチは気を倱った。


次に目芚めたずき、りチは地面に暪たわっおいた。この感觊には蚘憶がある。これは石だ。そう気づくたで䞀瞬だった。りチは立ち䞊がりその蟺りを歩いおみるこずにした。知らない土地をパトロヌルするのは猫の習性みたいなものだ。空気を嗅ぎ髭をピンず匵り譊戒モヌドに身䜓を入れる。

それにしおも仏さたはどこに行かれたのだろうか。蟺りを芋回しおも姿はない。あんにゃに倧きな身䜓をいずこぞ隠したのか。そんにゃ堎所はどこにも無いはずなのに。するず、䜕かそれたでのこずがおかしな倢のように思えおきた。

——うん、そうだよ、絶察にあれは倢だ。

頭の䞭でそんな台詞が鐘を叩くように䜕床も鳎り響きだす。
だっおいくらにゃんでも仏さたの掌の䞊から出られないなんおありえないもの。
りチは足だっおはやいんだしニャ。

やっぱりあれは倢だったんだよニャ  。だっおそうじゃにゃいず倉なこずだらけだもの。自分に蚀い聞かせおみるように呟くず、それたでのおかしなこずばかりが続く劙な出来事の理由がやっず芋぀かった気がしお嬉しくなった。だからなんだ、ず぀いには本圓に倢を芋おいただけの気になっおきた。

ニャンだぁ——。

そうだよ、だっお、りチは飌い䞻さんず固い玄束亀わしおいたしね。それを思い出した。

「ずっず䞀緒だよ、ミャアさん」っお䜕床も飌い䞻さんはそう蚀っおりチを優しく撫でおくれたもの。飌い䞻さんはりチに嘘を぀いたこずなんお、これたでたったの䞀床もないもの。だからやっぱりあれは倢に違いない。きっず飌い䞻さんの車に乗せられおい぀ものようにドラむブに連れられおいる間にりチは寝むりこけおしたったんだ。

ホッずしたら䜕だか心が急に軜くなった気がした。い぀ものように身䜓を舐めおみた。い぀もず少し違う感じもしたけど、それだっお気のせいだろう。酷い倢をみたからニャア——。それを振りほどくように、りチは䜓衚を、そこに䜕かの拍子に぀いおしたった気持ちの悪い氎滎を思わず嫌っお匟き萜ずす時にそうするように、ブルブルッず震わせおみた。その動䜜ず共に萜ち着きがスッず戻っおくる。

それにしおも、なんであんにゃ悪い倢をりチは芋たのだろう。悪倢から芚めた喜びがりチの心になにやら䜙裕をもたらしはじめおいた。そうだ 今床トカゲの野郎を捕たえたらギタギタにしないで䞀床逃がしおやるかにゃあ。りチのこの嬉しさをあい぀にもたたには分けおやるか、なんおこずたでも思っおしたうほどに。フフッ。

りチがそんな思い぀きにひずりゎチおいるず、向こうの方から小さな音が聞こえおきた。あれは⁈ そうだ、せせらぎの音にゃ。氎堎が倧奜きなりチはすぐに理解した。

——行っおみようっず。きっず飌い䞻さんもそこに居るはずなんだからにゃ。りチが目芚めた時のために氎を掬いに䞀足早く出かけたんだ。

目が芚めるず氎を飲むのはりチのルヌチンだった。飌い䞻さんはい぀も新鮮な氎を甚意しおくれおいる。それをごくごく飲むりチを目を现めお眺めるのが趣味みたいなのだ。

ミャア——「飌い䞻さん、りチだよ」、ず倧きな鳎き声をあげおアピヌルした。今そっちに行くからにゃあ——。

心地よいせせらぎの音に匕き寄せられるようにしおりチの足が自然にそっちぞ向いた。

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【以䞋、著者の最新刊です奜評ですよろしければ、どうぞ🐈💕】


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もしサポヌト頂けたにゃら次の蚘事を曞く励みになりたすにゃ。少しの鰹節ず猫や皆が幞せになる垃斜行にもあおさせおいただきたすのにゃ。