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よく聞く温泉のヌシのあれこれ。

こんばんは。「腱引き」「つるた療法」の別府湯けむり道場です。

最近移住してきた方が施術に来られた時、温泉の話になりました。

そのときに別府が誇る「ジモ泉(地元の共同温泉。市内の各町に存在)」について触れたのですが、そのときお客さんがおっしゃるには、

「興味はあるけど、ヌシが怖くて、ちょっと……」

とのことで。

ヌシ。

これはわたしも聞いたことがあるというか、割合よく知られたことなのです。それぞれの温泉にはヌシがいて、特に温泉の温度に関して一家言をもち、別府温泉の初心者がその水温に耐えられずに水など入れようものなら、

「コラ! 水なんか入れたら効き目がのうなるやねえか!!」

と叱られてしまう……おおむね、こんな感じで認識されているようです。

しかし、わたしが別府に住むようになって6年ほど経ちますが、どこの温泉に行ってもそのような方に出会ったことが一度としてないのです。ヌシ自体がツチノコとかネッシーなど、まるでUMA(謎の未確認動物)ではないかと思ってしまうほど。

まあもしかしたら、わたしが各温泉を訪れるタイミングがことごとくヌシと合わない可能性もあるのですが。わたしの行動パターンとは相性が悪いのかもしれませんね。

しかし、ここでわたしはひとつ失念しておりました。

つい思い込みで、ヌシを男性のみとしてしまっていたのです。女湯にもヌシがいてもおかしくないのに、そこに気づかなかったのはうかつでした。

そこで奥さんに「女性のヌシ」について訊ねてみたところ、やはり存在はするそうです。

そして、水を入れると注意してくる標準機能を有するほかにも謎ムーブを行うことがあるようで、たとえば身体を洗っていると「そこはいつも私が使いよる場所やけん、どいて」と言って場所を(強引に)譲らせるとか……ヌシの恐ろしさを垣間見た思いです。

ところで、そのヌシ達のアイデンティティといってもいいかもしれない、

「水なんか入れたら効き目がのうなるやねえか!!」

なのですが。

これ、「そんなわけねーじゃん」と最初は思っていたのですね。

しかし、ヒートショックプロテイン(HSP・熱ショックタンパク質)の免疫増強作用によってタンパク質の障害の修復を図ろうと思えば、その発火を起こすために43度以上の入浴が必要になるのだそうです。

ヌシがここまで解っていてそれを言ってくるのかどうかはわかりません。単にあつ湯が好きなだけの場合もあるでしょう(というか多分そうだと思います)。

とはいえ、ヌシの存在により別府市街の方々に温泉に悪いイメージを植え付けてしまうようであれば本末転倒......かといって、ヌシはヌシでジモ泉を長く利用する地元の市民の方。

ただそれを排除すればいいというものではなく、双方の歩み寄り、すり合わせが必要であることは言うまでもないでしょう。お互いにルールを守り、誰もが楽しくリラックスして温泉に浸かれる環境を作ることが大切だろうと、わたしは思っております。

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