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感想: 柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年@東京国立近代美術館 21.11.17

民芸品が昔から割と好きで、旅行に行くと行先の民芸品に惹かれることが多かった。小さい小皿とか、持ち帰れるものを買って帰ったり。

あと、前から柳宗理のデザインが好きで、家で使っているヤカンやフライパンは柳宗理デザインのもの。

この展示を知った時、柳宗悦の名前を見て、確か柳宗理の父だったなと思い出し、民藝も興味があるから行ってみよう、と思い立って行ってまいりました。

最初に恥を晒すと、今回の展示で知ったのは、柳宗悦、読みは「やなぎ むねよし」なんですね…。ずっと「やなぎ そうえつ」って読んでいました…。(ウィキペディア曰く、「そうえつ」読みも間違いではないそうですが、展示では一貫して「むねよし」でした。)

構成

第1章から第6章までの構成。

第1章では、柳宗悦を中心に、民藝の蒐集に至った経緯やそのコレクションが展示されていた。

全体的に、柳宗悦の名を冠していることもあって彼の活動を中心に語られているが、河井寬次郎、濱田庄司といった民藝活動家の活動の記録、作品も多々展示されていた。

作品リストは、下記サイトからも見ることができる。

感じたこと・知ったこと

柳宗悦の蒐集への熱意・デザイン力

いわゆる民芸品の魅力に気づいてそれを集め、紹介していく活動を柳宗悦は行っていたのだが、とにかくその熱意、そして行動力に感服した。

全国各地の民芸品・工芸品のマップを作ったり、著書の中で、それぞれの魅力をイラストや写真を用いて説明したり。今のようなインターネットのない時代では、これらを読んだ人たちはきっと感動したに違いない。

特に驚いたのは、紹介する民芸品の写真の切り取り方や、本の題名のデザイン画から見られるデザイン・編集力だった。もちろん持って生まれたセンスというのもあると思われるが、どう切り取れば、その品の魅力が伝わるのか、ということを熟考し、経験を詰んだことが見てとれた。

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写真:撮影OKだった、柳宗悦の書斎の再現コーナー。机、椅子ともにまさに民芸品。

朝鮮・中国の用の美

柳宗悦が朝鮮や中国の民芸品にも目を向けて蒐集していたことをこの展示で初めて知った。あまりアジアの物に自分自身は目が行ってなかったが、やはり距離的に近い分、通じるものを感じた。(色彩や素材など。)

吉田璋也の存在を初めて知った

展示の後半で、吉田璋也という方のお名前を恥ずかしながら初めて知った。なんでも、鳥取出身の民藝運動の第一人者ということだった。

鳥取には、この吉田璋也が作った鳥取民藝美術館というのがあるそうで、そこにたくみ工芸店、たくみ割烹店という店が併設されている。

なんでも「美術館、お店、料理屋を並べて作って、民藝を学んで、手に取って買って、さらに食べながら体感できる仕組み」を作ろうとしたそうで、考えが斬新で、そしてとても理に叶っていると思った。

この鳥取民藝美術館などにぜひ行ってみたい、とすごく思いました。(鳥取は実はまだ行ったことがないので、尚更。)

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写真:ショップで買った書籍。安西水丸さんが鳥取の民芸について紹介している。吉田璋也の名前や功績についての説明もある。

まとめ

民芸に興味がある、程度で行ったので、その情報量に驚いた展示だったが、民芸運動を理解し、そして現在どのようにその運動が続いているのかを知るには最適な展示だったと思う。

会期は2022年の2月13日まで。もしお近くに来ることがあれば、ぜひ足を運んで見てください。


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