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ぱっちに負けてそのトリコになった日。

こんばんは。「腱引き」「つるた療法」の別府湯けむり道場、大平です。 

もうすっかり日が短くなってしまいましたね。17時半を過ぎる頃にはもう真っ暗になってしまいます。寒さに負けず、年末にしっかり備えていきたいですね。

寒さに負けないといえば、歳を取ってですっかり寒さに弱くなってしまったわたしですが、実は30代半ばまでステテコや股引、ぱっちの類をはいたことがありませんでした。

一度も履いたことがなかったときには「とても温かいもので、一度はくとクセになってしまうほど」だと聞いておりました。今では真冬の必須アイテムといっても間違いありません。

留学時代も、唯一の日本人留学生仲間(黒豆仙人と名乗っておられます)に股引やぱっち(両者の違いは前者が木綿製のもの、後者が絹製のものをいうそうです)を何度か勧められたことがありました。

「大平さんは寒がりなんだし、これをはいてみたらいいじゃないですか。オススメですよ」

ここで、わたしは迂闊にも失言をしてしまいました。

「え~、でも……

はいたら男として終わってしまいそうな気がして……

言った瞬間、私は(しまった!)と思いました。

目の前に存在したのは、かつて人間であっただろう黒豆仙人の、憤怒を帯びた鬼の如き形相。顔はカゴメトマトジュースのように赤く、眼球が半分は飛び出しているのではないかと思うほどひん剥き、口は東湖(学院付近の湖)を飲み込めるほど開いた、それはまさしく恐怖の代名詞でした。

わたしはそんな恐ろしい表情で「ナニー!!」と追いかけてくる仙人から逃げ回りましたが、結局捕まってしまいました。

その後は修学旅行の夜に女子の部屋に忍び込もうとして先生にバレた男子のようなショボンとした状態で、小一時間にわたって「股引の性能がいかに優れているかは、はけばわかる。迷わずはけよ、はけばわかるさ」と一休禅僧ばりの問答を聴くハメになった挙句、

「分かりました。大平さんの誕生日には股引をプレゼントいたします。イヤだと言っても絶対に渡しますから。逃げ道はありませんよ!」

とまで言われてしまいました。ややもすれば今にも襲い掛かってきそうな仙人を前にして、私は喉から辛うじて「は、はあ……」と発声する以外の行動をとることはできませんでした。

あれから17年経ち、今ではすっかりぱっちのトリコでございます。

説教後も数年間は履いておりませんでした。股引・ステテコ・ぱっちの性能がどれほど優れていようが、これは男の意地(男の意地というものがくだらない場面でどれほど多く使われていることか、皆様ならご存知の通りでしょうが)だとばかりに、どんなに寒い日でも、わたしはこれを断じて履くことを潔しとしていませんでしたが……。

寄る年波には勝てませんでしたね。いや~ぬくいぬくい。

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