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楽曲「セラピーフィッシュ通り」の作り方

 こんばんは。ベタです。
 こんなのどうやって作るんですか、と問われた気がするので、ニーズがあるかと思い、ベタの曲作りをドキュメンタリー形式でお届けします(あるのかな〜ニーズ…)

 その曲はこちらね。まだの人、聞いてよね。

ある日閃いた

 ある日、ソファで猫と同じ格好でだらーっとしていたら、ふと、二つのフレーズを思いついた。
 ・マイナーに9度のメロディーはふわふわして美しいんじゃなかろーか
 それと同時に
 ・盛り上がり始めた、のびやかそうなサビのエンドで、16分を連打で「ダダダダダダダダ」(2拍)って落とすと、小気味いいんじゃないだろうか。歌詞は、「あちこちあちこち」かな。

 これが、そもそもの始まりだった…!

 ベタの、長い一日が始まる。

ベタ、考える

考えている

…「あちこちあちこち」の音程は…いま頭にあるのはDで、AAGGF#F#EEね。
でも、それはDというかGの上の方で、でもDっぽいから on Aで、ということはこれ全音進行の解決(あがってあがってあがるやつ)だから、G-A-B。ということはB、ロ長調(いちばん黒鍵が多いやつ)で決まり。BM7-G#m7-GM7-G9 on Aね。

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…もう一つのほうはAパート。Bでのメロディーの出だしで、その後マイナー9度だから、BM7-G#m7(9)。ふわふわしてる旋律、ということで、ポンポンとさせてみゆ。

フワフワ

…さて全体をどうしよっかな。なんか最近じめじめして湿っぽいから、湿っぽい夏の午後、という感じで主旋律にBM7 .. B aug 5 のマジカルな旋律を入れてみてはどーかな(BスケールでBメジャーならⅥはG#だけどこれをあってはならないGにしちゃう)。あ、美味しい。この繰り返しで決まり。 →イントロやAパートの序盤と最後に多用…

考えている!

 …あ…!この不思議な雰囲気は、(執筆中の小説)「セラピーフィッシュ通りを探して」に、良いんじゃ無いか…(何が)

 決め!これでいこう。

 キーボードを出してきて、脳内の楽譜を一通り弾いてみる。(すでにほぼできてる)

 展開は、普通のA-B-C展開。ロ長調、コード進行はだいたい見えてきて、メロディーも概ね一瞬で決まる(しかし、この時は歌いやすさなんて考えてなかった…)。
 Aパートの出だしの明るくてアンニュイな雰囲気に対して、Cパートは希望。Bパートは、彷徨い歩いてる感じ。イントロは、Aの変形。

 愛用のMBPで音楽ソフトに仮に入力してく。仮に8ビートでドラムスとベース、キーボードをざっくり打ち込んで、メロディーを手弾きで録音する。

DAWソフト、シンセの使い方

 音楽ソフト、DAW(デジタルオーディオワークステーション)は、Korg Gadget2、私はこれ1つで完結してる。
 一般的にプロでもアマでも一番人気があるのはCubase+VSTというやつ+複数のソフトを組み合わせるだけど私はこれだけでいいの。
 DAWソフトの中にはシーケンサー(楽譜を入力)、ソフトシンセサイザー(PCで本物のシンセをシミュレートして音を作る)、ミキサー、エフェクター等がすべて入ってます。

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 キーボードの音色は好きなエレピにして、トレモロ強めに調整、高音、低音のフィルタで出過ぎないように調整。さらにキーボードをもう一トラック、高音&エフェクト用(キラキラ)。
 メロディーリード音をアナログシンセっぽい三角波で色気がある感じで作る(インストVerでメインのやつ、デジタルVerで左でなってるやつ。ピアノVerでは削除)。
 メロディーについて、鼻歌を歌いながら音程とリズム感を作って固め直したら、それに合わせて適当な8ビートだったベースとドラムスを、細かくメロディのリズム感や感情にがっちり合わせたり多少ゆらいだりするように全小節(現時点80小節ぐらいx40音ぐらい)全音符書き直し。ベースとドラムスだけを聞いても歌ってるようにね。もう単純な8ビートではなくなってる。またBパートはひらめいて、彷徨い歩いてる感じを、4つ打ち(テクノとか)にして淡々とさせる。

