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大人計画 ドライブイン カリフォルニア

昨夜、舞台「ドライブイン カリフォルニア」を観てきた。
開演は午後6時で、会場は家と目と鼻の先くらいのところにあるから10分前に出ても間に合うのに、大好きな大人計画の舞台ということもありもう午後4時くらいからそわそわしていた。結局5時半に家を出て会場の近くのカフェでいろいろ妄想しながら開演を待っていた。



始終、涙が止まらなかった。
確かに悲しい話なのではあるが、一言で言えばかっこいい舞台だ。
私は初演(1996年)こそ観ていないが、2004年の再演を観ている。
今回は再再演となり、作・演出もちろん松尾スズキさんで配役が違う。前回は私も若いということもありそこまで深く考えずに観ていたのだと思う。今回はあれから18年経っている。18年という時の流れの中で私自身にもいろんな出来事が起こり、変化があり、それにも増して18年分私は確実に死に近づいているのは事実だ。そういう中で観るこの作品は目頭にチョロチョロと流れる涙を隠すことはできなかった。
とは言え、松尾スズキさんの作品である。
涙と同じくらい笑わせる演出もあり、最後は「これが笑い泣きといいうやつか」と再確認した次第だ。

物語は…
これから観る人もいるだろうから詳しくは書かないが…

『竹芳養町という田舎町で「カリフォルニア」という名のドライブインを経営するアキオは、妹のマリエ、腹違いの弟ケイスケとともに3人で暮らしている。ある日、東京から奇妙なカップルが来店してから、それぞれの人生が大きく変わっていく。
登場する人物たちは、それぞれ鬱屈した何かを持って生きているが、死(自殺)が常に物語の中に組み込まれていて、それを乗り越えられるのか、乗り越えられないのか… …
ドライブイン「カリフォルニア」の狭い店内を舞台に、人間の持つどうすることもできない悲劇をのどう乗り越えていくかを描いている』

死は、何も無くなってしまうことなのか、
死は、寄せては返す波のようなものかなのか、
それはそうなってみないとわからないなと思いながら、でも背中に『バカ』と書いて生きるくらいになった方がこの世の中生きやすいのかとも思う。
(これは舞台を観た人しかわからないエピソードだが)

大人計画のお芝居は笑いもあるけど、悲しみや苦しみをなどを決して美化しないところが好きだ。時には傷口に塩をすり込むようなキツい表現もある。
ただ、それでも生きていかなきゃいけないんだよというメッセージは必ず残してくれる。

とても良い席を取ってもらったので、愛してやまない阿部サダヲさんをかぶりつきで観れたのは幸せの極みだ。
元気が出た。
これからも絶望と上手く付き合っていけそうな気がしている。

舞台のセット
今回の出演者


現地で偶然会った演劇仲間と、お好み焼き屋に寄ってあーだこーだと演劇論を戦わせて、ビールをたらふく飲んで帰宅した。
あぁ、楽しい夜だった。




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