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松本まりかの皮膚感覚に怖さを感じる

小説、ドラマ、演劇の連動企画で「向こうの果て」が始まった。ドラマでは松本まりかさんが主演をやると聞いて期待が高まった。まず小説を読み始めた。著者(竹田 新)は最初から松本まりかさんをイメージして書いたのではないかと思うほど私の中ではピッタリと当てはまった。この台詞はこんな感じで言うだろう...と想像しながら読み始めた。

松本まりかさんの少しかすれた声や皮膚が薄いのではないかと思わせる中身が透けて見える不安定さのようなものが私は以前から好きだった。かすれたか細い声は女の底にある怖さを表現し、人を馬鹿にしたようにけたたましく笑う姿にもそこはかとない怖さを感じる。

<ストーリー>WOWOW解説より
昭和60年の東京。マンションの一室で放火殺人が発生する。逮捕された池松律子(松本まりか)と、死亡した小説家の君塚公平(松下洸平)は幼なじみだった。律子は事件を担当する検事・津田口(柿澤勇人)の取り調べを、どこか浮遊しているような態度でするりとかわしていく。津田口は事件の真相を追って、これまでに律子と関わってきた人物たちと接触し始める。
次第に明らかになってくる律子の数奇な人生と、彼女を取り巻く男たちの姿。しかし、彼らが口々に証言する律子の印象は、すべてがバラバラであった。津田口は事件を深追いするほどに、徐々に律子という人物そのものに傾倒していく。やがて津田口は、律子と公平が幼少期を過ごした昭和30年代の青森・津軽に、この殺人事件の真相を解く鍵があるとにらみ始める。

夜叉のような女。娼婦のような女。嘘つきな女。贅沢な女。

残酷な女。柔らかな女。太陽のような女。

男たちが律子に対してもつ印象だ。どれが本当の律子なのか?

小説もまだ半分くらいしか読んでいない。ドラマはまだ1回目が放送されたばかりだ。ストーリーは小説でだいたいわかっていたのだが、女の私でさえふらっと引きずり込まれる危うさを感じ、この女にならズタズタにされてもいいやと思わせるような見せ方をしている。松本まりかさんには天晴れな悪女を演じてくれることを期待する。悪い女というのは、いつもどこかにそこはかとない憂いがある。その憂いは善良な人間には出せない魔力がある。それを存分に見せつけてほしいと思う。

舞台では小泉今日子さんが池松律子を演じられているが、コロナの影響で公演中止となっているようだ。観ることが叶わないのは残念であるが、小泉今日子さんは、松本まりかさんとは違ったドスの効いた池松律子になるのではないかと思う。再演などがあれば是非観てみたい。





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