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26w4d506gの男の子①発覚、入院編

皆さんは、
『500g』と聞いて何を思い浮かべますか?
小さいペットボトル?
サッカーボール?
大きめのハンバーグやステーキ?


私も3年前までは、そんな答えでした。
今の私が真っ先に思い浮かべるのは…


息子の出生体重です。


うそだと言いたいくらいですが、事実です。
何かを経験すると、案外簡単にものの見方が変わるんです。人間ておもしろい。

私は皆さんをハラハラさせたくて書いてる訳ではないので、先に言ってしまうと…
息子は現在2才半。
定期的に通院やリハビリを必要とはしていますが、幸いお姉ちゃんと同じ普通の保育園に通うことができ、元気に走り回っています。
これから成長に応じてまだ何が起こるかわかりませんが、それは誰しも同じですよね。

というわけで、私の記憶が薄れる前に…
2年半前の出来事を必死に思い出しながら書きますので、曖昧な表現も多くなりそうですがやんわり読んでもらえたら嬉しいです。

注※現実味を伝えたいので、私が載せてもいいと判断したレベルの写真は載せます。
医療ドラマとかの映像が苦手な方は読まない方がいいかもしれません。
私は異常にポジティブなので大丈夫でしたが、妊婦さんは精神的にも不安定な時期なので不安を感じる内容かもしれません。
現在妊娠中の方が読むのはオススメしません。気になっていただけたら、産後落ち着いてから育休中に読むことをおすすめします。

私の経験談が、いまも毎日どこかで
NICUに通うママさんに届いて誰かたった1人にとってでも励みとなることを願って…✩.*˚


•*¨*•.¸¸☆*・゚

2019年9月24日㈫
妊娠24週5日

私は今日、会社に遅刻して出社する。
いつもの個人病院の産科ではなく、
県内で1番大きな病院でスクリーニング検査というのを受けるからだ。
何か不安や問題があるわけではなく、
個人病院が任意ですすめてくれる検査で、
「お姉ちゃんの時もやったから」という理由で受けることにしただけ。

それと、正確な性別がわかるっていうことにも期待して、私たち夫婦は当然のように2年前の長女の時と同じ検査を受けることにした。
なにせ普段通っている産科の超音波の機械が
The昭和という感じの2D白黒エコーしかないのだ。
まぁ先生がサバサバしてたりして私のズボラな性格ととても相性が良いので、それ以外は何も文句ないし長女もそこで普通分娩して、とてもお世話になっている。
ただ!その白黒エコーでは一向に性別が分からずいつまで経っても名前が考えられない!
そして長女の時にこの大きな病院でスクリーニング検査を受けに来たら…
性別がわかるどころか顔がパパそっくりなことまで丸見え!!
その日は興奮してエコー写真を持ち帰りパパに見せたものだ…。

ということで、今日は朝2才のお姉ちゃんを保育園に送ってきて、そのまま病院へ来た。
さて、さくっと検査受けて、
エコーで性別確定したらパパに連絡して、
お昼前には出勤できるかな♪
あと1ヶ月半くらいで産休に入る予定だから、その前にやっておいてあげたい仕事も山ほどあるんだ。


念のため「お姉ちゃんの時もココでこの検査してもらいました~」なんて言いながら、
エコーが始まった。
相変わらず素人が見ても明らかに性能が良い機械に、性別が気になって期待が高まる。
「えっとー、性別はもう聞いてる?言っていいのかな?」
と先生がちゃんと先に確認をとってくれる。
いい先生だなぁ…と思いながら
「確定はまだで…知りたいです」と答える。
「間違いなく男の子だよ」と断言された。
「ほんとですか?パパが喜びます!もう今日それが知りたくて来たようなもんなので」
「最初からうちの病院に来ればいつでもこの機械なのにぃ~」
なんて軽く勧誘されながら、和やかに検査は進んだ。
心臓や、基礎的な臓器などにこの時点でもわかるような産まれてすぐ処置が必要な大きな疾患がないかどうかという検査。
エコーの画面とにらめっこしながら優しい声で先生が言う。
「特に問題なさそうですね、あと赤ちゃんのサイズだけ測って終わりにしましょう。」
あぁ、よかった…一気に気が抜けた。
男の子だとわかったし、予定通りくらいの時間に会社行けそう。


「…あれ?予定日いつだっけ?オレ入力間違った?…ん?」
え、入力間違い?お茶目な先生だなぁ♪
と思いつつ、私が笑いながら答える。
「1月10日ですよ、予定日」

「そうだよね…7ヶ月過ぎたからこの検査来たんだもんね…」
カタカタカタと、急に先生がせわしなくマウスを動かしたりキーボードで入力して計算し直してる雰囲気。
あれ…?なんか変な空気??

