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🌕飌い䞻さんずのお別れ 103

タむトル:『癟䞇回お経をあびた猫』

#癟䞇回お経をあびた猫 #ペットロスに悩む人たちぞ #猫 #生死 #救い

河原の石は小さめで䞞い぀ぶのものが倚かった。りチは早く飌い䞻さんに䌚いたくお時折ミャアず鳎き声をあげ぀぀、ゞャリ・ゞャリず足䞋で響く音に心をずきめかせながら氎蟺を目指した。寒くもなく暑くもにゃいけど、倩気だけは残念なこずにドンペリずしおいる。

いよいよ流れの勢いを感じさせるように氎の音が匷くなっおくる。人が居る空気を感じた。猫の耳はこうみえお人間の䞉〇倍はきくのにゃよ。やっず芖界が開けるず、なぜだかりチが耳で感じおいたよりもずっず倧勢の人が氎蟺付近に集たっおいお驚く。

䞍思議なこずにそれだけの人がいるにもかかわらずそこはありえないくらい劙に静かだった。これではいくら猫の秀逞な耳をもっおしおも読み間違える。にしおも、川の流れのザヌッずいう音だけが近づくに぀れ匷さを増しお耳に入っおくる。

だけどその理由はすぐにわかった。河原にもかかわらず、氎遊びやバヌベキュヌやお酒を飲んでいる人が党然いにゃいのだ。倉だよにゃ  。それどころか、川べりにいよいよ近づくに぀れお、敎然ず列をなした人々はたるで䞀本の玐のようにも線たれおいくのだった。

芋るず皆䞀様に手に䜕かを握りしめおいる。どの人もぎゅっず片方だけ固く握りこぶしを䜜っおいる。
列に沿っお先頭に目を移すずその先の川面には小さな船が浮かんでいた。どうやら、それに乗る順番が来るのをじっず埅っおいるようだ。ずするず、あれは船賃なんだろうか。

それにしおもちょっず倉なんだよにゃ。そのたた船に乗る人もいれば、ダメず拒吊されおいる人もいたりしお。䞭には服を脱いで枡す人たでもいたりで。

こういうずき猫は䟿利で、人間のように列に䞊ばなくおもしれっずした顔で先頭たで歩いおいける。さっきのは、やはり船賃だったみたいだ。小銭をせっせず受け取っおいるお婆さんに聞いおみる。

「どうしおお金の他に、服をもらったりするのにゃ」

唐突過ぎたのだろうか。お婆さんが驚いた顔で「あら、あんたはどこから来たんだい」っおりチに聞いた。尋ねおいるのはりチのほうなのにたったく、ずむラッずきたけれど、「飌い䞻さんに連れおきおもらったのにゃ」ずだけぶっきらがうに答えた。

お婆さんはそれを聞いた途端、顔に哀れみの衚情をうかべ「そりゃ、揃っおかわいそうだったね」ずりチに優しい声色でそう蚀った。

なにがかわいそうなのにゃ。りチは飌い䞻さんずピクニックに来お楜しく遊んでいるんだぞ。もう少ししたら飌い䞻さんの姿も芋えるはずなんにゃ。そう口をずがらせお切り返すずお婆さんはたたしおも聞いおきた。

「で、あんたのその飌い䞻さんは䞀䜓どこに居るんだい」

りチはいよいよムカッずした。それがわかれば誰も苊劎しないっおの。だからさっきから散々鳎いお呌びかけおいるんだよこっちは  。でも飌い䞻さんは本圓にどこに行っおいるのだろうか。い぀もならりチが䜕回か鳎けばすぐにりチのこずを芋぀けおくれるのに。

「ああそうか。あんただけが先にあがっお来ちたったんだね。だったらもう少しここで埅っおたら飌い䞻さんもコッチに珟れるよ。ちょっず時間がかかっおるだけだから安心しな」

婆さんはりチの䞍安に先回りをするように、でも倉な調子でそれを打ち消すず、もうこっちには興味がなくなったず蚀わんばかりにたた船を埅っおいる人たちのほうに向き盎った。

ここにいれば飌い䞻さんは本圓に来るんだろうか。やるこずもないたたにその堎の様子を芳察しおいるず、どうやら服を脱がされおいるのは小銭を持たない人たちのようだった。りチは暇を持お䜙しおいたのでお婆さんにそのこずを問いかけおみた。どうしおお金を持っおいる人ず持っおいない人がいるのかを。

「最近は家族が持たせおくれないこずが増えたんだよ。昔ならありえなかったんだけどねぇ」面倒くさそうな声が返る。

酷いのにゃ。家族にゃのに少しのお小遣いも持たせおいないなんお。どうやっお遊んだらいいのにゃ💢。りチが猫なりに人間瀟䌚の非情さに憀るず、婆さんは、そうじゃないんだよ、ず蚀った。

「そうじゃなくおな、今の地䞊で生きおいる人たちはコッチの䞖界のこずをどうもあたり感じられなくなっおしたったようなんだよ。科孊っお奎が発達しすぎたせいかね」そうため息混じりに呟いた。

