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#35 わたしの中の彼女がいなくなった話

お久しぶりです。id_butterです。

人生で最高に不幸な時に恋に落ちた話 の35話目です。

果たして、何が起こっているのか。
正直言って、わたしにもよくわからなくなっていますwww

最近色々なことがばたばたと起きていて、わたしは終わってからしか書けないんですが、何も終わっていません。(だから、書けない)
でも今日は書きたくて書きたくてたまらない気持ちになって、冷たい風がふく公園でコンビニのコーヒーで暖を取りながら無理くりこの文章を書いております。

途中ですが、読んでくださる方読んでください。
ただ、散漫になってしまうかもしれないのでご容赦ください。


前回(#34 それは僕のことが好きだからじゃない?)も少し触れた、病んでいる職場の一因となっているDさんの話から始める。端的にいうと、Dさんのコミュニケーションにはいくつか問題がある。

ひとつ目:ダブルバインド

ダブルバインド、という言葉は一般的なのだろうか。
矛盾するふたつの命題を突きつけること。
ただ、オフィスではこれは当たり前に存在する。
その矛盾を解決するのが仕事といえなくもないからだと思う。
例えば、経費を使わないで売り上げを上げろ、という例のやつである。
これをハードにやられると、真面目な人から病んでいく。
どちらの命題も正攻法で叶えようとするからだ。

けれどそれでも、病む職場と病まない職場があるのに違いがある。

・矛盾にみんなが共感できる意味や目的がある
 (会社だから利益あげるの当たり前だよね?とか)
・上司がその矛盾を理解している
・上司がその解決に一緒に取り組んでいる

こういう条件が揃っていれば、人は病まない。
が、わたしの職場のDさんは残念ながら反対のタイプだ。
彼の作り出すダブルバインドはエグい。

「どんどん失敗しよう。」
「会議で発言しないのはやめよう。」

これに乗っかるとえらい目に遭うのだ。
うっかり発言したら、マウンティングで叩き潰される。失敗したり、挑戦したりしても重箱の隅をつつくように絡まれてしまう。
目的は、彼がその場で一番上に君臨することだからだ。

勇者が後ろ手に縛られて抵抗できないまま、殴られ続ける様を見て、少し病んだ自分がいた。

一番ずるいなぁと思うのは、職場で上司がこれをやっている時、本人は絶対に傷つかない安全なところからやっているということだ。
上司がルール、というのは、未だオフィスでは基本だと思う。
そのルールは間違ってますよ、とかダブルバインドですよ、といえる部下がほぼいない以上、上司が必ず勝つ八百長だ。

ふたつ目:話す前から結論が決まっている

これでつらいのは、彼の中にある結論を行き交う会話の中から推測し、それをわたしが言うまで終わらないということだ。
最初から結論を言ってくれたらいいのに。
上司なんだから命令されればやりますよ、とんでもないことじゃなければ。

みっつ目:違う星のことばを理解しようとしない

本件については、この前はなんとかわかりあいたいと異文化交流してみた。
例えば、Mさんの話について。

Dさん:「それは、言ったの?言わなかったの?」
わたし:「だからそれはなんども言ったじゃないですか。言ったけど、わたしの言い方が悪かったのかMさんに伝わらなかったみたいですと。」
Dさん:「それは、言ったってことでしょ?じゃああの場でそう言えばいいじゃん。」
わたし:「それは言えないですよ。Mさんの悪口を言っているみたいになるじゃないですか。」

これが、延々と続く。
彼の国には、YesとNoしかなく、曖昧な概念は必ず違う言葉に置き換えられてしまう。
最後わたしは「あー全然わかってもらえなかったな」とぐったりしていて、相手はというと満足げな顔で「よくわかった」とうなずいている。


ここまで散々書いてきたが、わたしはDさんが嫌いではなくて、むしろけっこう好きだ。
彼を尊敬しているし、わたし自身は彼から悪意を感じたことはない。
数年前にジョブチェンジをしたわたしの最初の上司はDさんだったし、彼がわたしにかけてくれた言葉を忘れたことはないし、恩もある。

そんな彼に、わたしはずっと何かを渡さなくてはいけない使命?があった。

少し不思議な話である。
話はわたしが彼の部下になった数年前に遡る。
彼の上には、女性の上司がいたのだが他の部署に異動が決まり、その前にわたしは彼女と個人面談をすることになった。

彼女の第一声は忘れられない。

「彼(Dさんのことだ)、だいじょうぶ?パワハラとかされてない?」

わたしはこたえた。
「そんなことないですよ、よくしていただいてます。」
彼女はつづける。
「そうなの、よかった。彼そういう時があって、少し心配で。本人も気をつけているとは思うんだけど。」
彼を批判しているというより、心配していることが伝わってきた。

これを聞いてから、なぜかわたしはずっと思っていた。

彼がパワハラをしそうになったらわたしが止めなくてはいけない。
パワハラで彼の人生が損なわれないように。

なぜこんなことを思ったのか、自分でもよくわからない。
そのとき、彼と会ったばかりで、上司ではあるものの、特段仲のよい人でもなく、まだ恩義を感じるほどでもなかった。
それに、彼がパワハラをすると思っているわけではないのだった。パワハラと周囲に受け止められそうなことが起きたら、とはっきり思っているのだ。
不思議な感覚。

この謎のお告げは、最近までずっと頭の片隅に残っていた。
そう、最近までである。
ここからは、この件が片付いたときの話になる。

前回(#34 それは僕のことが好きだからじゃない?)以降、Mさんのあたりはますます強くなってきていて、わたしは彼女の声を聞くだけで動悸がするようになってしまっていた。