先生が急に振り返って神妙な声で言う。
「小さい…小さすぎるんだよ。お姉ちゃんの時も確かに大きい方ではなかったけど、
今600~700gあるべき時期なのに、この子まだ500gもないんだよ…」

…え??
聞き取れたけど、理解が追いつかない。
頭の中がはてなマークでいっぱいというのは、まさにこういうことか!

状況を察知した看護士さんがバタバタし始める。
私はエコーの台の上で完全に置いてきぼり。
え、私どうなるの??
何かを看護士さんに指示した先生が、
簡単に私に説明する。
「原因はわからないけど、赤ちゃんの発育が非常に良くない。調べる必要があるし、安静にしてほしいし、このまま入院になるかもしれない。」
そう言い残すと、おそらく様々な指示を出しに消えていった。

なおさら、意味がわからない。

とにかく入院かもしれないというワンフレーズは大問題なので、会社とパパに電話しなければ!!ということだけは判断できた。

まず、遅刻では済まないかもしれなくて
このまま入院かもしれなくて…それ以上はまた説明されてわかったら連絡します!
という旨を、なんとか会社へ連絡した。

現実を自分の口から話していても、
全然現実味がない。まだ意味がわからない。
とにかく次は、パパに電話…すぐ出てくれ…

「あのね、男の子だった!んだけど…
小さいんだって、調べなきゃだし安静にしなきゃで、このまま入院かもって…
このままってこのままなのかな?後で聞いてみるけど、もし本当にこのままって意味だったら…
どうしようお姉ちゃんのお迎えとか!
そのへん全部お願いすることになるかも!
あ!あと…今週末のディズニーの…
ホテルもキャンセルとかしてもらわないと…あぁ、もう…色々ごめん…」

泣きたい気持ちではあったが、
これからどうすればいいのかわからなすぎて今からしっかり私が確認するべきことが多すぎて…泣いてる場合じゃなさすぎて泣けなかった。
そう、第1子ではないので私のメンタルは強いが母が突然不在となると、長女がいるので家族の危機なのだ。
しかし普段からあまり動じない夫でよかった。とにかく他のことは心配しなくていいから、また状況がわかったら連絡くれと。


私の電話が終わると、ベッドのある部屋に案内され赤ちゃんの心拍を確認する機械をお腹に付けられた。
いつもの個人病院では、いざ出産の時しかこんなの付けたことなくて慣れない。
「これでしばらく赤ちゃんの様子みるね。」
と看護士さんが言ってから何分経ったか…
自由に身動きもとれず、放置されてるので今後の確認もできない。
ヒマすぎて、こんな状況なのに睡魔と戦い始めてる私って大物か…?

とウトウトしてたら、看護士さんがきた。
え、あれ、完全に点滴の準備してきたね?
「あの…先生に入院かもって言われたんですけど、1回帰れますか?」
返ってきた答えは、絶望だった。
「いま点滴するんだけど、これはもう赤ちゃん産むまで外せないから…帰れないね。」


ある日突然、環境は変わる。
これが506gで産むことになる息子との入院生活の始まりでした。

ちなみに私は息子を産んで以降、
「子どもが産まれました!」という報告の
連絡をもらった時に、
「無事産まれてよかったね」という返事をしなくなりました。
「お疲れさま!」と返してます。
いくら予定日過ぎてても、母子ともに健康でも‘何事も無く’無事産まれることなんてこの世に有り得ないから。
すべての母と子がお互いの命をかけて出産は成立する。
それまでも知っているはずだったことです。
でも、娘を普通分娩した後にはまだ身に染みるレベルまでいかなかった。
やっぱり人間の価値観が1番簡単に変わる時って、極限を経験した後だと思う。
だから私はすくすく育った娘にも、
小さく産まれた息子にも、成功しなくてもいいからたくさんの経験をして生きてほしい。
失敗談なんて、いくらあってもいい。
大人になったとき語れる伝説がたくさんあるって楽しいよ、と教えていきたいな。


•*¨*•.¸¸☆*・゚

②へ つづく




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