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小さなインド

大阪に行くような感覚でインドに行きたい。

 2020年2月にインドに行ったのを最後になかなかインドに行けないでいた。スケジュールの都合やら、コロナ禍の行動制限やらで重い足を動かせずにいた。昨年から行動の制限はほとんどなくなり、活動や行動の幅も徐々に広がり、今では日本のあっちに行ったりとこっちに行ったりとするようになり、今度はインドに行きたくても予定を立てるのが難しくなってしまった。

 そんな中に思いついたのが大阪に行くようにインドに行ってみよう。というものであった。大阪に仕事に行くのであったら頑張れば日帰りでもいける。ちょっと観光や人に会うのだって一泊二日もあれば十分だ。交通網が発達した現在ならば、大阪もインドも変わらないであろう。ちょっと椅子に座っている時間が長いだけで映画の3本か4本も観てれば飛行機は着くだろう。

 料理教室やらなんやらの予定の合間を縫うようにインドに向かうことにした。東京からデリーに向かい、デリーからグジャラート州のスーラットへ翌日の朝に着くように向かい、現地で3日間過ごし、またデリーに向かい数時間デリーで過ごしてから東京に帰ってきた。

 やってみればなんてことない。座りすぎでちょっと背中が痛いくらいだ。

 4年ぶりのインド。7年ぶりのグジャラート。今回は10年ぶりにインドに帰国する父と一緒に行った。インドに行かなくても生活はできるし、通信環境さえあれば仕事もできる。動かなくても良い状態が常態化してきているようで、そのままが少し居心地が良くなってきてもいた。居心地の良さとは裏腹に少しずつ自分の中でなんとも言えない不安も大きくなってきているような気がした。その不安がどんなものか最初は気がつかなかったが、その不安が少しずつ大きくなるにつれ、それは自分の中からインドというものが遠ざかって行っている不安であるような気がした。

 日本で生まれたインド人。最初からだいぶ遠くにいるが、小さい頃や学生時代に頻繁にインドに行ったり、滞在したりすることでどこか小さなインドが自分の中にいつもいるような気がしていたが、最近はその小さなインドが埃をかぶり、物陰の中に埋もれ自分でも探しずらくなってきているような気持ちになっていた。

 その小さなインドを取り戻しにいくための旅。そしてその小さなインドを保つための旅でもあったのかもしれない。だからこそできるだけ気楽に、気軽に、ちょっと大阪にでも行くかのようにインドに行ってみた。

 結果。私の中の小さなインドはまた見つけやすいところにやってきた。

 そして私の小さなインドをみんなや周りの人にも見つけやすいようにしたいと思うようになった。

 大阪ではなく、ちょっと隣の町まで行ってくる感じで今度はインドに行こうと思う。

 

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