仕事と妊娠をどう生きるか。ベルギーで妊娠、喜びと難航

ベルギーに移住して2年ほどたとうとしていた1月末。妊娠が発覚しました。
待望の命…！との喜びもつかの間、割とすぐに始まったつわりに2か月苦しみました…。

ちょうどショコラティエになるための修行を始めて3か月目を迎えたタイミングだったのですが、これがもう私の人生難破船かっていう経験でして。

（ショコラティエの修行を始めた経緯についてはこちらの記事から）

妊娠で変化した脳：「天丼を…天丼を私に…！」

妊娠6週目、まだ仕事場にも妊娠の事実を告げていなかったころ、仕事中、ものすごいおなかが減ってなぜか「…天丼…‼」という謎の食欲に支配された私。

もともと食に全然こだわりがないので、過去の海外生活でも一度も「和食が恋しい」なんて思ったことなくて、日本食レストランも年に1回行くか行かないか程度でした。

…が。ここへきて突然の脳内コール「天ー丼っ、天ー丼っ」が鳴りやまなず、お昼休みに近所の日本食屋に駆け込む始末。

妊娠で嗜好が変化：チョコ作ってんのにチョコを受け付けなくなる

ちょうど天丼コールが脳内に響き渡っているころ、同時に私の体に大きな変化が起きました。

私の口が、舌が、喉が、体が、チョコを受け付けなくなるという試練。
チョコ作る仕事してるのにチョコの匂いもダメになってしまいました…どんな修行これ…

子を守ろうとする本能…？冷房に命の危険を感じる

チョコを受け付けなくなると同時に出た試練それが「冷房に嫌悪感」でした。ベルギーの規則ではショコラトリーのアトリエは常に19℃を保たなければならないので、妊娠発覚した1月の真冬でもガンガン冷房直風の環境で仕事をしていました。それまで全然気にならなかったのに、妊娠6週目の仕事中に突然、冷房へ身の毛のよだつような嫌悪感と尋常じゃない危険を体が感じるようになりました。

本格的につわりが始まり、お休みを取ることに

それでも我慢して仕事にいけていたのは6週目まででした。7週目からはもう起きていられない気持ちの悪さでとうとう仕事をお休みすることに。

胃カメラ飲んだままジェットコースターに24時間ノンストップで乗せられてる感じ…でも吐けない、吐いてスッキリできる瞬間すらないつらさで心はボロボロに。１日にビスケット６枚をかじるのが限界な生活が３週間続きました。

仕事先から解雇の連絡が

つわりで休み始めてすぐ、修行先のショコラトリーから契約を切る連絡が来ました。本当なら妊娠を理由に会社が従業員を解雇するのは違法らしいですが、「どうでもいい…‼休ませてくれてむしろありがとう…‼」と思ったぐらい心身ともに追い詰められていました。

全ての物事は完璧なタイミングで起こっている

つわりが辛くて仕事を休んでた頃、ベルギーにコロナが本格上陸しました。そして私が解雇通知を受けた４日後、なんとベルギー全土の飲食店の閉店命令が出され、結局働いてたショコラトリーの従業員全員が一時的解雇状態になることに。

「なんだ、どの道あそこでは続けられる運命じゃなかったんだ。」と妙に腑に落ちた出来事でした。

そして結局ベルギーの外出禁止期間２か月は、まさに私のつわり寝たきり2か月にピッタリ当てはまり、在宅勤務に切り替わっていた夫は常に家にいるのでたくさん助けてもらうことができました。不謹慎極まりないですが、「物事すべてが完璧なタイミングで起こっている…」とつくづく感じました。

体の声に従って「休む」「頼る」を選んだ結果

キャリアチェンジ＆転職したばっかりで妊娠発覚した時には、正直職場への責任やら将来への不安ばかりが頭をよぎりました。でも体がどうしてもついていかなかった。だから体の声に従い、思い切って長期間休むことにしました。結果的にそれが原因で解雇にはなったものの、今振り返ればなんだかもうそうなるしかない流れだったように思います。

体の声を聴いて従った結果、なんだかんだなんとかなっているし、これ以上ない幸運に恵まれたような気さえしています。

妊娠という特異な状態で、限りなく動物に近い状態になる（と、私は感じている）ことで、動物が本来持っている「自然の流れに身を委ねる」偉大さを体感したような気がします。

そして現在：20週目から体調回復

つわりのピークは7週～11週目、そこから少しずつ「ジャガバター」が食べられるようになり、野菜が食べられるようになり…と少しずつ回復し、20週目からやっと普通の食事がとれるまでに回復しました。

やっと妊娠を心から喜べるまでにメンタルも回復。本当、長かった…

ちなみに妊娠中に経験したいろんな変化や経過はまた別の記事にまとめようと思います。私自身、辛くて仕方なかった時に人のブログで「いつごろからどういう風に楽になれるのか」を見まくって心の支えにしていたのでもし今苦しんでいる誰かのためになれば幸いです。