見出し画像

ぶらり鉄道の旅①(前編)

1、いざ出発


5月20日土曜日。私は、勝手に自分の中で「良い休日は良い朝を迎えることから始まる。」と迷言を生み出し、良くない朝を迎えた日は本当に、あまり良くない休日になってしまう傾向があるから気を付けないと、と思い生活している。今日は、本当に良い朝を迎えた。久しぶりに爽快な朝だった。こんな日はどこかへ出かけなくては…という思いに駆られ急遽、最寄り駅へと向かった。

自宅から。綺麗な朝焼けを見ることができた。

朝9時。最寄り駅の長野駅に到着した。が、どこへ行くか決めていなかったので、券売機の上の運賃表示とにらめっこ。(長野にはスイカが導入されていないので事前に行先を決めなくてはいけない。)
迷う中で、今までに行ったことがないところに行ってみたかったので、篠ノ井線と飯山線は自分の中の候補から消えた。消去法で、しなの鉄道に乗ることに決めたのだが、次に南に向かうか北に向かうかでかなり迷った。
結局、北に行くことに決めた。その日は少し暑かったので、北は涼しいだろう、という浅はかな考えから、そう決めた。どこまで行こうかと考えたが、すぐに折角行くのならば終点まで行ってみよう、と思い終点の「妙高高原」まで850円の切符を購入した。
あっさり書いたが、本当にかなり迷っていて券売機周辺をウロウロする怪しい人になってしまっていた。

2、長野駅→妙高高原駅

9時23分。長野を出発し、私は用もなく妙高高原へと向かった。

長野駅7番線から発車。

しなの鉄道は、相変わらず、ボロボロだなあ…と思いつつ車窓に目をやるといつの間にか周りは森林になっていた。一面の木の中をひたすらに走る。特に面白くない車窓で、退屈し始める。飲み物でも買って来ればよかったな、と思った。わざわざ飲み物を買わなかったのは、しなの鉄道にはトイレがないからである。
約50分後、妙高高原駅に到着した。

何かあるわけでもない駅舎。
駅周辺にも本当に何もない。

改札を抜け、外に出てみると本当に何もない。誰もいない無人駅だったらまだ謎の興味がわくのに、有人駅で微妙に大きい駅だったので、自分にはあまり合わなかった。

3、妙高高原駅→直江津駅

そういえば、到着したすぐ隣に、直江津行きの列車が止まっていた。これも、乗ったことがない路線だったので、この駅は自分に合わないしどうせなら、直江津に行ってみようと思いトイレを済ませすぐに直江津行きの900円の切符を購入した。
えちごトキめき鉄道「妙高はねうまライン」直江津行き。初めて乗る列車だ。

妙高はねうまライン。

10時20分、直江津に向けて妙高高原を出発した。乗車率も低く、山間部をひた走っていたのだが「二本木」駅にてスイッチバックがあった。ここでスイッチバックがあることを知らなかったので驚き、ひとり感激してしまった。その後も順調に走り、「上越妙高」駅からは乗車率も高く家族連れも増えた。
11時13分、定刻通り直江津駅に到着した。

4、直江津駅にて

直江津といっても、何の用もない。とりあえず街並みを見てあること考え改札を抜けた。街に繰り出し、少し歩いてみると、なんだか海辺の風を少し感じられた。が、ここも微妙な街だった。本当に栄えていない町でもなく、すごく発展しているわけでもなく、微妙だった。

だいぶ海が近いらしい。「関川」
釣り人も何人かいた。

近隣を歩いても、それでも時間は30分しか経過していない。さすがに、こんなところ(こんなところと言ったら失礼だが…)にしばらくいられるわけでもないので、もう少し鉄道で進んでみようと思い、駅に戻った。再び運賃表示とにらめっこ。

