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GO TO PARADISE

2020.7.23(木曜日) Consecutive Holidays (first day)

待ってましたとばかりに雨が降りそうだ。

季節は意地悪で、世界は妙ちくりん。

パラダイス行きの飛行機は飛び、高原行きの電車は走るが、誰も心からそんなこと望んでいない。ワイドショーでインタビューに答える一般旅行者がどこか不安げに映るのは何故だろうと思いながらテレビを見ていた。誰もが顔を曇らせ「気をつけながら旅行してます」感を満載にしている。どこかスッキリハッキリしないキャンペーンが始められてしまった。という私も最終日にちょこっと出かける。電車に乗ってのんびりと...と思っていたが、最近のご時世でそうはいかないことを知り、夫に車を出してもらうことにした。さっと行って必要ことをしてさっと帰ってくるつもり。キャンペーンなどまったく関係のないお出かけだ。先日、古い友人とのLINEで「コロナでだけは死にたくない」という話をしていた。どこかへ出かけるたびにそのLINEのことが思い出される。その友人は独身で翻訳者でコロナ禍でなくてもずっと自室で仕事をしていて、誰とも会わないから「私、まったく感染する気がしないのだけど」と言っていた。自室にずっといても生活できるという環境はとても羨ましい。私もお金があれば郊外に別荘でも買ってそこにこもって作業したい。と、考えてみるが無理だろうな。諸々の問題山積みだから。

低気圧のせいで蒸し暑くてたまらない。私は夏生まれの夏嫌いを自負している。夏は大嫌いだ。夏は近所のスーパーにも本当は行きたくない。今日は夫がいる。代わりに行ってもらおうかとも思うが、彼はなんせ仲良し夫婦を目指している。「買い物...」と声をかけると「行こう、行こう、一緒に行くよ」と嬉しそうに言う。私は子供をあやすように「じゃ〜行こうか」と渋々出かける。

今にも降り出しそうな空を見ながら歩いた。

私たちにはどこにでも行く自由がある。それと同時にどこにも行かない自由もある。どっちが素敵でどっちが醜悪でもなく、どっちが幸福でどっちが不幸というわけではない。自分の考えで自分の行動を決めれることが素敵であり幸せなのだと思う。テレビに映る旅行者がどうか楽しく素敵な笑顔になりますように...家でのんびり昼寝する人がどうかリラックスできますように...と素直に思う。

夫と行ったスーパーで鰻と牛肉のフェアをやっていた。私は鰻が苦手である。どうしても牛肉の方に足が向く。「すき焼き食べたい」「焼肉もいいね」「ステーキが一番簡単だけど」と、少し小競り合いがあって今夜はすき焼きに決まった。夫がお肉代だけ御馳走してくれると言うので少し高めのお肉を選ぶ。私は買い物はひとりでする方が好きなのだけど、夫と来て良かったと思うのはこういう時。でもお肉以上に野菜が高い。白菜が500円を超えている。ネギが400円、春菊450円。高級すき焼きになりそう。レジでの支払額の多さにびっくりしていると「いいじゃない。旅行行くより安上がりだよ」と言う夫。男ってこういう考え方するのね。主婦は毎日の買い物でどれだけ節約を心がけているか知らないのだろうな。

雨がポツポツ降ってきた。今日の東京のコロナ感染者数が300人を超えたとニュースは告げる。すき焼き肉は冷蔵庫におさまった。高い野菜類も誇らしげになんとか野菜室へ。

パラダイス行きたいね、いつか大手を振って。


読んでいただきありがとうございます。 書くこと、読むこと、考えること... これからも精進します。