なぜ今就活系の動画を増やしているのか

昨日カサニマロの会議があったが、そこで議題に上がったのは言うまでもなく
「再生回数の低下」であった

理由は色々考えられるが、
①僕らが受験を体験した瞬間から時を経て、共感性が薄くなってきた
②過去の動画の焼き回しが多くなってきた
③YouTubeユーザーのショートの視聴時間が長くなり、相対的にロングの動画の視聴時間と視聴回数が減った
④教育系YouTuberが盛り上がっていない

といったところだろう。

カサニマロは今、背水の陣にあるといっても過言ではない。

受験に特化してきたからこそ、
「受験コンテンツがオワコンになりつつある今」に逆行して受験で伸ばしていかなければチャンネル存続は厳しい。

受験に特化してきたという過去が、「YouTubeの受験市場の縮小」にある今の僕達を苦しめている。


そんな時に先々週の撮影で僕は「就活コンテンツを上げていこう」と言う方針を示してしまった。
この方針の裏には「マーケティング面」と「ポリシー面」の2つの面でモチベーションがある。

まず、マーケティング的には「二毛作」の提案だった。

春〜夏は高い偏差値帯の受験生しか視聴しない。
つまるところ、カサニマロがメインターゲットとする「フツーの受験生」は当たり前に教育系YouTuberを見て士気をあげようなんて思っていない時期である。

そんな今、就職活動のコンテンツを上げていくことには一定の意義があると感じた。
大学3年生はサマーインターンに興味を持ち始め、「就活を始める」タイミングだし、大学4年生の中で内定のない人は「そろそろやばい」と焦り始めるタイミング。

もちろん、受験特化のチャンネルで就活系の動画も混合して出していくと言うのは悪手である。
なぜなら、チャンネルのタイムラインが「煩雑」になるからだ。

これではチャンネル登録する動機が削がれてしまう。

とはいえ、チャンネルを分けるという戦略も僕はいかがなものかと思う。
今からチャンネルを分けたところで上手くいく未来は見えない。

チャレンジする価値はあるかもしれないが、経験則上、2つのチャンネルを同じ質で運営することはかなり難しい

まして、僕は来年から就職して普通に正社員として働くと言うのに、正社員もやりながら実質2つのチャンネルを効果的に運営していくのは不可能だ。


次に、ポリシーの面では「受験よりも就活の方が大事」と言う僕のメンタリティがある。

いや、「受験よりも就活の方が大事」と言う言い方にはかなり語弊があるが、
そうはいっても結局、受験生が血眼になって精神と身体を削りながら受験競争をする先にあるのは、「就活が有利になるチケット」だろう。

もちろん、意地やプライドもあるだろう。
目標を達成したいというピュアな気持ちもあるだろう。

しかし、そういった意地やプライド、達成動機が生まれる根源は、社会が「良い企業に就職するのが勝ち組」と言う思想をうっすら持っているからに他ならない。

学歴フィルターと言うものは廃れていっているものの、学歴は未だに大事である。
だから、「就職のための学歴」を得るために皆精神を削って無茶するのである。

それならば、「受験を伴走する一般的なお兄さん」として売っているカサニマロが、急に就職になった途端、リスナーを見放すのはあまりにも酷ではないか。

僕自身もお勉強は得意だったが、社会に出てからマトモに生きるための「社会人的スキル」、すなわち「就活で必要な能力」については1mmたりともセンスがなかった。

受験は伴走者がいたからなんとかなったけど、就活は伴走者がいないから上手くいかない…そんな学生は本当に多いんじゃないか。


さて、ここまでの僕の思考の前提をここで一つ示しておくと、僕は「受験と就活の関連性は中程度」だと思っている。

まず、完全に関係ないのであれば、別に教育系YouTuberである僕らが就活に関与する必要は全くない
もし、単純に就活のコンテンツを世に発信したいだけなのであれば、もう一つ別にチャンネルを作ってしまえばいい(関連しないのだから)。

次に、完全に相関係数≒1のレベルで関係する、すなわち正比例の関係なのであれば、このまま受験に全振りすればいい。受験さえ頑張れば脳の基礎体力が磨かれて、社会に出てからも上手くいくはずなのだから。

ここで、僕は受験と就活の関連性は「そこそこ」だと思っている。

というか、実際そうだと思う。
学歴が高ければ高いほど大手の企業に就職する確率は高いが、ふんわりと相関するだけであって、日東駒専レベルの大学群から大手の企業に内定するパターンも存在する。

