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#13_【読書】レア力で生きる/小宮山利恵子(KADOKAWA)

地方で生活していますと、よく「おたくの地域は情報発信が足りない」というありがたいご意見をいただきます(゚∇゚;)☆\(-_-;)。
そして、「おたくの地域の情報発信をしたいです!」というオファーも、たくさんいただきます。

一応私も物書きの端くれですので、受け手に刺さる発信について考えることがたまにありますが、ある時、その疑問に対する良い気づきを与えていただいた、小宮山利恵子さんの「レア力で生きる」という本を紹介したいと思います。

小宮山さんは私と同い歳で、一度お目にかかったことありますが、どこから湧き出てくるのだろうかと感じるくらい、エネルギッシュな方です。
東京学芸大学大学院准教授ほか色々な肩書きと資格をお持ちの方ですが、教育系を中心に幅広く活動をされています。
よく講演で「学びの乗数効果」の話をされますが、ほぼ同じ年月を生きていても、努力が足りないとこんなに差が付くんだなぁ・・・と感じます(-_-;)。

気分が暗くなってきましたので、本の話に戻りますが、私は文章を書く機会は人並みよりもやや多いせいか、たまに技巧について聞かれますが、文章の評価軸は基本的に面白いネタと着眼点があるかどうかだと思います。
それさえあれば、表現の粗さなど、ある程度目をつむってもらえる気がします。

最近ChatGPTなるものが出現しましたが、いまどきのAIは「○○風(作家など)の文章で出して」と命令したら、それっぽい文章を吐き出してくるくらいですから、文章の骨格づくりにおいては、AI のほうが上をいっていると思います。しかし、AIは現存するものをこねくり回し「最適そうな」ものを出力するわけですから、未知のものは期待できません。
そんな世の中の流れを見ていますと、人間にはAIでは答えが出せないレアなものを持つことが求められてくるように感じます。人が興味を持ったり、話したくなったりすることって、みんなが知らないことだったりしますからね。

ですので、読後の感想をひとことでまとめますと「面白いネタを持っているヤツが圧倒的に強い」です。

では、どうやってレア力を磨くのか。
以前藤原和博さんが、「100分の1の人材にならなくてはならない」(100人に1人のレベルに達するという意味)、さらに「ある分野で100分の1になったら、次は別の分野で100分の1になると、100分の1×100分の1=1万分の1の人材になる」という主旨の話をされていました。
口で言うほどたやすくありませんが、本にも書かれている「マジョリティから抜け出す」ことは、このようなことだと思います。

ところで、「発信したい」と言う人を小バカにしながら、ネタの重要性を強調してきましたが、発信はしなくて良いかというと、そうではありません。本の中でも「発信しなければ誰も気付かない」と書かれています。
発信することで、周囲の人が発信を拡散してくれたり、同じ趣味や特技を持つ人が向こうからやってきたりという感じで、目の前の景色が変わることがありますから、そちらも疎かにしてはいけません。
どっちが大事ではなく、どっちも大事ということです。

さいごに。
個人的な希望ですが、この本を対馬の子たちに読んでほしいと思います。
私が島外に出張するときに、この人面白そうだからと、面識もないのに勝手にアポイントを依頼することがありますが、対馬から行くというだけで、案外話に応じてくれます。それは、結局のところ、自分の知らなそうな世界の人だから興味を持ってくれるのに他ならないんですよね。
そして、私は半分ヨソ者ですから、児童、生徒にインタビューをしますと、年齢がダブルスコアを超えてしまい、言葉を引き出すのが大変ですがf^_^;)、いつも素敵な話が聞けたという手応えを得ながら、対馬の子たちはいい感性を持っていると感じます。
小宮山さんは、「旅を通じた教育的効果」についてもよく話されていますが、彼女ほどの激しい経験はしなくても良いと思いますが(笑)、対馬の子たちには、外の世界で見聞を広げ、対馬がどんな場所なのか再認識してほしいと思います。ない物ねだりな感じですが、感性が敏感なときに、これだけレアな暮らしをしていたら、外で見聞きしたものと掛け合わせると、どんなものが生まれるのだろうかと、興味が尽きません。

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