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『肩胛骨は翼のなごり』

宮崎駿監督が大好きだという物語。
夏に観た映画『君たちはどう生きるか』が私の好みだったので、それならばと図書館で借りて読みました。

なるほど~、私も大好きです!というのが感想。
内容がシンプルなのでそれ以上は書きにくいんですが、以前読んだガルシア・マルケスの短編『大きな翼のある、ひどく年老いた男』を思い起こし、味わい深い思いでした。
〈訳者あとがき〉に、著者がガルシア・マルケスの「マジカル・リアリズム」に影響を受けていると書かれていましたし、私は両方の物語を読んだことで何だかスッキリした感覚を覚えました。

そして、かなりの年数を過ぎてから、この物語に繋がっていく以前の物語が書かれています。
『肩胛骨は~』の主人公はマイケル、前日譚の主人公は彼と友だちになるミナ、『ミナの物語』です。

私は『ミナの物語』を先に読みましたが、どちらを先に読んでもそれなりの良さがあるように思います。
ただ…両方とも図書館の「書庫」に眠ってました。
よくあること。またか、ですけどね。

マイケルはそんなことないのですが、ミナは学校が大っ嫌い。
というか、合わない。
不登校です。
私はミナのようなタイプの子供でした。
が、その感覚を押し殺し、我慢して、ごまかして、通ってました。
時代が違うし、私はミナのように強い子供ではなかったし。
そうする以外なかったんです。
自分らしさを出してしまったら生きていくことが困難になってしまうから、周りに合わせて生きるしかなかった。
とりあえず生き抜いたんだから、あれで良かった…はず。
なのに、あれで良かった…と、理屈でわかるだけで、心では納得できない思いが確かにあります。
自分らしく生きないというのは、魂を裏切る行為ほど重いことなのかもしれません。

翼があれば…逃げたかった

けれど、翼を持って地上に降りてきた者たちの有り様がどうであったか!

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