逆も然り。東大に行ったのにそこそこの企業にしか内定できない人もいる。


つまるところ、「受験勉強」と言うのは自己成長にとって「それなりにいい学習パッケージ」なのである。

受験勉強を通して得られた脳の基礎体力や、勉強の仕方、集中力、努力の仕方、体の使い方…
色んなものが将来的に有機的に活きてくる。

だからこそ、就活の強さともある程度は関連する。
そして、おそらく将来的な成功ともある程度関連するだろう。

しかし、「それなりにいい学習パッケージ」止まりであるとも思う。
将来の成功や、目先の「就活スキル」的なものに完全に到達できるわけではない。

結局、受験勉強というのは、汎用的な力を向上させるための最大公約数的な努力なのである。
受験勉強を通して、力仕事に対する耐性も付くだろうし、資格の勉強も今後しやすくなるだろうし、研究者としての力も身に付くし、その中で「就活」の力も身に付く。

すなわち、どのキャリアを辿ってもある程度役にたつ、というのが「受験勉強」なわけである(といっても完璧な最大公約数ではなく、それなりに万能であるだけだ)。

だからこそ、「民間企業で働くぞ」という人にとって、受験勉強で求められる力はそこそこには必要だが、もっと必要なものがあるというわけである。

そこで、受験という学習パッケージだけでは足りないので、就活という学習パッケージをうまく使うというオプションが生まれる。

今至る所で教育改革が行われているが、それらほぼ全ては結局「AIに仕事を奪われないために…」とか「チームで仕事を成し遂げるために…」といった目的である。

この教育改革は大事だ。しかし、動きがあまりにも遅すぎる。
日本人という特性上仕方ないのだが、変革がゆっくりなのである。

だから、公助ではいけない。自助努力が必要である。
小中高で学校が身につけさせてくれなかった「補助能力」を自分の力で身につけなければいけない。

ここでの「補助能力」というのは、いわゆる非認知能力というやつに近いかもしれない。
簡単にいうと、コミュニケーション能力アイデア力などが非認知能力に当たる。

就活というパッケージを磨いていけば、いずれ社会で生きる「非認知能力」を身につけるパッケージが完成すると信じている。

しかし、今の就活というのは、皆あまり対策しないからこそ、「ただのセンス」を見られているという側面が強すぎる。

要は、努力の矛先がわからないから、就活での失敗を「自分のセンス」や「生まれ持っての社会適合能力」などの才能に帰属してしまう

これでは、ただ就活生の自己肯定感を削いでしまうだけだ。

誰もが受験くらいとは言わないが、それなりの力量で就職活動に臨むようになれば、以下の点で未来がある。
①就活の小手先のテクニックが炙り出され、本質的にその人の能力を見抜ける方法と、表面上で取り繕えるものが弁別される
②徐々に本質的なその人への評価の軸が確立されていき、より「就活対策」に本質的な成長の価値が生まれる
③受験と同じように、非認知能力と呼ばれるようなものを就活という学習パッケージで身につけられるようになる
④あわよくば、それが小中高の教育にも降りてきて、国民全体のリテラシーが高まる

国民が良くならないと、政治はよくならない、、的な「自助論」というのがあるが、それに近いかもしれない。

勘違いしてほしくないのは、僕は政治についてうだうだ語りたいわけでもないし、日本人を批判したいわけでもない。

日本の「受験」という優秀なパッケージを最大限活かすためには、「就活」というパッケージを活かして自己成長した方がいいし、そのパッケージもまだまだマトモにできる余地があると思うだけだ。

要は、就活コンテンツを投稿することには2つの意義がある。

①受験と同様に、社会での成功に直結する「非認知能力」を磨けるのはコスパがいい(個人)
②就活における小手先のテクニックを普及させることで、就活の非生産的な部分を遠回しにぶっ潰す(社会)


というわけで、僕が就活コンテンツを投稿していきたいというモチベーションは当分変わらなそうだ。

だから、カサニマロという1つのチャンネルを通して、「受験」と「就活」の両軸で自己成長できるような場を提供していきたい。

すなわち、前者が認知能力、後者が非認知能力に対応する(すごく雑にいうと)。

本来、頭が悪そうに見えるからあまり非認知能力という言葉は使いたくないのだが、わかりやすさのためにここは許してほしい。


そして、ここからはただの僕の理想なので、実現は困難だが、

「受験生にも就活コンテンツも見てもらい、就活生には受験コンテンツのコメント欄でアドバイザーに回ってもらう」

この実現不可能な構造が実現できれば、両立は可能である。

この実現不可能な構造を実現できる唯一の手段が、動画自体を「面白く」することなんじゃないかと思う。

というのもあって、最近は編集に力を入れているし、オンタイムで2人が揃って撮影する時は、ボケ・ツッコミみたいなものを意識的に混ぜるようにしている。

題材が「受験」や「就活」であるだけで、トークとして聞いていられるようなものを目指していきたい。

まあ、簡単にいうと目指す先は霜降りチューブだ(結論やば)。

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