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#14 日常にジェットコースターはいらないか?

こんにちは。id_butterです。
人生で最高に不幸な時に恋に落ちた話 の14話目です。

ここ一週間くらいだろうか、気分のアップダウンに少し苦しんでいる。
まさにジェットコースターだ。
離婚すると決めてから、感情の純度が高まっている気がするのだ。

休日の昼下がり、近所のスーパーのパスタ売り場。
お父さんとお母さんと息子さんの三人連れを見て、ふと胸が痛んだ。
子どもを自転車に乗せた夕方、せがまれて一緒に歌う「にじ」。脳裏にくっきりと情景が思い浮かぶ。
夜の公園で、しっとりとした空気に包まれて、「なんで今ここにいるんだっけ」と少し闇に吸い込まれそうになる。
平日の朝会MTG、いつものzoomからふと彼に話を振られ、胸が弾む。
でも次の瞬間には会いたくてズキズキしている。
平静なふりを装って、普通に仕事する。彼の声を耳元に聴きながら。
お昼にはコーヒーを入れ直す。キッチンごとわたしも香ばしい。

なんだろう、毎日の何もかもが色づいている。涙が出そうだ。

毎日毎日、こんな感情達がむき出しでわたしの中を渦巻いていて、私は翻弄され続けている。

でも、本当はこの状態が正しいのかもしれない。
結婚してた時だって、本当は毎日毎日いろんな違う気持ちがあったはずだ。
だけど、明日は当たり前に来ると思い込んでいて、いや来ないと困るから、ちょっとずつその朝は変わっていても気づかないふりをしてきたのかもしれない。
同じ朝が来なくなったのは突然じゃなく、毎日違う朝だったのかも。

わたしは依存していたのだ。
夫にではなく、結婚という社会の作った制度に。
不安定な自分を結婚に立てかけておいて、安心していた。

ひとりになって不安定になったら、放たれた獣のように本能がかえってきた。
久しぶりにごはんを食べたときに、いろんな味が強く感じるような感覚。
あるいは、朝の山のしんとした澄んだ空気。
結婚という安定は、自分自身の純度を喪わせるのかもしれない。

せっかく離婚するのだし、わたしはこのジェットコースターにもう少し付き合ってみようと思う。
この切なさも、悲しみも、わたし自身で、全部愛おしい。味わいつくそう。

今夜は満月。娘とお団子を買ってきた。
人生で一番綺麗に見える気がした。

「今日は満月ですよ」と朝会で言ってみた。
今、同じ月を彼も見上げているといいのに。

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