2020年3月の記事一覧
「嫌な現実」を自在に乗り換えられたら? SF小説『なめらかな世界と、その敵』
2019年のベストSFランキング第1位の伴名練『なめらかな世界と、その敵』から、お試し版として第1章を公開します。スマホをスワイプするように、無数の並行世界を行き来できる少女たちの、1度きりの青春を描いた物語。
追記:斜線堂有紀さんの解説&著者1万字あとがきを加えた文庫版も発売!
1 うだるような暑さで目を覚まして、カーテンを開くと、窓から雪景色を見た。
青々と茂った庭の草木に、今もちらちら
小説案を5つ 円城塔
作家というものを仕事にしている。
どちらかというと、想像でものを書いていくタイプである。嘘のような本当の話、本当のような嘘の話というものを扱わせればそれなりだと、自分では考えている。
自分のような書き手にとってチャンギージーの『ヒトの目、驚異の進化』はもうこれだけを元ネタに小説を5、6本はひねりだせようという代物である。ふつうに書評を書くよりも、この本を読んでこういう小説を考えた、という着想