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オープンイノベーション促進税制について

前回お伝えした節税方法のオープンイノベーション促進税制についてお話していきます。前回の記事はこちら↓



オープンイノベーションとは

まずはじめにオープンイノベーションとは、企業が内部だけでなく外部の知識・技術・アイデアを活用することで、より効果的にイノベーションを推進する手法です。
企業内部に閉じたイノベーションに留まらず、外部のステークホルダーやパートナーと協力してイノベーションを生み出すことを目指します。

・企業内部のリソースに限界がある場合でも、外部のステークホルダーとの協力によって、新たな技術やビジネスモデルを取り入れることができ、競争力の強化や市場拡大が見込める
・オープンイノベーションにより、企業内部のスキルや知識の不足を補い企業内部の技術開発や製品開発のスピードアップが期待できる
・共同研究や共同開発による費用分担や技術・ノウハウの相互提供により、コスト削減が可能となる
・企業とパートナーとの共同作業により、より多様で創造的なアイデアが生まれる可能性がある

オープンイノベーション促進税制とは 企業がオープンイノベーションを活用することを促進するために、税制上の優遇措置を提供する制度です。主に、外部の研究機関やスタートアップ企業などと税制措置となります。

スタートアップ企業の要件

① 株式会社
② 設立10年未満
③ 未上場・未登録
④ 既に事業を開始している
⑤ 対象法人とのオープンイノベーションを行っている又は行う予定
⑥ 一つの法人グループが株式の過半数を有していない なお、法人グループにおける出資割合の算定対象は、子会社、孫会社、曾孫会社まで。
⑦ 法人以外の者(LPS、民法上の組合、個人等)が3分の1超の株式を有している☞すなわち、LPSや民法組合、個人投資家など、法人以外の者による出資割合が合計3分の1超である必要がある。
⑧ 風俗営業又は性風俗関連特殊営業※3を営む会社でない
⑨ 暴力団員等※4が役員又は事業活動を支配する会社でない

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/open_innovation/kankeihorei/210528_gaiyosiryo.pdf

出資要件の概要

オープンイノベーションに向けて、5年以上の株式の継続保有を見込んで一定額以上の現金の払込みによりスタートアップ企業の新規発行株式を取得が対象となります。
①資本金の増加を伴う現金による出資であること
②1件あたり1億円以上の出資であること※対象法人が中小企業の場合:1,000万円以上スタートアップ企業が海外法人の場合:一律5億円以上
③オープンイノベーションに向けた取組の一環で行われる出資であること
④取得株式の5年以上の保有を予定していること
⑤純出資等を目的とする出資ではないこと

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税制面メリット

スタートアップ企業とのオープンイノベーションに向け、国内の事業会社またはその国内CVCが、スタートアップ企業の新規発行株式を一定額以上取得する場合、その株式の取得価額の25%が所得控除されます。
スタートアップへのM&Aも対象となっております。

活用事例

  • KDDIは、スタートアップ企業と共同で5GやIoTなどの技術開発を行い、新たなサービスやビジネスモデルを創出

  • ディー・エヌ・エー(DeNA)は、スタートアップ企業の株式を取得し、自動運転や医療などの新規事業に参入

  • サイバーエージェントは、スタートアップ企業に出資することで、新規事業の創出や人材育成に貢献

  • パナソニックは、スタートアップ企業と協力して、次世代電池やロボットなどの技術開発を実施

これらのメリットによって、企業のイノベーション活動を促進し、グローバルな競争力の強化につながることが期待されています。また、オープンイノベーション促進税制の導入によって、イノベーション活動に参加する中小企業やスタートアップ企業に対しても、より利用しやすい環境が整備されることが期待され、新たなアイデアや市場の開拓などのビジネス機会を生み出すために、非常に重要な手法の1つです。