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恋の賞味期限

高校生のときにちょうど彼に誘われて見に行った「花束みたいな恋をした」がネトフリで見られることを知って、おおよそ2年ぶりに見た。

当時の彼は、「これ見たら元カレ元カノのこと思い出すんだって、やばくね。どうしよう別れたら、、笑」なんて言いながら、イオンの映画館へ私の手を引いた。

私は基本的に様々なことに感情移入しやすく、感受性が高い方だと思う。だが、当時の私には、麦ちゃんと絹くんの恋愛を理解しきれず、別れのシーンこそ涙が出そうになったが、そこまで心に響かなかった。

対して、彼はこれまで見た映画で一番だったと言って、あれからしばらくの間はキノコ帝国を歌いまくっていた。そして帰り道におもむろに彼が言った。「俺らもいつかああなるのかな。いやだな。」
彼は、この映画のどこに胸を打たれたのだろう。どういう解釈をしていたのだろう。私にはさっぱりだった。

今のわたしには、痛いほど全てが理解できる。元カレ元カノを思い出すと言われていた理由も。

ここまで同じ思考をしてて気が合う相手なんてこの先出会えないのではないかという相手と、何気ない幸せを感じながら過ごした日々。大人になる過程において、重なっていた2人の価値観が徐々にずれてきて、やがてすれ違う。わたしはこの2人引き裂いたのは紛れもなく社会だと思った。生きていくためにはやはりお金が大切で、それゆえに麦くんは自分の「好きなもの」を捨ててしまったのだと思う。

大人になるって残酷だ。

ー「今日、元カレ・元カノと会った」
あんなにかけがえのない特別な存在を元カレ・元カノという一言で表してしまう儚さ。
ー「ありがとう。本当に楽しかった。」
楽しかったという言葉でも全然足りない、どんな言葉でも表せないほど、幸せで素敵で宝物な日々をその二言で終わらせてしまう儚さ。

ものすごく重なる。

恋には賞味期限があることも彼と出会って思い知らされた。永遠を望んでしまいがちな高校生あるあるなのかもしれないが、ほんとに当時彼とはずっと一緒にいると思っていた。結婚ってすごいなってあらためて感じる。

2人が巡り巡って再び重なり合えたらいいなと願ってしまうのも、まだまだ子供な証拠なのかな。


今の彼が、もう一度この映画を見たら何を思うだろう。

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