 DTMあまりこだわって作らない人は、リズム&ベースが8ビートそのままで最後までコピペで、の人がいるみたいだけど、私はメロディーやバッキングにぴったり合わせていき、全部の音でリズム感を出すのが好き。フュージョン好きだった影響かなあ。

 イントロに以前からやってみたかった、ローファイなチップチューン風(ファミコンサウンド風)なピポパ音を入れてみる。これが気に入ったので随所に補佐的なエフェクトとしてももってくる。

歌詞

 さて、歌詞をどうしよう?まずメロディーをタマタマにしてみる。

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 …で、「セラピーフィッシュ通りを探して」の世界観を想起し直して、思いつくまま書いていきながら、タマタマに合わせたり韻を意識したりしてみる。その時のメモ。

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 何度もシーケンサーを再生してメロディーを確認して、歌詞を合わせて、逆に歌詞に合わせてメロディーを修正して…を繰り返して、歌詞が固まる。

こどもの頃のように
やくそくはまほうののーとのなかに

こころの奥のやみに
ひそむあくとたたかい しょうり する ゆめを 
み て い た の
(Bは歌無し)

Even yesterday, I feel like I'm dreaming.
I'll look around.
あちこちそっちどっち

I don't even know if I was alive yesterday.
Where is the promised land?
あれこれあべこべ
ah-

 で、歌の収録。

 …通しで歌ってるのではありません。私は発声が困難なので長くも大きくも出せません。細かく録音して、波形で相当いじってます。五十回いや、百回は、録音したと思う…。そしてそれを収録するたびにDAWにあてはめて聴きながら、取り直したり、曲の方を手直ししたり…。例えばこういうところをとっさに思いついて、再度アレンジ、収録し直し。

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・ノートの中ー「にーいー」のところ、声楽風にスラーで音を下げる。
・後半あまったので、思いつきで意味なくコーラス「はーあー」をイン。

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A1パートとA2パート、できれば変化が欲しいところ。ということで考えて…
・しょーおーりーすーるー、を突然低音で蛇が地を這うように
・「ゆめを」逆に突然、縄跳びでジャンプするように。ここは「出せるだけ高い声を無理にでも出す」のが面白いんじゃないかなと思ってチャレンジしようとしたけど、こんな感じになりました(結局は声を楽器にあてはめてシンセで演奏した)。
・みていたの、の歌詞を「み・て・い・た・の」にして、メロディーを強調するように、一音ずつウィスパーボイスで発声してみたらどうかと思って。リズムもブレーク。

 このあたり低い声が出ない&高すぎる音が出ない&ウィスパーボイスで魅力的に歌うの難しすぎ…、と、メロディー作曲中は、しかし、歌いやすさなんて考えてなかった…。でもなんとか頑張りました…。

 …味がでたでしょ?

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以上。。書きかけだけど、疲れたw こんなのニーズがあるのかなぁ?希望があったら続けます。

の続き。

さて仕上げ。Bパート。

 彷徨う4つ打ちのこのシーンは、歌うんじゃなくて、以前からやりたかったポエトリーリーディング風、というか、時計がカチカチ一定のテンポでなるような雰囲気の中、悪魔がささやくように邪悪そうな英単語を発音していくシーン、が作りたかった。

 その英語の発音はどうしよう…と思って、ここはweblio先生の…

weblio先生

…これを…ごにょごにょして(秘密)…拝借。(※違法です)

 英単語は「セラピーフィッシュ通りを探して」の設定資料から30単語ほど選んで。dream,nightmare,magic,promise,life,fortune,decision,sadness,..,word,world,devil,evil,death,god,Jerusalem,そしてtherapy+fish+street。

 それと、このBパート起案時からぜひやりたかったこととして、完成版では2番目から登場する、「ギャーーン!」と切れ込むようなアナログシンセの太いサウンド、でメロディーソロを手弾きで入れました。かっこいいでしょ?Cパートにも似合ったのでいれちゃいました。

