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中国でNBAはもう観れないかもしれない。中国人がこんなに怒ってる理由

(※今回はけっこう個人的な考えも入ってますので、もし読んで気を悪くする方がいらっしゃったらごめんなさい)

僕はバスケットが大好きです。よく中国友達たちとバスケしてるし、NBAもかなり見てます!NBAを観にアメリカに何度も行きました。

そして今、僕にとってすごく悲しいことが中国で起こってます(ノД`)シクシク

昨日Weiboで盛り上がったTweetがありました。

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↑香港人が彼女の台湾人を殺したからNBA見れないんだよと。これが表していることは

香港男性が台湾で彼女を殺した
→香港デモの原因「反送中」の送中法案の提案
→結果香港があんなことになってる
→なぜ...ロケッツのオーナーが「香港支持する」とツイート
→中国人激怒、みんながNBAと決別宣言
→NBAファンのみんながこれから中国でNBAの試合中継を見られなくなる

ってドミノ倒し(バタフライ効果)をめちゃ上手く表現した。日本でも報道されてるでしょうから、みなさん事情はもうご存知ですかね。

当事国の中国はもちろんこの話題一色ですが、アメリカでも日本でも(?)議論が盛り上がってると思います。ちょっとチェックしましたがいろんな見方があって「政治とスポーツは別」「香港可哀想」「表現の自由守ろう」「結局金かよ」...みたいな。

今日は中国側からの目線でどうなってるかをお伝えしましょう。

■まずは炎上の経緯から

中国人が怒ってるのはロケッツのマネージャー「Morey」がツイートで香港の反政府デモへの支持を表明した(すでに削除した)だけではなく、NBAのコミッショナーである「Adam Silver」が「Morey」の発言について「彼の表現の自由を支持する」とコメントをしたことです。

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「Morey」の問題発言と「Silver」の支持発言がめちゃめちゃ炎上してしまって、中国の国家テレビ局(NBA試合の中国でのテレビ中継権を持つ)とテンセント(NBA試合の中国でのネット中継権を持つ)が試合の中継はしないと発表。

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これにみんなが追従。「虎扑」(Hǔ pū)という中国で最もNBAファンが集まるSNSコミュニティーも関連企画の中止を発表。10月9日に上海で予定されていたNBAのファンイベントも中止となりました。

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NBAのスポンサーになってるのは25社でそのうち13社が中国企業。そして、うち11社が次々とNBAとのビジネスをやめると発表。まだコメント出していないのがユニリーバと日産自動車との合弁会社の2社だけ。

■中国側からの言い分

コミッショナーの「Adam Silver」の態度は僕から見ると大したこと無いように思えるのですが、中国人の反感を大きく買ったのには理由があります。

2014年にNBAのロサンゼルス・クリッパーズのオーナー「Donald Sterling」がプライベートで黒人への差別的発言をした際、「Adam Silver」からは「今後二度とNBAのコートに来てはいけない」と処分され、さらに250万ドルの罰金が言い渡されました。

しかし今回の「Morey」の場合は逆で、彼の発言を支持したのです。この基準の差が中国人の怒りを煽ってしまった。

(ここは普通の人には...?なとこかと思いますが、とてもデリケートなところなのです。僕がこちらでいつも聞かされている理解では、アヘン戦争で香港がイギリスの植民地とされたことを、中国人は間違いなく民族歴史上の屈辱だと理解しています。その後の戦争を経てたくさんの人が命を失ってやっと新中国を立ち上げ、せっかく頑張って返還となったのに香港は反発。中国人からしたらやるせない状態です。この植民・侵略された歴史があるので国の分裂の話になると超デリケートになるわけです。それを「香港は中国から独立せよ」なんて外国人にとやかく言われることがもう許せない!と)

また、ゴールデンステート・ウォーリアーズのCOOがテレビ取材で「半年も経ったら中国のみんなもこの件を忘れるでしょ」と火に油な発言をしてしまった。↓

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これで盛り上がりは頂点に。この事態に対していつもは当たり障りないことしか言わない人民日報のオフィシャルアカウントがツイッターで珍しく強気を示しました↓

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■アメリカの言い分との違いはなぜ?

いつもはすかさずツイートするトランプ大統領が何も言ってないのをいろいろ勘ぐってしまいますが、ヒラリークリントさまもこんなツイートをしてました。

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今回の件は中国だけではなく、アメリカのソーシャルメディアでも大いに盛り上がってます。そして中国のそれとは論点がだいぶ違うのです。個人的に意味深いと思うところは、たぶんアメリカ人は今でもなぜ中国人が怒ってるってわからない点

アメリカの多くは「表現の自由が侵害される、自由に言いたいこと主張して何が悪いの!」ですが、大体の中国人はそんなの勝手に自由にやってくださいと思う人が多いです。

でもNBAの件について中国側は、中国と億ドル単位のビジネスをしながら、中国を屈辱するような言葉を「表現の自由」という理由で公に言うことは、空気が読めないよりは、ばかにしてる?ってリアクションしてます。ビジネス相手に屈辱を感れさせる発言したら「じゃあバイバイ」って言われても仕方ないでしょって。

とまあそんなこんなで盛り上がってますが、第三者の日本人からみれば、なんと言っても15億ドルで5年間ネット配信権を購入したばかりのテンセントが一番かわいそうです。このまま放送できないだったらお金どうなっちゃうんだろう。

そして北京にいる僕は今後どこでNBAを見れば良いのでしょう。。

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