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中国のコーヒー市場の盛り上がりと驚異のポテンシャルを伝えたい

あのスタバを脅かすほどの勢いからの突然の転落、そして復活の兆し、と波乱万丈で有名な企業「ラッキンコーヒー」をまだ覚えてるでしょう。

不正会計でアメリカの株式市場で大騒ぎをしながらも、中国国内での事業への影響は消費者としてはほとんど感じられず、あちこちにお店があって相変わらずクーポンが多く配られています。

再びNo1の座を窺うラッキン。でも、そんなラッキンコーヒーでも全く油断できないほど中国のコーヒー市場は競争が激化しています。特に今年に入ってから、ラッキンの不正やコロナで落ち込むのかと思いきや、2021年は既に21社の企業が合計で46億元の資金調達を実現し、これからはさらなる爆発的な成長を迎えることが確実視されています。

■中国のコーヒー市場の略史が面白い

テックメディアの「钛媒体」が中国のコーヒー市場の発展についてをまとめていたのを見かけました。それを見ると

・1980年代、ネスレやマクスウェルを代表とするインスタントコーヒーが中国市場に入って、コーヒーは“目覚めのドリンク”として中国消費者に認識される
・1990年代、スタバや上島コーヒーなどが中国に出店し、コーヒーはただの飲み物から飲みながらソーシャルする飲み物として認識される
・2016年前後、ラッキンをはじめ、IT技術を活用するいわゆる「新小売」方式のコーヒーが流行始めた。アプリでの注文やデリバリーの利用など、コーヒーを飲むシーンが多元化に進んでいる
・2018年〜2019年、SeesawやMannerなどを代表とする“店の規模が小さいだけどコーヒーの品質に非常にこだわるチェーン店”が人気になっている
・2020年から、新興チェーン店がますます拡張し、コーヒーへの消費も理性かつ日常的になり、コーヒーのコスパを求める時代に突入

と、ここ数年も大きく変化しつつあります。日本と比較してどうですかね?

■現在の主な競争の模様

現在、主な競争については大きく3つに分けられます。

一つ目はスタバやラッキンのような“入れたてのコーヒーを販売するお店”で、特に一級都市や準一級都市では話題のコーヒーチェーン店が次々と現れています。

二つ目は“もともとコーヒー屋さんじゃないがこの波に乗りたい既存大手”です。実店舗を出したり、缶コーヒーを出したりとあの手この手で食らいついています。

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↑代表例として、漢方薬の老舗「同仁堂」が出した漢方薬入りのコーヒーです。売りは“より健康に効果的”で、漢方薬の特徴を活用しています。取材では「苦味が好みであればラカンカが入るブラックがお薦め、クリーミーが好みであればメハジキラテ、クコラテ、カンゾウラテがお薦め」と言ってました。

ちなみに「同仁堂」のほかにも、エナジードリンク大手の「東鵬特飲」もコーヒー事業に参入しています。

そして三つ目は、「三顿半」や「永璞」などを代表とする液体のインスタント濃縮コーヒーブランドです。若者をターゲットに味や便利性だけでなく、包装も非常に可愛らしいものが多い。あまりにも市場受けがよく、現在ではスタバやファストフードのケンタッキーも参戦しています。

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↑ケンタッキーが出してる液体濃縮コーヒー。店舗が多くてデリバリー対応が一番の強みかな

■資金調達の数字と個人的推しコーヒー企業

資金調達の規模からいうと、今年の1月から9月までの間、コーヒーに関わる融資は合計21件で総額が46億元を超えてます。融資の大半はAシリーズ前後で融資額も1億元程度が多いです。Mstand、illy、Manner、ラッキン、隅田川、三顿半などが数億元程度。

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その中でも最も注目しているのは、半年で4回の資金調達も行い現在の市場査定値が20億ドルの「マナーコーヒー」です。

個人的にも最近半分くらいのノートはここで書いているほど利用しています。マイカップ持参で10元でラテが買えるし、店員も店の雰囲気もよく、週替わりでSOEも出していて、いろんな風味をお得な価格で試せることが非常に魅力的です。

実はコロナの影響で2020年の上半期ではコーヒーサービス業が非常に影響を受けていました。北京の企業評価協会の統計によると、当時は7割の飲食店が経営停止状態で、コーヒー屋さんでは平均値を超えての停止店舗が83.3%に達してました。

でもその後の日常生活の回復に伴い、サラリーマンや学生のコーヒーへの消費需要もすぐに戻りました。

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オフィス街のコーヒー屋へのニーズも業界の発展を後押したと思われます。85%以上のニーズに対して、デリバリー対応可能やアプリで注文してちょっとだけ席から抜けてすぐに戻れるのが一番のニーズかな。

■消費者の動向から中国の無限大のポテンシャルを感じる

そして驚くのは中国のポテンシャルの恐ろしさです。ここまでの文書を見て、「さぞやみんなコーヒーを飲んでる」と思いますよね?

でもどれくらいコーヒーを飲んでるかというと、(非常に広い国で人口数もあって)平均値は、2020年の1人当たり年間コーヒーの消費量はたったの9杯です。対照的に、日本は280杯、アメリカは329杯、韓国は367杯です。明らかに「後進国」なのですが逆に考えれば無限のポテンシャルと考えられます。

市場がどんどん育成されて数万億元の市場が期待されると分析したプロもいます。

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競争が激化している一級都市だけでなく、最近は準一級や二級都市での伸びもいい調子。ただ地方や田舎での市場育成はどれほど時間はかかるかと心配する声もありました。

たしかに中国のコーヒー普及はアメリカや日本よりずっと遅れていた印象はあります。もちろんたくさんの人がいるので、ずっと前からのコーヒー中毒者も多数だとは思いますが、肌感覚としてもまだまだ無限な余地がある気がします。今日も向かいの研究員は水筒にお茶を入れて飲んでますから笑

日本企業もぜひチャレンジしてみてはいかがですか。

(参考資料)


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