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おうち英語でバイリンガルにはなれない理由を分析する


SNSが普及し、いいねの数で意見の価値が決まるような風潮が根付いた今、「誰もがおうち英語だけでバイリンガルになれる!」という謳い文句を度々目にします。



ある意味、可能ではあると思います。なぜなら、私がその1人だからです。




それでも、この煽り文句に違和感を感じずにはいられないのです。その理由を言語化した結果、私自身が思う"バイリンガル"と娘の成長は、しっかりと重なり合って進むべき方向に向かっていると思えた話を書いてみます。



バイリンガルは2種類ある

そもそもの「バイリンガル」の意味を、複数の辞書にて参照したところ、大きく2つの意味を見つけました。

1.二つの言語を流暢に話せる
2.二つの言語を母国語同等に話せる

この2つには大きな差があるように感じます。1つ目はどちらかと言うと話す速さや滑らかさ重視、2つ目はTPOに合わせて使う単語を困難なく使い分けられたり、行間を読めるイメージでしょうか。



タイプ1は、英語の構文や決まり文句など、ルールをある程度知っていて、それらを素早くアウトプットできれば到達できます。そして、主観ですが、おうち英語で謳っているのはタイプ1のバイリンガルだと感じます。



私が娘に求めているのはタイプ2です。「綺麗な発音で」「スラスラと流れるように話す」ことではありません。より「会話の質」を重視しています。

「バイリンガル」という言葉が使われる時、自分が思い描いているイメージと微妙に噛み合わないことがあります。誰かの学習メソッドを真似する際、使われている言葉と定義に注目すると、挫折や迷いが減るかもしれません。当然ながら、どちらが正しいという話ではありません。


英語で話す内容の質について

一般に3歳と10歳と20歳とでは、話す内容の難易度は異なります。3歳が政治について討論できないことを嘆く人はいないでしょう。


たとえば、3歳の時点で「ママ〜、牛乳(ちょうだい)」を"Mommy, milk (please)"くらい言えれば年相応のバイリンガルと名乗れてしまうのではないでしょうか。

もちろん、アウトプットが出てきていることは喜ばしいことに変わりないのですが、タイプ2を目指す場合、⚫︎歳時点で何を話せるか、よりも、相手が明らかに日本人ではない見た目でも、リスペクトと共に話しかけるスタンスの方が重要だと思っています。英語圏の同世代の子どもたちは、幼い頃から自分自身のことや意見を主張することを学びます。


単に英語の"言語スキル面"だけでなく、"間違えを恐れず話しかけみるチャレンジ精神"や"相手をリスペクトした主張ができる"マインドセットも育てて初めて、タイプ2のバイリンガルが成立するのではないでしょうか


おうち英語は安全地帯での取り組みになりがちなので、外部環境で使えてはじめて"コミュニケーションツール"となり得ることを意識出来ると良いですよね。



もちろん、そこまでを目指すのであれば、なのですが。



ここまで言葉ではっきり定義ができると、現時点で子どものアウトプットを他人と比較することに意味がないことに気が付き、比較する育児から開放されます。

"おうち"英語の限界と対策

親や周囲が生粋の日本人である以上、英語そのものを身につけるよりも、その英語をより英語圏の文化に合わせて洗練させていくマインドセットの方が難しいのかもしれません。


良く耳にする「幼い頃に身に付けた英語は忘れる」というのは、単に言語スキルを忘れるに留まらず、失敗を恐れるようになったり、年を重ねる毎に自分の意見らしき意見が抑制されてしまう背景もあるのかもしれません。

然るべきタイミングで、たとえ反対の意見を言わないといけない場面で、相手を尊重しながら、言葉を選んで主張する、更には交渉する。そもそも発言ができなければ"そこに存在していない"と思われても仕方ない文化もある。

生まれ育った背景が多様な人と分かりあうために、相手が使った言葉に疑問や違和感がある時には、まず質問をして同じ場所に立って話をしているのか擦り合わせないとならない。

というのは、教科書だけで学ぶには大変に高いハードルです。特に日本人は、阿吽の呼吸や「やばい」の一言で多様なニュアンスを分かり合えてしまえるので、自分が使った言葉の定義を、相手も同じように考えていると思い込んでしまいがちです。そうかと思えば、反対意見を主張されると自分自身が否定されたかのように受け取ってしまうこともあります。


私は外国語を学ぶことで「広い視野を持つ」というのは、こういった相手への思慮も含むと思います。


おうち英語でここまで育て上げられるでしょうか。私はおうち英語で土壌作りは出来ても、そこから先はネイティブとの実践の中で磨き上げていくしかないと思っています。そしてそれこそが「世界に通用する人材」だと思うのです。



ここまで具体的に道筋が見えていれば、同じおうち英語でも「英語を話すスキル」だけではなく「話す内容の質や堂々と構える姿勢」を同時に身に付けることを、意識しながら取り組むことができます。



次の記事では、実際に我が家で取り組んでいるマインドセットも合わせた取り組みを紹介したいと思います。できるだけ誰もが取り組みやすく書こうと思いますので、ここまでの記事で疑問点などあれば気兼ねなくコメントくださると嬉しいです。



今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。


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