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泣いちゃいそうだよ 感想2

裏表紙にある紹介文はこちら

わたし、小川凛はこの春から中学2年生。憧れの広瀬君と同じクラスになれてすごくうれしい!と、思ったのに、仲良しの萌はなんだか冷たいし、部活の後輩との関係もむずかしい……。友だちや、家族などと、時にぶつかったり、不安になったり、うれしくなったり。そんなたくさんの「泣いちゃいそう」な思いのつまった、12か月12話のストーリーです。

以下更なる内容紹介(ネタバレ)と感想

4月に校舎の中庭にある桜の木に登り、枝を揺らして「おめでとう」と桜吹雪を吹かせてくれた広瀬君と凛は、3月には両想いになっている。その前2月に、凛はチョコレートをあげているが、その直後から広瀬君の態度が急変。明らかに凛を避けるようになる。おかしいよ。どうして?と、凛は不安になる。照れくさい、また他にも諸事情があり、素直になれなかったのが理由。広瀬君は3月のホワイトデーに素直に話して謝り、好きだと告白。二人は両想いになる。これが主のストーリー。

4月から3月に毎月小さな(凛にとっては大きな)悩みがある。そこに、少しばかり広瀬君の助けがあり、解決に向かうと同時に、関係性が近づく流れになっている。凛は感情の高まりにより、しばしば「泣いちゃいそうだよ」と心で訴えている。

そして、その悩みが結構リアル。紹介文にあるように友だち、部活の後輩との関係に悩むエピソードがやたら現実的。そしたらあとがきに「実際の中学生に悩みアンケートを取り、その中で、多かった悩みを題材にして書いた」とあった。納得。

一方で異性、特に広瀬君との関わり方はファンタジー。5月の章、最後で凛の髪が広瀬くんの制服のボタン(挿絵によると学ランの第2ボタン)に絡まる。うわぁ、最悪、もうハサミで切っていいよ、こんな髪大っきらい、坊主にしたいぐらいなどと、言う凛に「この巻き毛、外国の子どもみたいで可愛いと思うけど?」と平然と言ってる。主人公のコンプレックスを、褒めるって手法。6月には一緒の傘で途中まで帰ったりと、その辺りは少女漫画の鉄板。

最後に

今の私が読むと物足りない部分もあるが、小学校高学年女子が読めば、中学校生活に対する心構えと期待が膨らむかもしれない。中学生女子が読めば、悩みの部分は共感して読めそうだ。そして作者はそれを想定して書いたと思う。

小説を書く際は、誰に向かって書いているのか、そこから何を得てほしいか。それを考えるのも大切だと改めて思った。

余談であるが、村上春樹は、例えるなら教室にいる2、3人の人、少数派に向けて小説を書いていたと、偶然見たnoteの記事で知った。

柚木麻子はデビュー前、親友へのクリスマスプレゼントに自分で書いた手製の小説本を渡したそう。「ど素人がたった1人に向けて書いた」のが、小説家の私の始まりであると、新聞で知った。

柚木麻子さん。綺麗なお姉さんでふ。

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