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サンクトペテルブルグ〜ヴィバーグ(フィンランド国境)までの恐怖のライド!!

ロシア旅行記 
夫とロシア人の友達、ポリーナを尋ね、サンクトペテルブルグに滞在していました。その日、ポリーナの兄が住むフィンランド国境近くの街、ヴィバーグに行く計画を立ててくれていました。夕方、待ち合わせのポリーナのオフィスに到着。素敵な車が待機し、おしゃれな従業員が運転席に。私はうっとり気分で車に乗り込んだところ、とんでもない恐怖ライドへとバトンが受け継がれる事になります。その恐怖ライドからーーロシア人のおもてなしの恐怖までの体験記です。

DAY3
5月16日(金)晴れ: 気温:最高気温 摂氏7度

今日訪れた場所:ポリーナ(友達)のオフィス、玉ねぎ教会、サマーパーク散策、Vyborgに移動

午後7時にポリーナのオフィスを出発。運転手付アウディーで颯爽とフィンランドの国境にある街、Vyborgへと出発するが、どうも車の調子が悪いらしい。私は車に乗るなり、時差ぼけと疲れでしばらく寝てしまったが、1時間くらいたって目を開いても、窓からの景色がちっとも変っていない。今頃田舎道をズンズン北へ向かっているはずなのに。

おまけにすごいブレーキが擦る音。運転手と助手席に居たポリーナは電話を掛け捲っているが、ロシアごでこちらにはまったく英語で振ってくれない。でも状況はその慌てた二人とブレーキの音を聞いていると分かるのだが、どこへ行っているのか何をしようとしているのかもまったく分からない。

とにかくすごい音を立てながら、市内をくるくる走っては、停まり、またどこかに電話をかけ、何処かへ向かっている。でも市内を出ないことには、ポリーナのお兄さんの住む郊外へ行けない事は知っている。

時間はもう2時間以上は経過した。午後9時を過ぎてさすがにお腹も空いて来た。目的地までここから2時間も走らなければいけないのに、いったいいつ着くのだろう。運良く私達は4時ごろ、軽食を食べたので、とりあえずお腹は今のところもっている。

1時間以上の沈黙(英語の説明が無い)が続いた後、やっとポリーナが口火を開いた。「We need to change the car」「ああ、やっと。。なにか方法が見つかったらしい」と私達は胸をなでおろした。

そこに現れたのは、ポリーナの兄系の友達であるというxxx君。その前にポリーナが「His car is very old」と警告をしていたのだが、登場した彼の車は言葉を失うほど古く、汚く、グチャグチャだった。

「え~!!! まさかこんな車で行くの?この車って本当に走るの?」と口をあんぐりとあけていると、「早く乗れ」の指示に否応無しに押し込められた。

そしてその車は走り出した。なんせシートベルトもないのだから、いったい何年前の車だろう。ロシアの規制はどうなっているんだ。でもシートベルトが無い車でシートベルトはできない。しかし皮肉にも彼の運転は、この世で一番シートベルトを必要とする車だった。

その彼の恐怖の運転に死のロードがその後2時間続いた。その運転の荒さとスピードとそれもボロ車でのライドは後にも先にも2度と体験することは無いだろう。

それから2時間、フィンランドのボーダー(北)に向かい走り続けた。10時くらいになりサンセットが始まった。走っても走っても夕日が沈まない。11時くらいになり、やっと沈んだ夕日はその後もずっと赤と薄い紫少しずつダークに変わっていったが、それも1時間くらい残っててた。「これが白夜なんだな」。こんなに長い黄昏を見た事はなかったので、美しいカラーが消えゆく景色を恐怖のライドの窓からずっと見ていた。

そしてポリーナの兄の家に着いたのはすでに夜中を過ぎていた。びっくりしたのは、本当は8時くらいに着くはずだったのにもかかわらず、皆食事もせずに待ってくれていた。

家に入るなり、豚のにおいがした。豚料理の臭いでなく、本物の豚や牛の臭いなのだ。古くて汚い家なのに、なぜか家に入るのに「靴を脱げ」と指示をされた。 

家の中はグチャグチャで、気持ち悪いセンスの家具や絵が飾られていた。しかしそんな鑑賞はともかく、私達はお腹がペコペコ。「早く飯をくれー!!!」と心の中で叫んでいた。皆夕食を摂っていないのだから。

私達を待っていたのは、奥さんが作ったロシア料理のボルシチ。テーブルに出るや否や、皆言葉もなく食べ物をむさぼった。まるで戦争中のハングリーソルジャーのようだった。

食事が終わると、ふと現実に戻される。「私はこの家のどこかの部屋に寝かされるのだろうか?」と今度は違う恐怖におののいた。しかし私達の心配はすぐに解消された。その家の向かいに新しく建てられたログハウスがあった。今晩と明日はここで寝ることになるらしい。私達はほっとし、荷物を運んだ。

それから大変な行事が始まった。いわゆるロシア伝統の客のもてなしだ。夕食前でなくて良かった。「やっぱり聞いた噂は本当だったんだ!」兄は上機嫌で、超デカイヴォッカのボトルを抱えてきて、ショットグラスで乾杯をして飲みまくった。これは「おもてなし」なので断ったら失礼だと思い、酒をほとんど飲めない私も頑張って一杯だけ飲んだ。しかしその後すぐ意識はなくなった。

目覚めたらちゃんとログハウスにいた。ホッ。

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