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第三章数学と幽霊Ⅱ、第十六話 二人のアマテラス Ⅰ

「二人のアマテラス」を書くに際して、天鈿女命の存在が非常に重要になってくる。卑弥呼という祟り神としてのアマテラス卑弥呼の宗族の娘で、卑弥呼の後継者、天皇家の直系の先祖としての臺與(トヨ)というもう一人のアマテラス、そして、臺與(トヨ)の師匠でもあった、天鈿女命。この三人の女性の絡まる物語を書いてみようと思っている。

天皇家の祟り神である「卑弥呼アマテラス」は、伊勢神宮に封印されている。古代より歴代天皇が伊勢神宮に行幸しないのは、封印された祟り神と接する必要がないのと、「卑弥呼アマテラス」は天皇家の直系の先祖ではないためだ。

だから、宇佐八幡宮神託事件 - Wikipediaで、道鏡を天皇に就けたがっていたと言われる称徳天皇が、なぜ伊勢神宮ではなく宇佐八幡宮の神託を求めたのかは自明のことであろう。宇佐神宮の姫大神こそが、天皇家の直系の先祖、「臺與アマテラス」だからだ。

また、みなさんは、単なる神楽の踊り子である鈿女(ウズメ)が、天皇家の名字である「天」をつけた「天鈿女命(アメノウズメノミコト)」として呼ばれているのか、疑問に思わないだろうか?

第三章 数学と幽霊Ⅱ
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性同一性障害と勘違いして悩む
義理の妹に悩むぼくの物語
第三章十六話 二人のアマテラス Ⅰ

第一話~第十ニ話 数学と幽霊Ⅰ、総集編
第十三話 愛光女子学園-恭子と順子
第十四話 恭子
第十五話 邪教
第十六話 二人のアマテラス Ⅰ
第十七話 二人のアマテラス Ⅱ

前置き

 二十一世紀の現代の小説を書いているのに、一万年前の最終氷期(ヴュルム氷期)の話から初めるというので、これはトリッキーなことなんですが、お許し願いたい。

第三章数学と幽霊Ⅱ、第十七話 二人のアマテラス Ⅱ

縄文後期

 最終氷期(ヴュルム氷期)の約ニ万年前の最盛期が過ぎると地球規模で気候は温暖化に向かった。最後の氷期である晩氷期と呼ばれる約一万三千年前から一万年前の気候は、数百年で寒冷期と温暖期が入れ替わるほどで、急激な厳しい環境変化が短期間のうちに起こった

 それまでは、針葉樹林が日本列島を覆っていたが、西南日本から太平洋沿岸伝いに落葉広葉樹林が増加し拡がっていき、北海道を除いて列島の多くが落葉広葉樹林と照葉樹林で覆われた。

 温暖化による植生の変化は、マンモスやトナカイ、あるいはナウマンゾウやオオツノジカなどの大型哺乳動物の生息環境を悪化させ、約一万年前までには、日本列島からこれらの大型哺乳動物がほぼ絶滅してしまった。

縄文海進-6,900年前
大規模鬼界カルデラ噴火-7,300年前
※ 縄文海進は、最終氷期の最寒冷期後(約19,000年前)から始まった海水面の上昇を指し、日本など氷床から遠く離れた地域で100メートル以上の上昇となり(年速1 - 2センチメートル)、ピーク時である約6,500年前 - 約6,000年まで上昇が続いた(日本では縄文時代)現在はピーク時から海水面は約5メートル低下した。またピーク時の気候は現在より温暖・湿潤[要出典]で平均気温が1 - 2℃高かった。
※ 鬼界カルデラは、薩摩半島から約50km南の大隅海峡にあるカルデラ直径は約20km。薩南諸島北部にある薩摩硫黄島、竹島がカルデラ北縁の外輪山に相当する。カルデラ中央海底には、単一の火口に由来するものとしては世界最大規模の溶岩ドームがある。溶岩ドームからは現在も火山性ガスの気泡が噴出しており、地下にはマグマ溜りが存在すると考えられている。薩摩硫黄島はランクAの活火山に指定されている。先史時代以前に複数回の超巨大噴火を起こしている。約7300年前の大規模カルデラ噴火は過去1万年の内では世界最大規模で、火砕流が九州南部にも到達し、九州南部の縄文人を絶滅させたと推測されている

九州、吉野ヶ里丘陵

 最終氷期が終わり温暖となった縄文時代前期(約六千年前~五千年前)には、縄文海進(約六千九百年前)と呼ばれる海面上昇があり、有明海は吉野ヶ里丘陵の南端付近まで広がっていた

 縄文時代後期(約四千年前~三千年前)には、吉野ヶ里丘陵の周辺部に人が生活していた。ここに人が生活し始めた大きな理由として、この地域が有明海と近かったことがあると考えられている。吉野ヶ里丘陵から有明海まではニ~三キロメートルほどの距離にあったと推定されている。

 有明海は干満の差が平均で5~6メートルと大きく、また遠浅の干潟を持っている。この干満の差や筑後川などの河川を利用した水運に優れていたこと、また貝やカニといった食料が豊富に得られたことなどの好条件が揃い、吉野ヶ里丘陵の周辺部に人の定住が始まったと考えられている。

