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『死の天使の光輪』

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初の短編小説。青年はささやかな物書きであった。彼は物語を書くために、ある廃墟へ赴く。
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2022年2月の記事一覧

『死の天使の光輪』序章

『死の天使の光輪』序章

 草原を駆ける西風が草露を拭う。
 その青年は、草原に出来た小径を歩いていた。厚い雲が悠々と漂う晴れた昼間のこと。風に吹かれながら歩くその姿は、長い時間歩いていたにもかかわらず、風に足を掬われるかのような、疲れを知らない、軽い足取りをしていた。これから向かう場所へ、期待に胸を弾ませながら、青年はこれから起きる《出来事》に対する想像をたくましくしていた。
 青年はささやかな物書きであった。
 数々の

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『死の天使の光輪』第一章

『死の天使の光輪』第一章

 少女の名はケイラと言った。
「ここでずっとあなたを待ってた」
「……人違いじゃないかな」
「いいえ」
 不意に“待ってた”なんて不思議な事を言うものだから、青年は少し距離を取ってしまった。
「君はここで何をしているんだい?」
「墓守をしながらあなたが来るのを待ってた」
 少女が廃墟で墓守とは。待つだけであれば墓守をする必要は無いだろう。それはただのごっこ遊びではないかしらん。しかし、ただのごっこ

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『死の天使の光輪』第二章

『死の天使の光輪』第二章

 静かな時間、沈黙の時間が二人を包み込む。
 ふいに、はっとして、急いで少女に謝った。
「どうしてなんて聞いてごめん!答えづらいこともあるのに、全然気が付かなくて……」
「いい。別に気にしていない」
 少女は少し考える様子を見せたあと、思い切ったかのように話し出した。
「神は人の内にいる」
 そう言い放った少女は、真剣な表情をしていた。少女の言葉に、少し気押されしたが、すぐに言葉を返した。
「君が

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『死の天使の光輪』 第三章

『死の天使の光輪』 第三章

 厚い雲が日差しを遮り、二人の居る場所に陰を作る。それもつかの間のことだろう。吹く風が少し冷たく感じた。
「次は僕の考えを聞いてくれないかな?」
「構わない」
 少女はどこか嬉しそうに見えた。
「じゃあ話すよ。人々には過去の出来事で受けたトラウマがある。そのトラウマは今も人々を苦しめている。人々の心が過去からの影響で『今』も傷ついているのに、それで過去が存在しないなんてありえないよ」
 そう言葉を

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