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アナンのカレーが美味しくなる香辛料

横浜の元町の商店街を海の方に進んでいくと100年近く昔からやっている小さなお店があった。小さなお店には所狭しと世界各地の調味料や食品が並べられていて奥の方にはワインなども置いてあった。港町横浜に異国の文化や物が入ってきた頃にそのお店はオープンしたらしく、古くから近隣のお店へワインやコーヒー、スパイスやその他の調味料を配達していたそうである。お父さんとお母さんがとお嫁さんがお店番を息子さんが各地に配達にいっていた。暖かい雰囲気のご家族でお客さんに親切丁寧に世界各地の調味料の使い方などの説明をしていたような気がする。

間口は長方形のような形をした店内になっていた。入って右側にレジがあり、お父さんかお母さんまたはお嫁さんの誰かがいつもレジにいた。息子さんがそれより奥にある事務所兼倉庫にもなっていた場所でパソコン作業をしていたり、配達する商品の荷造りをしていた。店内の左奥の棚に調味料やスパイスが置かれている場所があり、そこに何十年もアナンのスパイスやカレー粉、ルゥも一緒においていただいていた。年に2回の商店街のセールが始まると色々なものを店頭のワゴンに並べていた。珍しいものも結構あったので多くの買い物客が足を止めていたのを覚えている。

石川町の駅を降り、中華街を通って山下公園まで行きそのまま元町まで行く。賑やかな中華街、大きな船が停まっている山下公園そして落ち着いた少し大人な感じの元町。月に2回くらいはそのコースを辿って何件かの取引先に会いがてらその輸入食品屋さんを目指した。輸入食品屋さんを後にしてからはあとはそのまま駅の方に戻り、帰路に着いた。アットホームなお店の家族はいつも温かく迎えてくれた。今売れているものや、お客さんのお話などもしてくれた。スパイスのことも色々訪ねてくれたので、知っていることは答えて、知らないことはまた調べることができた。そんな会話の中でふとお母さんがお客さんに相談されたことを話してくれた。そのお客さんはカレーが好きであるが、今食べているカレーをもっとスパイス感あるものにしているらしく、そのようなスパイスミックスを探しているが巷に売っているのはほとんどが辛味が入っているミックスが多く、辛くはしたくないけどスパイス感をあげたたく、今のカレーをもっと美味しくしたい。という相談だったという。

確かにカレーがもっと美味しくなるけど辛味が増さないスパイスミックスがあるととても良いと思い、帰ってから早速色々と試作を作った。柔らかく、芯のあるスパイスミックスを作ろうと思いハーブを中心とし、カレーでよく使われる辛味のないスパイスもそれに混ぜてみた。

出来上がったものはホールスパイスとドライハーブは適量に混ざったものだった。市販のカレーの仕上げにこのミックスを小さじ1つ加えると確かに良い香りでスパイス感も上がり、美味しさも引き立つものが出来上がった。

早速輸入食品屋さんに持っていったところとても喜んでいただき、すぐに商品化することになった。

カレーをもっと美味しくしたいお客さんの声をそのまま商品名にして「カレーが美味しくなる香辛料」とした。
その後「野菜が美味しくなる香辛料」「パスタが美味しくなる香辛料」も誕生した。

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