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#116_【イベント】横浜から単身やって来た高校生

先週の日曜日、横浜市に住む高校3年生が、単身対馬にやって来ました。
なんでも、現代芸術家の大竹伸朗さんが東京の街で拾ったゴミで制作したアート作品に衝撃を受け、昨年もひとりで対馬にやってきて、路線バスと徒歩で美津島町箕形にある対馬CAPPAさんの事務所までやって来たとか。
※日中路線バスは走っていませんので、中対馬病院のバス停からおよそ1時間歩いてきたそうです。

今回は、自分の活動を原点である対馬で伝えたいという思いから、ワークショップを開催すべく、再びやって来たとのこと。

最近物書きの仕事で漂着ゴミ問題を取り上げようとすると、複雑に絡み合った大人の事情から思うことが多々あり、気が進まなくなることが度々あるのですが、私の母校もある横浜からやってくるというので、行ってみることにしました。
「その日は共通テストの日じゃないか?」と思いながら…。


どんなワークショップだったのか

このワークショップを企画から運営までしたのは、現在神奈川県立光陵高校に通う岩田一平さん。アートに目覚めて我が道を行くタイプなのかと思いきや、高3までサッカー部にも所属していたそう。そして、先にものづくりに興味があって、作る過程でアートにも興味を持ちはじめたとのこと。

ワークショップの内容は、海岸に漂着していたペットボトルから、3Dプリンタを使って自作したフィギュアに色を付けるというもの。
ペンや筆を使ってではなく、3~4色のアクリル絵の具を均等に混ざらないよう容器に入れ、絵の具をフィギュアの上から垂らし、フィギュアの向きや角度を変えてペイントしました。
大して手間のかかる作業はありませんので、効率よく済ませようとしたら数十分で終わりますが、絵の具の配合の仕方や流し方、フィギュアを置く向きや角度で様の付き方が変わる偶発性を、時間をかけて楽しみながらするのが面白そう、と端で見ながら感じました。

【ワークショップの様子です。】
【絵の具を垂らしたフィギュアです。】
【みなさん上手にペイントされています(^^ )。】

実際、参加した小学生に聞いたところ、
「最初は色がどのように出てくるのか分からずドキドキしながら作ったが、いい色に仕上がって良かった。他の色も入れたい、でも足したらきれいに作れているのが崩れてしまわないか、と考えた。もう1個作りたい。」
と話してくれました。

環境問題を考えるワークショップとして、ゴミが出ないようにする工夫など改善したほうが良いと感じることはありましたが、勝手が分からない場所に来て、よく回しきったと思います。
「現地調達すればいっか」と思っていたものが、当日手に入らないこととか、意外とあるんですよねぇ…。

なんでいまなのか

私の高校も光陵高校と同様の進学校でしたから(校内での成績は、まぁいいとして(-_-;))、「普通の人生選択」をしようとするなら「なんでいま来たかったのか?」と思うわけで聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。

「興味を持ったことはその時に行動したいと思っている。自分が対馬に行って作品を作って、こういった活動が楽しいというのがあって、活動が進んでレベルアップして成長していくのが達成感があって楽しい。」

【対馬の漂着ゴミからこんな作品を作ったそうです。】

独身で都会から対馬に移住している私は、世間様で言われる「まっとうな価値観」を持ち合わせていないと思いますが、
まだ10代だからある程度進路先の見込みを付けてからでも遅くはなかったんじゃないかと思う一方、
元日震災があったように「またの機会に会いに行けばいっか」と考えていた人が不慮の出来事で会えなくなってしまうことも有りえない話ではなく(歳を取るとその感覚は増してきます)、
どちらが正解というのはないと思いますし、その後の行動や振り返り方次第で評価を変えられるとすら思っていますが、ひとつ思うのは「他人に選択を委ねて後悔することだけはないようにしたい」ということですね。

岩田さんとの会話からの気づき

岩田さんは、漂着ゴミに対して

「最初は(環境への)問題というより、ゴミアートづくりが上にあった目的だったけど、対馬に来てみると、島一体でゴミ問題に取り組んでいたり、みんながその意識がある環境は珍しい、すごいいいなと思った。イベントをするにも、色々な人が快く協力してたし。」

「昨日、(6月お世話になった)おっちゃんと釣りに行った。海がきれいで魚も釣れるし、神奈川の海は濁ってばかりで、こんなにきれいな海はない。そんなきれいな環境がゴミで崩れていくのは少し寂しいと思う。」

と話してくれました。

最初は興味本位で対馬に行きたいと思ったものの、現地に足を運び、地元の人と話をしながら、スケールの大きい自分事にしてくれているとも感じました。
そして、私のまわりで廃墟の保存活動をされている方とも通じそうに感じます。廃墟はだいたい立ち入ってはいけない場所ですので、最初はスリルであるとか、生々しい人の営みや欲望を垣間見る背徳感のようなものから入りつつも、そのうち構造物の醸し出す迫力や佇まいに魅了されたり、変化する姿に奥深さを感じたりしながら、後世に遺して伝える意味や価値を見出すあたりなどは、とくに。

しがない人生を送っている私でも、趣味を通じた経験や、人間観察をしながら見えてきたこと、お世話になった方々のご縁の積み重ねによっていまがありますので、岩田さんの行動を見て、若いのが羨ましいとまでは思いませんでしたが、それでも、私の若かりし頃がいかにちんけでいい加減だったのかというのを痛感しました。

岩田さんに今後どうしていきたいのか聞いてみたところ

「目的を持って、アートに取り組み、周りの人にいい影響を与えたい」

と話していましたが、これだけ物事を広く深く考えているのなら、仮に大学へ行かなくても、なんだかんだ自活できるのではないかと感じました(ただし、大学に行くことに意味がないとは言っていません)。

将来の活躍に期待したいですo(^-^)。


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