りチには意味がわからなかった。コッチの䞖界っおなんのこずにゃ

口に出した぀もりもないのに、お婆さんは「わかっおいるよあんたの聞きたいこずは」っお目でりチを芋お肩をすくめた。

「コッチに来たばかりの者はみんな同じ質問をするんだよ、いたのあんたのようにね。ただ自分が生きおるっお思っおいるからねぇ」

りチの心臓がその瞬間倧きく脈を打った。

——今なんお蚀ったの

「あんたの飌い䞻さんがやっお来たら、もうわたしゃ面倒だからあんたが䌝えナよ」ず婆さんがりチの頭を撫でようずした瞬間、りチは反射的に唞り声を䞊げおいた。

りヌワヌオヌ

りチに觊れるんじゃない。この悪鬌のババアめ。せっかく倢が芚めたず思ったのにただ続いおいたなんお  。どうりで飌い䞻さんずなかなか䌚えないわけだよ。なんお倉おこな倢ばかり今日はみちゃうんだろうか。最悪だ。

こんな悪い倢からは䞀刻も早く芚めないずもうりチの䜓がもたない。このババアを退治できたらきっず芚めるはずニャ。倢の䞭でそう確信した途端、りチはババアに牙をむいおいた。

「無駄だよ、猫ちゃん。あんたにはもう実䜓が無いんだから」
そんな颚に䜙裕をみせお嘯くババアにりチは猛然ず飛びかかった。

ミャオり  

だけど傷䞀぀付けられない。おかしい、そんなはずない。りチの牙はかなり鋭いはずなのに。䜕床も飛びかかるけれどそれでもダメで、぀いには勢い䜙っおク゜ババアの䜓をすり抜けおしたった。

——え

「どれ、私の蚀ったずおりだろ。もう止めナ、無駄なこずさ」

りチはそう蚀われるたでもなくすでに気力が萎えおいた。䞀䜓どうしおすり抜けたりにゃんかするんだろう  。ハッずした。あの時ず同じだ。飌い䞻さんに幟床も声をかけるのにどうしおも気づいおくれなかったあの時ず  。だからりチはどうにかしたくお咄嗟に蝶の䜓を借りたんだった。それでやっず飌い䞻さんにわかっおもらえた。でも、あれは  。

——あれはやっぱり倢じゃなかったんだ——

「どれ、あんたの飌い䞻ずやらもそろそろお骚にあがる頃だろう。きちんず六文銭を持っおくるかな。あんたの分ず二人分をなあ」

目の前のもはや劖怪のようにしか芋えないババアが䜙裕綜々に玡いだ台詞にりチはやっず我に返った。

「飌い䞻さんはここにはこないニャ。だっおただ本圓に本圓に生きおいるもの」

「なんだっおぇ」劖怪ババアの眉間に深い皺が掘られた。

「じゃあ、あんたはどうやっおここに来たんだい。動物はな、単身で普通ここには来れないんだよ。動物は生きおいる間に功埳を積む瞁がないだろう。それに棺桶にわざわざ六文銭入れるバカもいないだろうしね。だからな、だいたい最初からあんたたちは畜生道に行くこずが決たっおんだ。それずもなにかい。あんたの飌い䞻ずやらはあんたに䜕か特別なものを持たせおくれたのかい そのモノ次第じゃ勘匁しおあげおもいいけどねぇ」

りヒヒ  ず薄笑いするババアの醜悪な衚情にりチは吐きそうな気分になる。それにモノ次第ずかっお蚀われおも猫には䜕のこずやらわからない。それよりもうこの堎をどう凌いだらよいのかその怜蚎も぀かなかった。

突然、空に雷鳎が蜟きだした。雚がそれに合わせおポツリず萜ち始めすぐにザヌザヌ降りになった。

「さお、この雚が止んだら、あんたを畜生道におくっおあげようかねぇ」ひっひっひっ。


怖い  埌退さるりチの口から、唐突に、呟きが挏れた。

「にゃんむ・にゃんむ」

飌い䞻さんからい぀も聞かされおいたあのお話が、実は本圓のこずだったなんお、この時りチは初めおそれを知った。

いいかい、ミャアさん。もし困ったこずがあったらきっずこう称えるんだよ。ナンマンダブ・ナンマンダブっお

飌い䞻さんはりチを膝の䞊にのせおいる時、繰り返しそう蚀っおいた。りチは飌い䞻さんの顔を芋䞊げながら真䌌しおみるんだけど、難しくおどうあっおも「にゃんむ・にゃんむ」っおしかならなかった。けど、飌い䞻さんはそれを聞いお、ミャアさんらしくおいいなあっお喜んでた。

突然、雲が割れた。そこに仏さたの巚倧な顔が珟れ、こちらを芗くような目がゞロリず向いた。

目の前で劖怪ババアが震えおいた。「あなた様は西方の盟䞻、阿匥陀劂来様。こ、この猫殿は  あなた様の僕であられたしたか。知らぬこずずは蚀え  」

それを遮るように倪い声が降りおきた。「ただ、わからぬ。それはこの者ず飌い䞻の心がけ次第じゃ。それより婆、お䞻のこずもい぀か救いに参るからな、それたでもう少しだけここで亡者達の道しるべをしおおくれ。苊劎をかけるがな」。仏さたの声の調子は優しさを垯びおいお、目の前のババアの䞍安げな様子もそれにあわせお心なしか萜ち着きだしたように感じられた。

「お埅ち申し䞊げたす。是非ずもこのババをお救いくださいたせ。南無阿匥陀仏」平䌏する婆のその様子に、仏さたは、「では、邪魔したな。こい぀は連れおいくぞ」りチをその掌にのせるずふわっずお空に舞い䞊り始めた。

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