考えてみたらここまで私鉄でずっと来たので、こうなったらもう、JRは使いたくなかった。運賃表示をよく見てみると、「名立」と「能生」という駅が目に入った。海なし県に住む長野県民の巣窟の場所、それは「名立谷浜」と「能生」である。「能生」駅があるのは知っていたが、「名立」駅があることはここにきて初めて知った。もちろん海なし県民の一人である私も、どちらとも何回も訪れたことがある。いつも車で来ていたので列車で行くのは初めてになる。折角だから行ってみようと思い、「能生」までだと少々お金がかかるのでとりあえず「名立」までの340円の切符を買った。これで、初めて鉄道で名立谷浜を訪れることになる、と内心なぜか興奮した。「名立」についたら海鮮でも食べようかな…などと考えたりしながらホームへ再び戻る。

急遽、名立駅へと向かうことに。

5、直江津駅→名立駅

12時15分、日本海ひすいライン泊行きに乗車。まさかの1両編成。ちょっとしょぼい…のではないか?思いのほかこぢんまりとした列車だった。
整理券もあるので、無人駅があるようだった。正直なところ、無人駅から乗るのは切符とか色々面倒なので好きではない。有人駅であることを願った。

日本海ひすいライン。
ワンマン列車だと放送があったが、ワンマンではなかった。

席も全席ボックスで4人掛け席と一人掛け席になっており、内装はとても良い。
そして、発車して驚いたことに、絶景。一面に広がる日本海を見ることができる。これは、綺麗だし良い席だし最高な路線だ、と直ぐに思った。一瞬で魅了されてしまった。ずっと乗っていたい、終点まで乗りたいと思った。本当に、一面に広がる日本海が絶景なのだ。(こんな風に感じるのは、私が海なし県民だからかもしれないのだが…。)でも、人生で乗った鉄道ナンバー1かもしれない。そのくらい気に入った。
海辺を走り、しばらくすると、トンネルが続く。
「まもなく名立、名立。一番前のドアから降りてください。切符は…」
と放送が入る。一体どうやって下車すればよいのか、少々不安になる。有人駅なら分かりやすいが、放送からして、無人駅である気がして焦った。切符は切符回収箱の中でいいのか、運転席横の運賃箱に入れるのか、心が揺れたが車内放送に従い、ひとまず一番前のドアまで行く。定刻通り12時31分駅に着いた。切符は運転手さんに渡した。無駄な不安だった。

6、名立駅にて

名立駅。てっきり海辺にあるのかと勘違いしていた。
駅周辺を見渡した瞬間、やってしまったと感じた。

もう、駅に降り立った瞬間に感じた、とんでもない駅に来てしまった…でも、こういのが楽しいんだよな…、という思い。本当に何もない駅だけど、なんだかおもしろい。こういう閑散とした雰囲気、好きです。とはいっても、時間はお昼。帰りの時刻を調べて海辺に向かう。
帰りの電車は2時間少し後の14時47分発に決めた。
海辺に出るといっても、海辺に行ったところで何かあるのだろうか。少し不安になりつつも海があるほうへ歩き出す。
今回のちょっとした目標の一つに、スマホに頼らない、
と決めていたので地図や時刻表は見ないことにしていた。今回は、本当に自分の勘と設置してある表示板・時刻表のみに頼った。
幸いにも、近くに川が流れていたのでこれに沿って歩けば海に行ける、と思い歩いていくといつも車で通っている北陸自動車道が見えた。

川に沿って歩く。自動車道も見えた。

自動車道はかなり高いところを走っている。こんなに高いとは思わなかったし、何より車からはこんなところ意識したこともなかった。見方をかえるだけでずいぶん違うんだな、と思いながらテクテク歩くと、海が見えてきた。

微妙に霞んでいた。

国道8号線にぶつかった。そして、目の前に「うみてらす名立」が偶然にもあった。ラッキー。ここでゆっくり海でも見ながら、ボーっとして帰ろう、と決めた。

*休日のぶらり鉄道旅①(後編)へと続く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?