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あなたの話を聴きたい vol.1 昭和町のカフェ&ギャラリー『℃ sesshi』

大阪メトロ御堂筋線 昭和町駅の3番出口を出て、東に入った文の里商店街にあるカフェ&ギャラリー「℃ sesshi」さん。sesshi(セッシ)は店長である坂本晴美さんとパティシエの坂本由貴さん親子が営むカフェでありギャラリーでもあるお店だ。

今年(2020年)の1月にインスタで見たパフェに心惹かれて、食べたいなぁと思いお店におじゃました。その時に食べたパフェがあまりにも美味しくて、それから2週間に1度、sesshiさんのスイーツを食べるためだけに昭和町に通った。2月に入り、季節限定のパフェに新しいものが増えた。それもとても美味しかった。

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なぜこんなに美味しいのだろう。パフェの中にはメレンゲの焼き菓子が使われていた。私はメレンゲ菓子の乾燥した感じがずっと苦手だと思っていたが、このお店のメレンゲは美味しい。お店自体もなんとなく不思議な空間でなんだか心に残った。何度か通ううちに、どうしてもお店の方のお話を聴きたくなり、インタビューをお願いした。

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オヤツノカタチをデザインします

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sweets cafe & gallery ℃ sess
店長(左)    坂本 晴美 さん
パティシエ(右) 坂本 由貴 さん

ベリコ:
まず、お店やホームページで書かれている「オヤツノカタチをデザインする」っていうのは、どんな意味が込められているんでしょうか?

店長:
「オヤツノカタチをデザインする」っていうのは、ただスイーツだけじゃなくて、それを食べる風景や関係性も含んでのことなんです。家族であったりイベントであったりっていうその食べるシチュエーションのこともデザインするっていう気持ちでやっています。
スイーツで一番になりたいとか、ギャラリーで一番になりたいからってゆう訳ではなくて、2つが融合していてカフェでもなくギャラリーでもない、でもカフェであってギャラリーでもある。どこにもない場所にしたいっていう思いがあります。

ベリコ:
なるほど。ちなみになぜ昭和町なんでしょうか?

店長:
元々、私が昭和町でギャラリーとアトリエを5年間やっていたんです。その時にレトロビルを探していてここだと思ったところが、昭和町だったんです。それで、移転するにも今まで来ていただいていた方もいるからあまり離れない方がいいと思って探しました。

ベリコ:
スタートがギャラリーだったんですね。前のお店でも焼き菓子などは販売されていたんですか?

店長:
いや、その時は売ってなかったですね。この人(パティシエ)は娘なんですけど、別のお店でパティシエとして働いていて「いつか一緒にやりたいね」って言ってたんですね。2018年7月にこちらに移転する際に意見があって、一緒にやろうとスイーツカフェとギャラリーという形で始めたんです。

ベリコ:
カフェも一緒にされるとなった時に、私は初めて来させていただいた時にパフェを食べて凄く美味しくて衝撃だったんですが、一番オススメというか食べて欲しいメニューは何になるんでしょうか?

店長:
佐藤さん(パブロバ)やなぁ。

パティシエ:
うん。

佐藤さん(パブロバ)とは
sesshiさんには〝佐藤さん〟というメニューがあります。佐藤さんは、パブロバというメレンゲの焼き菓子に生クリームやフルーツで飾り付けをしたスイーツです。下の写真はイベントの際の限定メニュー、山田錦を使用したパブロバ「今夜だけ山田さん」。

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ベリコ:
正直、私自身がメレンゲ菓子というものがそんなに得意ではなかったんです。でも、最初にいただいたパフェに入っていたラズベリーメレンゲが凄く美味しくて衝撃でした。パブロバというスイーツ自体、あまりメジャーではないと思うんですが、なぜ出そうと思われたんですか?

店長:
やっぱりどこもやっていないものをやらないと、カフェとして成立しない。集客って意味でね。なので、パブロバっていうスキマを狙いました(笑)。メレンゲってサイズにもよるけど、乾かすのに3時間かかるんですよ。

ベリコ:
3時間も!?

店長:
そう。だから他のところがしないんです。真似したくても、真似しにくいし、できないんですよね。手間がかかってるのもあるし、本気でやってるってところもあるし。

パティシエ:
最初は大きいサイズのメレンゲをテイクアウト用で販売してたんです。私はメレンゲ菓子って好きなんですけど、好き嫌いも分かれるものでもあるので、少しずつ改良していったんです。配合を変えていって、軽くしていくようにして。今、お店で出している佐藤さんは結構サクッとしてるんです。

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ベリコ:
フォークでサクッと切れますよね。この間、山田さん(限定メニューのパブロバ)を頂いた時にビックリしました。メレンゲのお菓子って硬くてパサパサしてるイメージがあったんですが、すごく食べやすかったです。

パティシエ:
空気をたくさん含ませて焼くように、基本的なレシピから味と共に進化を遂げてます(笑)。何種類かあるメニューごとに全部配合を変えてます。

ベリコ:
全部違うんですか!?

