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コスト18円の おもてなしで お店のファンになった話

お店のショールームで、ちょっと素敵な"おもてなし”を受けました。
それは、あるお店のショールームで、
アイスコーヒーと一緒にだされたものを見たときのこと。

思わず「わ〜!うれしい♡」

私の声を1オクターブあげさせたもの、
それは、ペーパータオル paper towel 、
「おしぼり」です。



なぜ、「おしぼり」でこんなに気分が上がったのか?



人の最大の欲求は「自分が重要な人間だと認めてもらうこと」
だそうですが、このおしぼりのパッケージには、
それを満たすような、心を掴まれるポイントがありました。

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上品で高級感のあるパッケージ。
磁器を想わせるような柔らかい白地、
プラチナ色の文字、
落ち着いた上品な紫色のライン・・・・。

大げさに思われるかもしれませんが、
私はこれを出された時、
自分が"もてなすに値する客”として認められたような、私の品性がちょっと上がったような気分になりました。


◎パッケージデザインで
商品自身が消費者にメッセージを語る仕掛け

私がパッケージを手にした時に最初に目に入ったのは

「AROMA アロマ」
「LAVENDER ラベンダー」

の2つの文字でした。

これらの文字をみて、瞬間的に思ったのは、
「これ、コーヒーと一緒にでてきたし、大きさからみて「おしぼり」だよね?」「アロマって書いてあるから・・、ラベンダーの香りがするおしぼりだ♡」

と、ここで「わ〜!うれしい♡」という言葉がでたわけです。

アロマが好きな"おとな女子”は多いですが、私もその一人。

パッケージ上の「AROMA」「LAVENDER」という文字で、この「おしぼり」に興味がでて、他に何が書いてあるのかを自然と見てしまう。

「AROMA アロマ」「LAVENDER ラベンダー」の後に目に入ったのは、

「premium プレミアム」

の文字。

ということで、お店で頂いたこれは、
「ラベンダーの香り」のする+「高級」おしぼり 。
 
いわば、パッケージを通じておしぼりから「自己紹介」を受けた感じです。

「・・でも、使っているアロマは天然なのかな。化学物質だったら、肌に刺激が強そう・・・」と思ったとき、

自然と視線は

「100% natural essential oil」
“フランス産 天然100%“ の ラベンダーオイル使用 ”

の文字に。

ラベンダーの香りのする『高級』おしぼりで、しかもフランス産ラベンダーから抽出した100%天然アロマオイルを使用している」らしい。

「RELAXATION リラクゼーション」
「RELIEFリリーフ」

という、アロマの効能も書かれているし、
「プレミアム感」とともに「アロマオイルのリラックス効果への期待」
や「天然オイルという安心感」
も生まれます。


◎使う人の罪悪感を取り除く仕掛け

「天然ラベンダーアロマオイル使用の『高級』おしぼり」を頂いて、気分があがりましたが、
一方で私は、ティッシュやウェットタオル・おしぼりを使う時はいつも、それらが “使い捨て” であることに罪悪感があります。
だからティッシュは使う分だけ、数センチに小さくちぎって使う。

その高級おしぼりを使うことをためらっていた時 目に入ったのが、
その気持ちを見透かされているかのような

「Eco-Friendly Product エコ・フレンドリー商品」

の表記・・・。

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ここまで私の気持ちの動きを見透かされているのか、と思うと驚き。

小さい字ですが「環境に配慮している商品」だとわかって、すっと罪悪感が軽くなりました。

「エシカル消費」「エシカル商品」※を意識している人も増えているなか、

「石油系化学繊維の不使用」
「100%天然で生物分解性」

とも記載されていて、この商品を買う人・使う人を「私は環境保護への意識がある」という気持ちにさせる効果もあると思います。
(日本語だと固い内容だけど、英語だから、主張もスマート?)

※エシカル消費・商品 ethical:ethicalは「倫理的な」という意味。「人や社会、環境に配慮した消費行動・商品」


◎人の視線や思考を計算したパッケージ

こうして改めて、「おしぼり」を頂いてからの数秒間の「自分の視線の動き」を振り返ると、商品パッケージ上の”文字の大きさ“ や ”書体の使い方“で 強弱 をつけることで、私が文字を読む順番 をコントロールされている気がしました

そして、パッケージを見ていたときの「私の心の動き」を振り返ると、おそらく商品開発者の思惑通りに 私はパッケージから 「特定の印象」を持ち、「メッセージ」を受けとり、「感情」を誘導されたのではないかなと思います。


◎ちょっとしたことで そのお店の印象が⤴️に

このお店で 気の利いたおしぼりを提供されたことで
「自分がちょっとだけ特別な人間」として
おもてなしを頂いた 気分になりました。

そして、このお店に対して、
とても良い第一印象を持ちました。

第一印象というのは、なかなか覆らないもの。
「人は、自分がその物や人物に対して持った第一印象に合うように、
第二・三印象や、その後の感じ方・捉え方を無意識にコントロールする」
と言われています。

つまり、第一印象が良ければ、その後もその物や人物の良い部分を探すし、
悪い印象だったら、悪い点ばかりを無意識に探すそうです。
だから、第一印象はとても大事です。

お店や企業についても同じであり、ちょっと他と違う心遣いを受けることで、人はそのお店や企業に良い印象を持ち、リピーターになったり、ファンになったりします。

インターネットで調べたら、このおしぼりは ”1枚18円 (そのサイトでの小売価格 )”のものでした。それが高いと思うか安いと思うかは、人それぞれですが、それは「おしぼり本来の役割以外に、どんな風に働いてもらうか」という視点の有無にもよります。
この記事で取り上げたお店は、一般的なサービスとして「おしぼり」を提供するではなく、少しコストをかけて他店とは違う「天然アロマの高級おしぼり」で、そのお店自体に高級なイメージを持たせること、「私たちはお客様を大事にしています」とアピールすることができています。

そして、そのことで、お客様がリピーターになったり、友達や家族に話したり、SNSや口コミを書いてくれたら、かかったコスト以上の効果があると言えます。

今、「お店や自社のファンづくり」が大切、と言われますが、
意外にちょっとしたことかもしれません。


ひとりの消費者として、感じたこと。




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