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平素はALT+(オルトプラス)編集部の記事に興味を持っていただき、ありがとうございます。

今回は「断る力」について考えてみたいと思います。先日、某クライアント様のご支援の現場でお客様と会話していたら、ふと、この「断る」ことが話題にあがりました。私自身、過去に、時間やモチベーションのことでずいぶん悩んだ記憶があります(特に30代前半から半ばにかけて脂が乗っている頃)。

思い起こせば、いろいろなステージで、さまざまな方々から提案や依頼を受けてきた中で、やりすぎたり、やらなさすぎたりと、失敗と成功の繰り返しだったと思います。

これまでに、断ることだけに焦点を当てて、突き詰めて考えることはありませんでしたが、今の私は、「受ける」ことと「断る」ことのバランスがうまくコントロールできているのではと思っています。理由はシンプルで、毎日がストレスなく、抱えすぎている感が無いからです(程度問題はありますが)。

では早速、本文に入っていきましょう。


1. 断る力とは何か?

断る力とは、他人からの期待や要求に対して「NO」と伝える力です。これは一見、冷たく感じられるかもしれませんが、実際には自己を守り、健全な人間関係を築くために必要不可欠なスキルです。私たちは日々、友人、家族、同僚、上司などからさまざまな依頼を受けます。しかし、すべてに応じてしまうと、自分の時間やエネルギーが失われ、本当に重要なことに集中できなくなります。

ここで大切なのは、「断る」ことが必ずしも他人を拒絶する行為ではないという点です。むしろ、自分の限界を認識し、他人に誠実であるための手段です。無理に引き受けると、最終的に期待に応えられなかったり、自分のストレスが増えたりしてしまいます。そのため、最初に「NO」と伝えることが、相手との信頼関係を守りつつ、良好な関係を保つ秘訣です。

さらに、断る力を効果的に発揮するためには、普段から自分を周囲に対して分かりやすく認識させておくことが重要です。特に「自分の意見をはっきり述べる人」として認知されていると、他人からもそのスタンスが理解されやすく、いざ「NO」を伝える際にも抵抗感が少なくなります。これは、周囲の人々に「断るに値する人物」という印象を与えておくことによって、結果的に断りやすくなるという、極めてシンプルな理屈です。

つまり、断る力を養うためには、自分自身の価値観や優先順位を明確にし、他人に対してその姿勢を普段から示すことが大切です。自分の意見や意思をしっかり伝えることで、相手もあなたの立場を理解しやすくなり、より良い人間関係を築くことができるのです。

2. 断ることで得られる自由

断る力を身につけることで、私たちは多くの自由を手に入れます。無理に他人の期待に応え続けることなく、自分の時間やエネルギーを自分の大切なことに使えるようになります。その結果、生活の質が向上し、精神的な余裕も生まれます。

精神的に余裕ができると、私たちは冷静に物事を捉える力を持ちます。余裕がないときは目の前のことに追われ、視野が狭くなりがちですが、時間と心に余裕があれば、全体を俯瞰し、状況をより客観的に見ることができるようになります。この冷静さは、判断力を高め、ミスを減らす要因となります。

さらに、自由があると、私たちの目が研ぎ澄まされ、細部まで注意を払う余裕が生まれます。結果として、仕事がより丁寧になり、質が向上するのです。パフォーマンスが向上するだけでなく、その過程に熱意や情熱が加わることも少なくありません。自分のペースで物事を進めることができるため、ストレスが減り、心地よく仕事や生活に取り組めるようになるのです。

こうした一連の変化は、単に「断ること」が与える影響にとどまりません。断ることによって自分自身を守り、自分の限界を認識し、余裕のある時間を持つことで、物事に対する向き合い方がより前向きで積極的になります。その結果、全体的な生活の質が向上し、自己成長のスピードも加速していくのです。

3. 上手に断るためのコツ

断る力を身につけるには、まず**「自分の意見をはっきり述べる人」**として認識されることが重要です(これは1.で述べた通りです)。そのためには、日々の生活や仕事の中で、発言する意識を持つことが欠かせません。特に会議やディスカッションに参加していると、発言の機会は思っている以上に何度も訪れています。こうした場面を「チャンス」と捉え、臆することなく自分の意見を述べることが大切です。たとえ、自分がまだ完全に理解できていない内容であっても、「わからないことはわからない」と率直に伝える姿勢や、素朴な疑問をぶつけることが、意見をはっきり表明する人として認知される第一歩です。

そして、いざ「NO」を言う場面では、単に「自分に時間がない」や「スキルが足りない」という理由を避け、チーム全体の状況やプロジェクトの進行を考慮した建設的な理由を伝えることが大切です。例えば、他のメンバーが担当した方が効率的である場合、その意図を明確に示し、チーム全体のバランスを重視した提案を行うと良いでしょう。また、断る際には代替案を提示することも効果的です。単に「NO」と言うだけでなく、他の選択肢や協力的な提案を提示することで、相手に対して誠実さを伝えることができ、前向きな関係を保つことができます。

4. 自分を守る ー断る力の重要性ー

断る力は、自分を守るために欠かせないスキルです。過度な要求を受け続けると、心身に負担がかかり、ストレスが溜まってしまいます。自分の限界を認識し、それを守るために「NO」と言うことは、メンタルヘルスの維持にもつながります。

「成長したい」「評価を得たい」といった動機から多くの仕事を引き受ける人がいますが、限界を超えるとパフォーマンスが下がり、結果的に逆効果です。メンタルを壊しては何の意味もありません。自己管理のためにも、タイムマネジメントは必須です。

タイムマネジメントをする際には、単にスケジュールを調整するだけでなく、なぜ仕事が限界を超えているのかを冷静に分析することが重要です。業務量や環境が問題なら、その背後にある「なぜ?」を考え、リソースや仕事の評価の観点から根本的な問題を整理しましょう。自分で解決できない場合は、早めに信頼できる人に相談し、共感やアドバイスを得ることが大切です。タイムマネジメントとは、時間だけでなく仕事の質や環境を整えることでもあります。これが、長期的な自由と健全な働き方を実現する鍵です。

5.断ることで築く健全な人間関係

断ることは、人間関係を壊すどころか、むしろ健全な関係を築くための重要なステップです。自分の意見をしっかりと伝えることで、相手もあなたの意思を尊重し、より対等で誠実な関係を築くことができます。断ることができる人こそ、信頼される存在になれるのです。

普段から「人の役に立ちたい」と努力している人は、周囲から優秀で立派な人材として見られることが多いです。そのような人は、よく話を聞き、周りの期待に応えようとするため、組織やチーム内でも重宝される存在です。しかし、チームビルディングが不十分な組織では、そのような優秀な人に仕事が集中しがちです。こうした状況で、その人が「NO」と断ること自体が、周囲に与える影響は非常に大きいのです。

「単に良い人」で終わらせず、断ることでチーム全体のバランスを考えることが、結果的にみんなにとって良い結果をもたらします。相手のためを思って断ることで、互いにWin-Winの関係が築けると考え、誠実に「NO」を伝えていきましょう。断る力を持つことで、自分も相手も成長し、より健全で強固な関係を築くことができるはずです。


いかがでしたでしょうか。
皆さまが少しでも健やかに暮らす手助けになれば幸いです。
今後とも、ALT+編集部をよろしくお願いいたします。