パティシエ:
全部配合を変えてます。合わせるフルーツも違いますし。抹茶のもの(上の写真の、さわやかな佐藤さん)もあるんですけど、それは香りが立つようにしています。佐藤さんが好きって言ってくださる方にも、食感の違いとか口どけの違いも楽しんでいただけるようにしています。ずっと同じだと飽きてきてしまいますもんね。

お店のメニューも作品の1つ

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ベリコ:
お店として最初に出し始めたのは、パブロバだったんですね。パフェはいつ頃から始められたんでしょうか?

パティシエ:
パフェも同じ頃から出してたんですけど(メニューの)下の方で、こそっとやってました。力を入れ始めたのが最近ですね。パフェってお店によると思うんですけど、余ってるパーツを組み合わせるイメージだったんです。なので最初はそんなにメインじゃないというか。力を入れ始めたのは最近ですね。

ベリコ:
いただいた時に、最初から最後まで飽きないでずっと美味しいなと思いながら食べれてました。使われているカスタードとかアイスがすごく滑らかだなと感じたんですが、そういうものも全部作られてるんですか?

パティシエ:
もちろん。パフェのためのパーツとかも作ってます。

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ベリコ:
ちょっとパブロバにお話が戻るんですが、なぜパブロバの名前が「佐藤さん」なんでしょうか?

店長:
佐藤さんって、日本で一番多い苗字なんですよ。ちなみに、今まで佐藤さん何個くらいあったと思います?

ベリコ:
最近インスタで新しいのが出たっていうのは見たんですけど…

店長:
今までに13個くらいあるんです。「恋する佐藤さん」「爽やかな佐藤さん」「素直な佐藤さん」とか色々あるけど全部佐藤さんのすることとかが名前なんです。

ベリコ:
それは、同じ佐藤さんなんですか?

店長:
私の中では同じ佐藤さんです。1人の佐藤さんの行動。名前が変わってるというか凝っているのは、うちがギャラリーだからなんです。

ベリコ:
なるほど!佐藤さんも作品なんですね。

店長:
作品です。奇をてらってるって訳ではないんですよ(笑)。メニューもギャラリーの作品だから名前が凝っている。

ベリコ:
すごいスッキリしました。お店の名前の「sesshi」にはどんな意味が込められてるんでしょうか?

店長:
℃(セッシ)は温度ですよね。その温度っていうのは、人との距離感の温度や、自分の中の温度といった上がったり下がったりするものがあると思うんですが、お店に来ることでリセットできて平常心に戻るような場所になるようにしたいと思ってつけました。

ベリコ:
なるほど。お話を伺って気になっていたお店の雰囲気とかについて、すごくスッキリしました。今日はお時間いただき、ありがとうございました。

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私は最初にただカフェとして利用したが、その時に食べたパフェの美味しさに惹かれたことと、お店の中に隠されていた小さな遊びが気になってその後、何度もお店にお邪魔するようになった。

お話を聞かせていただいた中で、出されているスイーツへのこだわりはもちろん、お店に隠された数々の遊びも教えていただいた。入り口の壁に書かれたたくさんの名前と引かれた線の意味。お店にひっそりと隠れるようにある妖精の扉や「コトナ」と名付けられた小屋のような席、そして低い高さに設定されたトイレの扉。そんな小さな遊びがお店にはたくさんあった。1つ1つに意味があって、気付く人だけに向けて作られたsesshiさんからのメッセージだ。私はこのメッセージを知らず知らずに受け取っていたのだと気づいた。

店長の晴美さんはパブロバを「スキマを狙った」と笑って仰っていたが、ただそれだけであんなに美味しいメニューになるはずがないと思う。パティシエとしての由貴さんのこだわりや技術が込められて進化し続けているからこそ、その戦略が活きているのだと感じた。

由貴さんの作られるスイーツは不思議で、甘いのに甘ったるくない、大人や男性も食べやすい味だと思う。さっぱりしている気がするけれど、また食べたいと思ってしまうほど癖になる。季節ごとに変わっていくスイーツの数々を是非食べて欲しい。どれを食べても美味しいと感じるが、その中でも自分のお気に入りに出会えるはずだ。私は、毎回ついパフェを頼んでいたので、これから佐藤さんを制覇していくつもりだ。

ギャラリーとして様々な作品とも出会えるはずだが、このsesshiさんという作品自体も楽しんで欲しい。

sweets cafe & gallery ℃ sesshi
https://sweetcafe-gallery-sesshi.shopinfo.jp/
大阪市阿倍野区昭和町1-17-27
営業時間◎12〜19時 ラストオーダー 18時
定休日 ◎ 木曜日 、第2日曜日
御堂筋線昭和町駅 3番出口 徒歩2分
谷町線文の里駅 7番出口 徒歩4分
twitter◎@sesshicafe


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