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全体の構成と、ミックス。

 イントロ、Aパート・Bパート・Cパートができたので、構成をちょっと考えてごにょごにょする。

 イントロ・Aパート・Bパート・interrude(イントロ’)・Cパート。2ばん、は高いエレピでアルペジオを入れて、よりウェッティにしてAパート、Bパート(前述のアナログシンセソロが入る)、interrudeなしでCパート、とテンポよく。3ばん、Dパート(Bパートのより緊張感を増したアレンジを思いつきで入れた)・interrude(イントロ’短い版)そしてラストにCパート3(Lalalaのみ)をしつこく連続してフェードアウト。

 ミックス。各トラックの音量のコントロール、パン(左右の位置決め)、エフェクター(お風呂みたいにするリバーブ、とか、ディレイ:反響音とか)の設定。実はミックスはこれまでも各部を作りながら徹底的に調整しながら作っているのだけど、最終確認。6分になった曲を完成した!と思ってから20回ぐらい聞き直して、ほんのちょっとずつ調整してます。

 ボーカルをもっと前に出すか、リズムセクションをひっこめるか。ボーカルのディレイをどの程度にするか(デジタル版はじゃぶじゃぶに。左右に声が飛び跳ねてると思う)。目立つアナログシンセを強烈な印象を残したままどのくらいまで抑えられるか。それから気に入ってるトレモロ入ってるエレピ、あくまでバッキングなんだけど聞こえなさそうで聞こえる程度にポジショニングさせるには。もしかしたら音色(フィルターだけで音色を変えれる)を調整すべき、とかヘッドフォンにさらに耳を済ませて考えます。

 モニタースピーカーチェックもします(iPhoneのスピーカーから小さめの音で聞いてみる)。

オーサリング

 以上を満足するまでDAWで調整し、2チャンネルの波形ファイル(WAVファイル)として完成した次は、それをnoteにアップすることもできるのだけど、WAVは巨大なので普通mp3などに変換します。その最終の作業が「オーサリング」。波形編集・mp3等変換ソフト(私は安いやつ)で変換するのだけど、そのままだと大抵、音空間が綺麗すぎて「音圧が足りなすぎる」。すると、iPhone等でこの曲と、他の一般の曲を聴き比べた時、あまりにも「音が小さい」ことになってしまいます。なので、この波形編集ソフトのほうで、ノーマライズ(最適化)&コンプレッサー(音圧をあげる)、またイコライザー(細かくお好みに調整)などにかけてごにょごにょごにょごにょ…視聴…ごにょごにょごにょごにょ…視聴…を続けます。…それだけを1時間ぐらい。そして…

かくして「セラピーフィッシュ通り」は完成した。

(そのあと1トラック抜けてたことが判明して急遽取り直したことはご愛敬…)

 …24時間ぐらい寝てない何も食べてない気がする…。noteにアップしたら鳥がちゅんちゅん鳴いてる…。今日もそういえばこの少し後にオンラインで打ち合わせがあるんだった…orz。ちょっとだけ寝て、それからお風呂に入っていたその時であった…。

 「…あれ装飾を排してピアノメインにすればシックな曲になるよね?」

 と天からの掲示が…。

 かくして、ベタの新たな長い一日が始まるのであった。

「セラピーフィッシュ通り・ピアノVer」

 ボーカルトラック以外全部外して、だいたい即興で考えたピアノをレコーディングして(もちろん少々デジタルで手直しして)。

 ピアノは、左手はベースをガーンと叩いて、その直後両手でコードを八本ぐらい指を使ってバーンと入れて、そのあと右手でコロンコロンと、高い音を入れるパターンで。王道ですね。

ぴあの

 でも、欲が出て、消してたエフェクトトラックを少しだけ復活、また構成としてイントロ・A・Bの次、interrudeからベースが、Cパート3の最後からはドラムがフェードインしてくるようにしたら、…なんか、しっとりとした気分がだんだん晴れてくるような、構成としてシンプルでとても良くなった気がする。リズムセクションの音色も、ジャズ風にアコースティックなセットにしたよ。 

 ↓ピアノバージョンも聞いてね。

 エンディングは、解決しないであいまいにend。シックでしょ。

隠し味

 手弾きのピアノ、ちょっと味付けとして、ベースとコードを両手で叩きつつもたまに余った指で踊るような旋律を入れてるのと、Cパートで一瞬入れた32連譜に気づいてくれました?

解説は以上…、果たしてご興味はありましたでしょうか…。

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楽しい哀しいベタの小品集 代表作は「メリーバッドエンドアンドリドル」に集めてます