「もっと軽い気持ちで相談してほしい」

その言葉を真に受けたわたしは、軽い気持ちでKさん(初めて読む方へ説明すると、わたしの直属の上司で好きな人である)へ相談した。
結果、大騒動が起こった。

騒動については後日書こうと思っているが、ここでは省く。
ただ、わたしの体調不良はKさんの上司でもあるDさんの知るところとなり、わたしはDさんと再び個人面談をすることになった。

zoom越しに見える彼はあきらかにしょぼんとしている。
「A(後輩のことだ)のことも、聞いた。それで、体調のことなんだけど、詳しく聞かせてくれる?」
彼はあきらかにこの前と違っている。
わたしのいうことをそのまま信じてくれる。

わたし:「Mさんがわたしにだけきつい時があって。だんだんひどくなって、仕事にまで影響してきているんです。」
Dさん:「あったね、わかってるから。」

彼は見ていたけれど、この前まではそういう風に捉えていなかったはずだ。
言いながら泣きそうになるのをこらえるのに必死だった。
(この部署の男の人はとんでもなく女の涙に弱いので泣いてしまうのは凶器を振り回しているのと同義になってしまうのだ。)

最後に、後輩の話になって、わたしは大学時代の話をしていた。
男の子と女の子とドライブしたときのことだ。
運転している男の子が、他から割り込んできた車を見て、思わず舌打ちをした。運転席の後ろに座っていたわたしの友達の女の子はそれが怖くて、以降一言もしゃべらなくなった。
例えば、そういう話である。

これは極端ではあるけれど、男の人のちょっとした苛立った態度を怖がる女性はけっこう多いように思う。(好きな女性はまずいない。)
女子校育ちの子だったり、お父さんがおっとりした優しいご家庭の子だったり、まあいいおうちの子たちである。わたしの友人もそういう子は多いし、うちの会社の新入社員にもまぁいる。
彼女たちはもちろん何も言わない。
黙って、そういった男性に引いている。

Dさんは、きっと彼にとって痛いであろう話をひとつひとつ黙って受け止めていた。
話が終わりかけたところで、なぜか脳内に響き渡るお告げ。

今だ。

そのとき、わたしの頭に何かが降りてきた。
言わなくちゃ、謎の力がどこからか湧いてくる。

Dさんは部長なんですよ。
わたしたちみんなだれも、逆らえないんですよ。
Dさんはわたしたちを傷つけられる、でもわたしたちはDさんを傷つけることはないんです。
安全なところから攻撃する。
これってずるいと思いませんか。

詳しい言い方は忘れてしまったけど、こんなようなことを言った。
キツい。
言いながら、Dさんに響きすぎるくらい響いているのがわかって、わたしも傷ついていた。
これをしゃべっているのはわたしであってわたしでない。
ハジメだ。(※ ハジメは #11 ”わたしの中の誰か”の取扱説明書 に出てきたわたしの中の人。無意識とか高次元の存在とかたぶんそんな感じ。)

こういうとき、痛いほど実感することがある。
よくわからない謎のルールに縛られていて、わたしはDさんを傷つけたのと同じだけ、わたし自身も傷つくことになっているとわたしは思う。
等価交換。
ハジメはそんなことに頓着してくれなくて全開で、わたしは無防備で生身なのでがっつりダメージを受けている。

わたしもいたいのだ。
いたくて、涙がこぼれる。

Dさんはうなだれながら、でもうなづいて、それなのに最後にわたしに

「自分のことを一番に考えてね」

とか言うのだ。
彼はすっかり変わっていた。

人を変えることはできない、と誰もがいう。

その通りだと思う。
わたし自身には人を変える力なんてない。
だけど、こんな風に人が変わる瞬間に居合わせることがある。

今回、Dさんに届けた言葉は、誰からの伝言だったんだろうと思う。
上司だった女性かなと思ったのだけど、そうじゃなく神様とかご先祖様がDさんを護ろうとしていた気がしてならないのだ。
将来巻き込まれるかもしれないパワハラから、彼を守りたいという気持ちをわたしはひしひしと感じていた。

Dさんの目にわたしはどう映るんだろう。
それは今度聞いてみようと思っている。


でもその前に、Kさんにどうしても聞かずにはいられなかった。

わたし:怖くないですか?わたしのこと
Kさん:でも、前に聞いてたじゃん。ともだちのこと泣かしちゃうとか。
わたし:わたしは、わたしが怖いですけどね。

実は、この前日からわたしには予感があった。
Kさんとこんな風に話せるのは今この瞬間が最後だとそのときなぜか思っていた。
前日、わたしはKさんに、チャットでこんなことを言っていた。

きょうもだいすきだよ。
(と娘に言われて癒されたので言ってみたwww)

たぶん、これを言ったのはハジメだった。
その日、しんどいMTGを予定していて、彼の気持ちを軽くしたかったのだ。
このチャットをしながら、わたしは今日が最後なのだと何となく感じた。
きっと、ハジメから彼への遺言?お別れの言葉?だった。


Dさんと話した後、わたしはひどく疲れてぐったりしていて、Kさんとその後個人面談があったのだけれど、うまく話せなかった。
Kさんはあまりにもおかしいわたしに動揺していた。

ハジメが、もうどこにもいなかった。
彼女はわたしの中から姿を消した。
お役目を終えたからなのだろうか。
Kさんとどう話していいのかわからない自分自身に戸惑う。

何日か経って、わたしはKさんにも伝えた。

わたしの中の人、いなくなっちゃった。
だから、もう今までみたいに話せないような気がします。


それから、わたしたちの間にはなんとなく距離がある。
わたしの恋は終わったんだろうか。
彼女とともにいなくなったんだろうか。
彼女はもう戻ってこないのだろうか。

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