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2022年末日記 1113-1119

1113

「ベレー帽とカメラと引用」06号のブックガイドの残りの何冊か、ほんの数行から十行ほどの文章を書くのに悩む。

「69」「ハイスクール1968」を再読すると、そこに書かれている当時の著者の年齢、その本を書いた時点での年齢、そしていま現在の年齢と、読者の自分が最初に読んだ時の年齢、今の年齢を比べるだけでも感慨深い。

そして意外と「ハイスクール1968」は音楽に関する記述が多い。まだロック喫茶になっていない頃の「ブラックホーク」がチラッと出てきたりもする。


1114

なぜか自分はここ数日、カーメン・マクレエとベティ・カーターばかり聴いている。その流れでエラ・フィッツジェラルドも聴く。

リマスターで音質が良くなったとか、モノからステレオになってどうとか、そういう話題にはあまり興味がわかないが、「エラ&ベイシー」の音が鮮やかになっていたので驚いた。




1115

夜遅くにDVDで「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」を見た。

東大に集まった1000人の学生と三島由紀夫との討論の記録映像だが、編集がかなり入っている。現在の関係者のインタビューがちょいちょい入っていて、対立はするものの「反米で愛国という点においては左翼も右翼も同じだ」という流れになるので話がよく見えてきた。

ただ芥正彦という学生(その後は演劇関係者)の言葉だけがずば抜けて難解で、飛躍が大きく、子供の頃に感じていた独特の「なに言ってるのか分かんない……」という感覚を思い出す。



三島由紀夫と全共闘との対話は、角川文庫から「討論 三島由紀夫vs.東大全共闘―美と共同体と東大闘争が出ていて、藤原書店から単行本「三島由紀夫vs東大全共闘―1969-2000」も出ている。ちくま文庫の「文化防衛論」ではその他の大学生との対話も入っていて、こちらの方が読みやすい。


1116

いま書いているブックガイドは、講演録の解説を書く代わりに関連書籍を挙げているようなものなので、間接的な解説といえる。

06号には、およそ半世紀分の話題をあれこれと詰め込んでいるので、何かを考えるための種がばら撒かれている。ということは、数年後に読んでもあまり古びないのではと思う。

「ブックガイド」という枠組みを出てしまう話題が結構あるので、その辺りについては、メルマガでちらほら書くことにする。


1117

飛ばし飛ばしでも大体わかるからいいや、と後ろの章から読んでいた「ウェルカム! ビートルズ―― 1966年の武道館公演を実現させたビジネスマンたち」をやっと読み終えた。

猛烈に急いでいる時は本の真ん中を読んで、結末を読んで、最初の方を読むというのが自分の読み方である。そう決めている訳ではないが、そのように読んでいるのを自分で自覚してはいる(さすがにミステリはそうは読まないが)。

この本は読み落としがあったら勿体ないと思えてきて、最初に戻ってまたパラパラ読んで、読み抜けがないか確認するくらい面白かった。

ビートルズが「突然変異」と評されていたことや、お終いの方で石坂泰三が「帰って来たヨッパライ」の歌詞を激しく憎む部分など、あらためてこの時代らしいエピソードを知ることができてよかった。


1118

ブックガイドには、もう2,3冊ほど足す予定だったが、既にそこそこ冊数が多い気がしてきたし、時間と頭がそろそろ限界なので20冊ほどでお終いにする。

これで原稿ができたので、他の記事を加えて、目次や編集後記などもすべて合わせてみたら全部で94ページになっていた。100ページまでは行かないが、80ページのつもりで作っていてもこうなってしまう。文字数はおよそ5万4千字。


1119

文学フリマに行く前に、用事ができるかもしれないとヒヤヒヤしていたのだが、それは来週になったのでひと安心した。

「いよいよ明日は文学フリマ東京35だー!」と意気込むわけでもなく、「ベレー帽とカメラと引用」の06号がひと段落ついたので虚脱状態になっている。顔や頭にあまり血がめぐっていないような感じ。



しおりを作っていたら、印刷機の調子が変になったせいで写真の部分だけに筋が入って、何だか格好良くなった。

夕方、文フリの事務局からメールが来ていて、

文学フリマ史上最多の、1285出店(1440ブース)の規模での開催!」

「うち700ブース超が今回初出店となります。」

「今年11/3で20周年を迎えた文学フリマ。」

史上最大規模での開催風景を、ぜひ体感しにいらしてください!」

とのこと。

大事な点は太字にしてみたが、もっとも大事なのはN4書房のブース番号がV-25〜26 (第一展示場)であるという点です。

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