 紀元前四世紀頃(縄文時代後期)には、吉野ヶ里丘陵の中に集落が形成され始め、これが大規模な集落へと発展することになる。

 集落形成の初期には、吉野ヶ里丘陵のところどころに分散して「ムラ」ができ始める。また、南のほうの集落に環濠が出現する。

 集落形成の中期には、吉野ヶ里の丘陵地帯を一周する環濠が出現する。集落が発展していくとともに、防御が厳重になっている。

吉野ヶ里歴史公園

 また、墳丘墓や甕棺が多く見られるようになる大きな墳丘墓になると南北約四十六メートル、東西約二十七メートルの長方形に近い墳丘で、高さは四メートル半以上あったと推定されている。頂上から墓壙を掘って十四基以上の甕棺を埋葬しているものもあり、本州の他の地域でも見当たらない。

吉野ヶ里歴史公園2

 集落形成の後期には、環壕がさらに拡大し、二重になるとともに、建物が巨大化し、三世紀ごろには集落は最盛期を迎える。北内郭と南内郭のニつの内郭ができ、文化の発展が見られる。甕棺の数などから推測しておよそ千ニ百人、吉野ヶ里を中心とする地域全体では五千四百人くらいの人々が住んでいた。

吉野ヶ里歴史公園3

縄文晩期~弥生時代

 縄文時代も晩期(約紀元前三百年)となると、縄文海進の影響も薄れ、海岸線は吉野ヶ里から次第に遠ざかった。神埼市千代田町や佐賀市諸富町付近に筑後川の河口があった。そこには、大規模な港のようなものがあった。吉野ヶ里丘陵は東西両岸を流れる城原川と田手川を通して、この港と交流を持っていた。

弥生小海退

 吉野ヶ里丘陵を中心としたクニ(連合王国邪馬台国の首都)は、朝鮮半島を経由せずに、中国江南もしくは山東半島から北部九州に直接交易を行っていた。

吉野ヶ里遺跡と縄文海進時の海岸線3

倭国大乱、後漢の桓帝/霊帝の治世(146 - 189)
卑弥呼の日食(1)、247 年 3 月 24 日
卑弥呼の日食(2)、248 年 9 月 5 日
魏志倭人伝(280 - 297)

卑弥呼生誕

 二世紀後半、西暦百七十年、吉野ヶ里丘陵を中心としたクニの長に女の子が生まれた。その子は脳に異常を持っていた。脳器官の短期記憶をつかさどる海馬の働きが通常の人間よりも早く優れていたのだ。そのため、五感で得られる外部刺激情報が大脳皮質に素早く送られ、ニューロンとシナプスの再構成が早かった。つまり、脳の演算能力と記憶能力が人並み優れていたのである。

 さらに、通常の人間の脳器官の松果体は、八ミリ程度のグリーンピース大の大きさだが、その子の松果体はその倍はあった。松果体はメラトニンというホルモンを分泌し、性腺刺激ホルモンの分泌を調整する。その子の松果体のメラトニン分泌量は低く、性腺刺激ホルモンの過剰分泌が思春期早発を促した。そのため、その子は、早い思春期を迎え、十代前半で初潮が始まった。また、その頃の日本人の平均以上の170センチの身長だった。

 また、松果体は、第三の眼と呼ばれる。人間の頭蓋骨で邪魔されているが、光を感じることができる。まれに松果体が発達した人間は、トカゲや鶏のような方向感覚と異常感覚を持つようになる。その子は松果体異常により第六感を持った。

 吉野ヶ里丘陵を中心としたクニの長は、その子の名前を「日の巫女」という意味で、「ヒミコ」と名付けた。

吉野ヶ里丘陵連合王国、邪馬台国

 その頃の九州地方は、吉野ヶ里丘陵を中心としたクニを首長とする連合王国、阿蘇を中心とした狗奴国を首長とする連合王国、南九州を中心とする熊襲国を首長とする連合王国の主な三勢力に別れて競い合っていた。これが後漢の桓帝/霊帝の治世に起きた「倭国大乱」と呼ばれる騒動である。戦火は、九州のみならず、山陽・山陰地方にまで及んだ

初代アマテラス、女王卑弥呼

 しかし、優れた超常能力を持つ「ヒミコ」を擁した吉野ヶ里丘陵を中心とした国家群は、狗奴国、熊襲国というニ大勢力を圧迫し、徐々に併呑していった。やがて、狗奴国、熊襲国を傘下にした吉野ヶ里丘陵のクニは、自国を「邪馬台国」と称するようになった。

 邪馬台国は、中国江南や山東半島と交易関係を持っていた。先進地帯である中国から、邪馬台国は軍事技術や銅剣、銅矛などの先端兵器を手に入れていた

 その理由もあり、邪馬台国は九州における軍事大国となったのだが、邪馬台国の王、ヒミコの弟も国民もヒミコの超常能力が周辺諸国を併呑したと信じていた

 邪馬台国には、武器・技術の他に、中国から道教思想なども流入した。ヒミコは、道教思想を元に独自の「鬼道」という呪術をあみだした

 彼女は、自身を神だと信じた。実は、極めて異常な松果体と海馬の発達が原因であったが、ニ世紀の日本人がそのような医学的な知識は持ち得なかった。

 彼女は、数十人の宗族から献上されたよりすぐりの美貌を持つ侍女(巫女)を持ち(『千人の巫女』などという大げさな文献は邪馬台国の人口を知らなさ過ぎる)、高床式宮室や楼観で起居した。

 人と会うことはなく、王となってヒミコを補佐する弟が飲食の世話や取次ぎをし、巡らされた城や柵、多数の兵士に守られていた。弟の名前はスサノヲと言った

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縄文海進と古神道、神社、天皇制

ヒンズー教と仏教の原風景

第三章 数学と幽霊Ⅰ、総集編

第二章 順子、総集編

第一章 出会い、総集編

性同一性障害と勘違いして悩む義理の妹に悩む
ぼくの物語


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