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【Netflix】オザークへようこそ(Ozark)1シーズン視聴中 | 作品の魅力 ネタバレ注意

 ※邦題がアレなので以降「Ozark」と呼ぶ。

 久しぶりに大好きな雰囲気の作品に出会えた。真っ先に思い出したのは田中慎弥原作の邦画『共食い』。物語は全く別ジャンルだけど、舞台となる田舎の閉鎖的かつ陰鬱な印象(その演出)に近しいものを感じた。

 Ozarkのストーリー構造はシンプルで、

麻薬組織の資金洗浄をしようとする主人公が家族もろとも事件に巻き込まれていく物語(wikiより引用)

 期限に間に合わねば家族共々殺される。だからマネロンに心血を注がざるを得ない。そんな逼迫した状況下にいる主人公マーティ・バードを中心に、家族やオザークの近隣住民の視点を交え展開していく物語。

 以下、作品の魅力

①舞台の魅力

 針葉樹の森と湖が織り成す自然の美しさや、観光産業で持ちこたえている感じとその賑わい(平常時と一時の繁忙期のギャップの盛衰感が田舎っぽくて良い)など「この場所ならでは」という地域的な魅力が詰まっている。

②誰にも言えない問題を抱える主人公

 人に言えない程のヤバイ問題だからこそ、決して口にできず、ひた隠しにする。それが原因で、友好的だった相手との間に軋轢が生まれる。そもそも犯罪に加担したいと考える者などいるはずがなく、どこまでいっても虚偽の連続、基本的に孤立無援。いかにして窮地からの脱却を図るのか? その問題解決に対しての興味が続く。

③地方再建的な"向上"の動き

 主人公としてはそうせざるを得ないのだが、鄙びた街の活性化ともいうべきオザークの売りである観光産業ビジネスの見直しにより客足が増し経済的豊かさが生まれていく"向上"の流れが魅力的(※地域全体が向上したのかは分からない)。たとえば、赴任した名監督により弱小運動部が強豪校へ変貌を遂げる展開、あるいは、何もない無人島を切り開き食糧を確保しつつゼロから拠点を築き上げていくような、ゼロやマイナスからプラスへ向かって上昇していく感じが、個人的に面白く感じる。

④排他的な権力者と表に出ない秘密の存在

 田舎ならではの余所者を受け付けない体質、これを意図的に作り上げている元凶がいる、というパターン。元々地主だったり由緒ある家柄だったり、その土地一体を牛耳る力のある存在が、掟によるものなのか個人的意向によるものなのか、とにかく部外者に知られたくない秘密を持っており、外部に露呈してまわぬよう、住民に秘匿と排斥を徹底させる(執拗に情報を聞き出そうとする者、深く干渉しようとする者に対しては特に)

 日本が舞台だと、土着信仰や因習により、村や街全体が異様な結束力を持っているパターンが多い。Ozarkの場合は、絶対的な支配者を恐れるあまり住民は彼らの悪事に目をつぶり関わらない、といった状況のよう。もっとも、ケシの栽培は周知されていないようだったので、主人公マーティがオザークへ訪れる以前は、スネル家にとって都合の良い秩序が保たれていた状態だったはず。

 お互いの思惑がぶつかりあい、マーティの問題解決まで道のりが遠のく感じ、また、マーティのバックにデルがいることが多少の牽制になっている点など、今後の見どころになっているポイント。



 

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