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習慣という怪物を飼い慣らすには、情熱が必要らしい。_【おっさん広告マン観察日記 2日目】

1月2日(木)
天気:白い透かしの入った青空
気温:耳が痛くなりそうでならない冷んやり感
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おい、おっさん。いま起きただろ。
早く布団から出なさいよ。

ひんやりとした冬の朝、
人肌に温まった布団の犯罪的な心地よさから抜け出すには、
「起きて●●する」という並々ならない意思が必要だ。

「早く起きないと昼を超えてしまう、昨日の二の舞だ。」
「机の上には昨日やり残した写経したい広告が載っている。」
「でも、眠い。」

もぞもぞ動き始めてから早30分。
おっさんのなかで、学びたい気持ちと甘えたい気持ちが闘っていたが、
罪悪感という見方を得てようやく布団を脱出することに成功。

なんとか昨日より30分早く活動を開始することができたようで何よりです。

顔を洗ってコンタクトをつけ、
寝ぐせと天然パーマでふわつく髪を水で寝かせつけつつ、机に向かう。

まずはSNSでも話題になっていた、西武SOGOの広告だ。

素直に上から読んでいくと、現実的でつまらない男がじりじりと追い詰められている。だが、折り返すように、今度は下から上へ読んでいくと、一転して革命児の大逆転劇が幕をあける。

「わたしは、その言葉を信じない。」
「しかし、そんな考え方は馬鹿げている。」

2つの文が、周囲の各文章の話者(自分↔他人)を入れ替えることで、
このギミックを成立させている。

ギミックも見事だが、大企業がジリジリと追い詰められ、
ミッション・ドリブンで働くために起業したり、
ベンチャー企業への就職が隆盛となっている時勢も捉えている点も見逃せない。

ただ、写経しおえたオッサン、ふと浮かんだ疑問がぬぐえず、
仕方なくSNSでみんなに意見を求め始めた。

「この広告は、どう西武SOGOのビジネスに貢献しているんだろう?」

Twitterをのぞいてみると、D社のクリエイターさんがつぶやいていた。

ふむふむと読んでみるも、しっくりこない。

おそらく、SOGOの広告に疑問を呈している人は、
直接的にモノが売れるかが気になっているのではなく、
"Authenticity"の欠落が気になっているのではないかと思う。

原野さんのいう「好きになってもらう」も勿論広告の目的足りうるけれど、
そもそもSOGOの今回の広告は、SOGOの広告として覚えてもらえるのか?

「面白い広告があった」としか記憶されなければ、
当然ブランディング=好きになってもらうことによる差別化はできないし、
だからこそ、この広告がどう西武SOGOに役立つのか分からないのだ。

でも、全国紙 数紙で正月に4C15段広告となると、かなりの金額になる。
(5000万円前後くらい?)
それに、このクリエイティブはTVやOOHでも展開されている。
何かしらの意図が必ずあるはずだ。

とおっさん、vs生活者だと意図が分からないので、
別のステークホルダーを想像しながら調べてみる。

結果、おっさんなりの答えに行き当たったらしい、満足そうだ。

頭の中をのぞいてみると、情報が錯綜していたが、
整理すると下記のような内容だった。

<おっさんの西武SOGO 2020正月広告に対する考察>

西武SOGOの今回の今回の目的は、
インナーブランディング・採用ブランディングが目的ではないだろうか。

採用サイトをみると、西武SOGO社員のあるべき姿として4つの資質が紹介されており、今回の広告の中で描かれる人物像と一致していた。

①仕掛け人(勝ち目がないからと諦めるなんて馬鹿げている。)
②価値創造家(誰とも違う発想や工夫を駆使して闘え。)
③逆境を楽しむ(小さな者でも、大きな相手に立ち向かえ。)
④あきらめない(奇跡は、大逆転は、起こりうる。)

西武SOGOは、5800人を超える社員や、
その数倍・数十倍はいるであろう西武SOGO内で働く人々に向けて、
「我々はこんな仕事人であろう、こんな仕事人であることに誇りを持とう。」と伝えたかったのではないだろうか。

そして、すでに開始している2021卒採用活動生に向けて、
西武SOGOの凛々しい社員像を伝えることで憧れの醸成を狙ったのではないだろうか。

また、そうだとしたら、きっと生活者に受け止めてほしかったのは、
広告の面白さや勇気をくれる文章の良さといった単純なものではなく、
西武SOGO社員の仕事に対する姿勢と熱意なんだと思う。

仕事に情熱を持っている人の仕事は、
きっと私たちを幸せにしてくれる。

そう受け止めてもらうことで、ブランドの感情価値認識の形成を狙ったのではないだろうか。

・・・おっさん、意外と真面目に考えている。
テニスと酒と麻雀で、2回も大学で留年した人間した割にはだが。

ほかにも湖池屋(社長の苗字、小池さんというんだ。)の「スナック人生100年時代へ。」や、ワコールの「100歳になっても、自分のぜんぶを好きでいたいです。」など写経して2020正月広告からのお勉強はひと段落した模様。

さっと支度して、どこに向かうかと思ったら南千住。

「帰ろうと思えばすぐに帰れるし」といって、
結局1年間帰らなかった実家に顔を出すらしい。

やると決めたことを一つやり切れたからか、
移動中のオッサンの顔は心なしか晴れやかだ。

でも、オッサン、そういえば忘れてないか?
プロボノとして受けおった、ある団体のHP制作締め切りが迫っているぞ。

エンジニアが捕まらないために、
触ったこともないwordpressを学ぶのはつらいし、
つい後回しになるのもわかるけれど。

明日はwordpress dayとしてちゃんと時間割こうな。

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<おっさん広告マン・今日のメモ>
●頭のノート●
・意図が不明な広告に出会ったら、
 生活者以外のステークホルダーがターゲットになっていないか、
 想像・分析して調べてみる。

・実家のある南千住にはカフェがない、ノマドできない。

●心のノート●
・情熱があれば起きる時間は早められる。
 早起きしてでもやりたいことを毎日用意する。

・自分が疑問に思うことは、他のだれかも疑問に思っている。
 自分なりの考えをまとめつつも、SNSで意見も拾ってみる。


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